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エッセイ

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明るい夜にむかついた

明るい夜にむかついた

夜10時。
前の人の踵を眺めながら地下鉄から地上へと階段を上る。左の踵には「なんで」、右の踵には「どうして」と書いてあるのが見えた。左右の踵がリズムよく上っていくのと同時に、私の心に言葉が積もっていく。

右足。
「どうしてうまくいかないんだ。」
左足。
「なんでダメなんだろう。」
右足。
「どうしてできないんだろう。」

言葉がどんどん積もっていって重くなる。
マイナスなイメージがどんどん積み重

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betterとbestの間に

betterとbestの間に

「皆、betterとbestどっちがいいかな?」
「先生、bestです」
「私もbest」
「bestっててっぺんですから」
「でもてっぺんって成長しないよね」
「いえ、また次のベスト目指しますから」
「それって言ってみればベターじゃないかな?」
「うわ、論破されている」

私の生活の傍にはいつもラジオがいて、家事や作業をする時もラジオを聴いていることが多い。その時はオードリーのオールナイトニッポ

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犬/保護犬をお迎えした話

犬/保護犬をお迎えした話

「うちに犬がいる……。」

家に帰って玄関のドアを開けると必ず、タタタッと音がする。
元保護犬のヨークシャテリア、女の子で名前はパル。
家に帰るといつも出迎えてくれる。
初めて会った人と目が合った時のような恥ずかしさというか、少しのくすぐったさ。
パルと暮らし始めてから3年が過ぎても、この瞬間だけは不思議な気持ちになる。

「あんなに犬嫌いだったあんたが、まさか自分ちで飼い始めるなんて。」

保護

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音楽/ライブで心が軽くなった話(礼賛「PEAKTIME」)

音楽/ライブで心が軽くなった話(礼賛「PEAKTIME」)

3人の巨人

私にとっての人生のイメージは、3人の巨人が天を支える姿。
「アトラス」で検索して、天を支える巨人の画像を見てみてほしい。
神話に出てくるアトラスという巨人は天を支える役目を与えられたが、辛くなってしまいなんとかしようとする話。
子供の頃アトラスの話を聞いて、教訓はなんだったのかよくわからなかったけど、1人じゃなくみんなでやればよかったのになと思っていた。
天が私にとっての人生で、3人

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サウナ/なにもしないをする

サウナ/なにもしないをする

最近の私はサウナ中心に回っていて、週に一度のペースで通っている。
書いていて気がついたけど、生活のリズムだけじゃなくて立地的にも中心かもしれない。というのも私がよく行くサウナは街の真ん中にあるのだ。A駅から歩いて15分、B駅からも歩いて15分、自宅からも歩いて15分。
この15分という距離感もめちゃくちゃ好き。軽い気持ちで行くには遠く、重い腰を上げてというには大袈裟すぎる。なんとなく以上、わざわざ

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