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ショートショート(掌編)集

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短いお話たちです。
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2021年10月の記事一覧

不思議な図書館【掌編】

不思議な図書館【掌編】

わたしのよく行く図書館は不思議な場所です。

なぜか本がいっぱいあって、みんな静かに読書をしています。
それに本を貸し出しすれば、家に持って帰ることもできるので、家でゆっくりと読書の続きができる、そんな仕組みになっています。
とても不思議です。

しかし、わたしが《特に》不思議に思っているのはまた別のところにあります。

それはその図書館の机に座ると、すぐに寝てしまうということです。
わたしは机に

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葛藤【掌編】

葛藤【掌編】

人に優しくしたい、親切でありたい、そんな心を抱きつつも、
頑なな自我が邪魔して逆のことをしてしまうことがある。

無理をしているのか、惰性に引っ張られているのか、
望んでいる方向にうまく向かえない。

時に胸の内に憎しみや怒りが湧くことがあるし、なんとも言えない絶望感や悲しみ襲われることもある。
外側と内側への苛立ちと蔑みと、それを覆い隠そうとする虚栄心で凝り固まる顔の筋肉。

不思議なことに、そ

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よる寝【掌編】

よる寝【掌編】

「よる寝しちゃった」

「よる寝?」

「うん、よるに寝ちゃったってこと」

「よるに寝るのって普通じゃない?」

「いやわたしってヴァンパイアだから基本的に昼に寝て夜に仕事するのよ。だから夜にも寝ちゃったら、作業時間が減っちゃうの」

「そういえば、あなたってヴァンパイアだったわね」

「そうよ、日中の時間はわたしにとって《命取り》なんだから。ところで、あなたはいつ寝てるのよ?」

「いや、それ

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意味を探して、1万里【掌編】

意味を探して、1万里【掌編】

テクテク、テクテク、歩く、歩く。

もう一万里ほど歩き続けている。
風景や町並みはゆっくりと変わっていくが、さすがにここまで来ると眼前には《まったく知らない世界》が広がっている。

右、左、上、下、そして後ろを向いてまた前に視線を移す。

「何か探しものですか?」
・・・そんな呑気なことをわたしに聞いてくる人などいない。

わたしはよそ者で、ただの通行人。
異様に周囲をキョロキョロしてはいるが、迷

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野菜を切る世界線【掌編】

野菜を切る世界線【掌編】

ニンジンを切る。
この作業が料理の醍醐味であり、かつ面倒くさいところである。

チョキチョキチョキ・・・

包丁が野菜を切る音。

うん? チョキチョキチョキ・・・?

わたしは包丁の手を止めた。
すると、チョキチョキという音も止まった。

そしてまたニンジンを切り始めると、
ニンジンと包丁の切断面からまたチョキチョキと発せられた。

「ああ、そういう世界線なのね」

わたしは引き続き、チョキチョ

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フタがはずれた。【掌編】

フタがはずれた。【掌編】

ある日とつぜん、フタが外れた。

固くて回せなかったジャムのフタだ。
このジャムは買ってから1ヶ月近く開けることができず、
冷蔵庫の片隅に追いやられていた。

そのくせに、今朝はやたらと簡単に外れた、パッカーンと。
別にわたしが筋トレして握力がついたとか、
フタを温めて開きやすくしたとかそういうのではない。

わたしは両手に収まっているジャムとフタを見比べた。
美味しそうストロベリージャムの匂いが

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あべこべの世界【掌編】

あべこべの世界【掌編】

山に登りました。
すると、そこら一面に大きな海が広がっていました。

「やっほー!!」
わたしは力いっぱいに叫びました。

・・・ヤッホー!!

地平線の彼方から、ヤマビコが返ってきました。

わたしは嬉しくなって、小躍りしました。
その足音が、ドンドンと響き渡って天が割れてしまいました。
その割れ目から、太陽の光が漏れ出してきました。

光で照らされる一面の海は美しく光り輝きながら、熱でだんだん

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勇気をだす勇気、、、【掌編】

勇気を出したい。
しかし、その先にあるかもしれない拒絶に腰が引ける。

この一歩踏み出すことで生まれる膨大な被害損害の予感と眩暈を背負いきれないでいる。

だから、神様
僕に勇気を出す勇気をください。
何があっても自分は大丈夫だって思えるように、この震えている僕の《勇気》を元気づけてください。

「少年、そんなところでうずくまって、どうしたんだい?」

僕のそばに、浮浪者の如き中年のおじさんが立っ

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イマジン【掌編】

イマジン【掌編】

「イマジンしてみてよ」
突然、ボブがいってきた。

「何を?」
私はぶっきらぼうに返事をした。

「心のなかに、ピースな世界をイマジンしてみてよ」とボブは言った。
「そこはどんな世界だい?」

「そうだね、それは・・・」
私はボブを睨めつけながら言った。
「君がいない世界だね」

「おお、なんて悲しいことを言うんだ・・・」
ボブはそう言って手のひらにある銃をひらひらとわざと見せつけてきた。

私は

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