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はじまりはいつだって

中学の友人が初めて写真の個展を開いた。
話を聞くと、大学卒業後は一般企業に勤めていたが、
好きなことを仕事にしたいと決心し退職。
フォトグラファーの世界へ歩みを進め、スタジオでのアシスタントを数年勤めた。
2022年で独立4年目。30歳という人生の節目に自費で個展に踏み切った。
彼の撮る写真はポジフィルムといわれ、リバーサルフィルムともいわれる。これは写真を現像する際に、色・明るさがそのまま映しだされるフィルムのことで、ネガフィルムは色が反転して映るフィルム。

リバーサルフィルムで撮影した木々、砂、川、木から滴り落ちそうな水滴など、目を通して見るよりも鮮やかで輪郭が濃くはっきりとそこに存在していた。
写真を通して生命を感じ、さらに深い核のある細胞までくっきりと映し出されているような感覚になった。


10年ぶりの彼は、中学校の頃と変わらず活力に溢れていた。彼の恋愛話、自分の浮気された話、仕事が新しく変わったことなど、写真展の閉館時間まで彼が淹れてくれたコーヒーを飲みながら話していた。彼は常に前を向いていた。そして起こったことに対して、それは自分の成長のために必要なことだと受け入れていた。10年ぶりと思えないほど居心地が良くて地元からの彼の話す言葉からは、人生において自身と向き合い、困難を乗り越えてきた重みと優しさを感じた。

渋谷駅の改札で彼と別れ際、いつか一緒に仕事できたらいいねと握手をした。
彼の手からは強い意志を感じ、希望に満ちた未来をもらった気がした。
彼はまた個展を開くために進み始めた。私も新たな場所で始まったばかり。
「はじまり」に遅いも早いもない。
だから自分の未来に恋をしよう、そうすれば前を向いて生きていけるから。

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