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インタビューシリーズ#7 死んだ後も残るような文化を作る

こんにちは。このnoteでは、主に私が考えていることをコラムに綴っていますが、時々インタビュー記事も投稿しています。
友達や知り合いなど、私が個人的に話を聞きたい人に声をかけて、お喋りした内容を通して、その人の活動を紹介させていただきます。

今回は、高橋 郁子さんです。アニメや舞台など様々な作品に携わっていらっしゃる脚本家さんであり、特に朗読劇に力を入れ、独自のスタイルを構築している演出家さんです。

私: アニメや舞台など様々なジャンルの脚本を書かれていますが、どういった経緯で様々な脚本を書かれるようになったのでしょうか。

高: 高校の演劇部時代、自分が書いた脚本の劇を見た時に、違和感を感じました。頭の中では登場人物がアップになったりロングになったりしていたけれど、実際の舞台では、登場人物は客席から舞台上までの画角や距離でしか見られないので、頭に描いて書いた脚本のイメージと差異があったからでした。自分は“映像”を頭に描いて脚本を書くタイプなのだと気づき、舞台より映像の脚本のほうが合っているらしいと感じました。
その経験がきっかけで日本映画学校へ進み、卒業しました。元々「書くことで食べていけるようになりたい」と考えていたので、朗読劇やアニメの脚本の執筆をお声掛けいただいた時も、実写の映画の勉強しかして来ませんでしたが、「やってみよう」と飛び込むことにしました。

私: そこから朗読劇というジャンルに力を入れるようになったのは、どういった動機からでしょうか。

高: 実際に朗読劇の脚本・演出をやってみて、その“想像力で繋がり合う”という朗読劇の魅力にハマり、「より深く続けたい」と感じました。
ただ、朗読劇というジャンル自体にネガティブな印象を持つ人が多いことも知りました。「お芝居でやればいい」という意見だったり、「朗読劇やるんだーへぇー」くらいの反応が多かったりしました。でも私が接したお客さんは、朗読劇に感動して帰って行くので、その差異の原因は何なのかと考えました。
そうすると、“舞台で語られる特長を活かした脚本”つまり“朗読劇だから楽しめる脚本”が無いように思いました。お芝居でも楽しめたり、音声だけのラジオドラマとしても楽しめたりするようなものはあっても、朗読劇のために書かれた脚本が無いなと。そこから研究を始めました。「朗読劇とは何か」「舞台で朗読をやることの意味とは」「舞台を活かしたものを作るには」と、とても考えるようになりました。
朗読劇とは別の名称で新たなジャンルを構築しようとしていた時もありますが、「本物の朗読劇を見た」「このスタイルが朗読劇のスタンダードになればいいのに」と言って貰えることがあり、「朗読劇というジャンル自体を盛り上げたい」「そこで天辺をとりたい」と思うように感じました。
「朗読劇はつまらない」という印象を持っている人が私の朗読劇を観た時に感動して貰えたら良いな、と。

私: 「つまらない」と言われているような朗読劇と、高橋さんが作っている朗読劇の大きな違いは、どういった点でしょうか。

高: 登場人物達のそれぞれが台詞を言い終わる前に話し始めるなど、言葉を折り重ねて、観客の耳を飽きさせないような脚本を作っています。
また、とても音にこだわっています。人の感覚に訴えるような発し方を。
例えば“明るさ”という言葉があったとして、文字で見る印象以上に、音声からその“明るさ”を感じて貰えるように。
言葉には色があると私は思っていて、実際にお客さんからも朗読劇なのに「映像が見えた」「風や匂いを感じた」というような声がよくあります。
劇場という空間を活かして臨場感を出すこと、感覚に訴えることをやれているのだと思っています。“声で空間を変えて、声で映像を作る朗読劇”と言っています。

私: 確かに、拝見した朗読劇は動画でしたが全体のリズムや臨場感を感じました!個人的には、劇場のみにこだわらずオンラインでの発信も今後、積極的に検討して貰いたいです。

高: 確かに私も動画では伝えきれないと思っていましたが、いざやって見たら、「案外オンラインの配信でも伝わる!」と新たに知れたので、普通の朗読劇とは違うということを知って貰えて、魅力を広めるためにはオンラインも選択肢として一つ持てるようになりました。

私: 高橋さんの朗読劇の作り方を広める活動として、今後どんなことをされていきたいと考えていますか。

高: 何をやっているかを知って貰うために、今まで講師を招いて専門的なワークショップをしていましたが、今後はその前段階として「体験してもらう会」を地方を巡って、やっていきたいと考えています。
また、若い俳優さん達の鍛錬の場などを作ることも構想しています。
今は、このスタイルの朗読劇は私しか作れないので、将来的には作れる人・こういった朗読劇の脚本や演出をやりたい人も、育てたいし増やしたいです。
自分が死んだ後も残るような、新しい朗読劇の文化を広げるのが夢です。

私: 本当に朗読劇の新しい文化を作っていく可能性をとても感じます!
今後のご活躍も楽しみにしています。ありがとうございました。

今後も、コラムの投稿と並行して、こうしたインタビュー記事の投稿もしていきます。ここまで読んでくださってありがとうございました。


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