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#東日本大震災

【読書】『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』

【読書】『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』

雑誌の書評で知った坂本龍一さんのエッセイ『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』はタイトルの秀逸さもあり私をすぐに本屋さんへと走らせました。

口述筆記なので坂本さんが今私のすぐそばで語りかける声が聞こえてくるような気になります。もうお空にいらっしゃるなんて信じられない。そしてこの貴重な声を残してくださったことへの感謝…

第一章にはガンと生きる、と見出しがつけられていてに病院食の味気なさなど切々と綴

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【読書】『JR上野駅公園口』柳美里さん著

【読書】『JR上野駅公園口』柳美里さん著

つい先日、何のために勉強するの?という記事の最後に本屋さんに行ったことを書きました。勉強の究極の目的は人間を理解し社会を理解することなのにまだまだ出来ず手掛かりを求めて本屋さんに向かったのでした。

その時のことです。特に決めている本はなくて何読もうかな〜と気楽に見ているとき入り口付近に平置きされている文庫本が目に飛び込んできました。

全米図書賞受賞!ランキング1位! 『JR上野駅公園口』

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『アニバーサリー』窪美澄著を読んで考える未来のこと

この著者の作品は数冊読んだことがあるが、今回の長編は考えさせられることが多かった。

物語は東日本大震災の頃に子を産む主人公真菜と、お節介なマタニティスイミングの先生晶子を中心に描かれる。美人料理研究家の母を持つ真菜は灯りのついた家で自分を待ってくれるお母さんがいる家庭に生まれたかった。母の活躍と比例して増える夫婦喧嘩から逃れるように援助交際を重ねる。カメラマンになって、雇い主に恋し捨てられた後に

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