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【BL二次小説】 勇者ヤストモの冒険⑧


~京都伏見山~

 


 

荒「……ついに来たな」

 

荒北達はロードを停め、京都伏見山を見上げる。

 

 

 

東「この日のために練習を重ねてきたのだ」

新「オレのウサギ達も早く暴れたくてウズウズしてるぜ」

福「万全だ。オレ達は、強い!」

 

 

荒北は仲間達に向かって言う。

 

荒「必ず魔王御堂筋を倒す!そして全員で村へ帰るんだ。一人もリタイアなんかさせねェ」

 

 

4人は手を出して重ねる。

 

荒「行くゼ!」

「「「おー!!」」」

 

 

 

 

山の入口へ着くと、誰か一人立っている。

 

歯に何か金具を装着した、小柄な男だ。

 

 

水「止まれ!」

 

荒「一人目の手下だな」

 

身構える荒北達。

 

 

 

水「オレの名は水田信行!京都伏見山のキャプテンや!ここの門番を任されている!」

 

自信満々な表情で立ちはだかる水田。

 

 

新「キャプテンなのに門番?」

 

水田は新開のツッコミに対し大声で威嚇する。

 

水「御堂筋くんに『水際で敵を阻止するのはキャプテンの重要な役割や。ボクはキミには期待しとるんよ』と言われたんや!」

 

ニヤリと笑い、両手を高く掲げる水田。

 

水「フェイズ49は入山封じや!絶対に死守や!ゆずらへん!御堂筋くん!見とってやオレの仕事!御堂筋くん!」

東「メラ」

水「ぎゃーーーっ!」

 

 

水田は一瞬で跡形も無く消滅した。

 

 

 

荒「ハエみてェな奴だったな」

 

荒北達は悠々と入口を通過した。

 

 

 

 

 

5合目まで登ると、また一人立っていた。

 

石「そこまでだ!」

 

オールバックで真面目そうな顔つきをした男だ。

 

荒「3人の手下のうち2人目だな」

 

武器を構える荒北達。

 

 

 

石「オレの名は石垣光太郎。京都伏見山の主将や」

 

福「さっきの門番がキャプテンで、今度は主将……?」

 

荒北達は意味がわからない。

 

 

石「うちの御堂筋が色々迷惑をかけとるのは知っとる……。やけど、あいつが帰ってこれる場所はここしか無いんや……」

東「泣き落としか?」

 

石「うちらはこうして生きていくしかないんや。形は少しいびつかもしれんけどこれが、オレたち京都伏見というチームや!!」

荒「開き直りやがった」

 

 

石垣は何か呪文を唱え始めた。

 

 

新「根は悪い奴じゃなさそうだ。楽に逝かせてやろう」

 

新開は右手を挙げ、指をパチンと鳴らした。

 

 

ドドドド……。

 

どこからともなくウサギの群れがやって来て、石垣に飛び付く。

 

石「なんや!ウ、ウサギ?」

 

 

ウサギ達は石垣にギュウギュウと身を押し付け、全身を圧迫していく。

 

石「ううっ!なんて可愛い……がまんやがまん!がまんや石垣光太郎!!……ああ……やけど、萌え……萌え死ぬ……これがキュン死というやつ……か……」

 

バタッ。

 

 

石垣は安らかな表情で圧死した。

身体が次第に砂のようにサラサラになり、風に散っていく。

 

 

 

 

荒「さァ、先に進もうぜ」

 

 

荒北達は更に登って行った。




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