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雨音ムッツ
2023年10月15日 08:37
嘘しかつけない日に良い事があった。正直に過ごそうとした日は怒られた。嘘をついてはいけませんと教えられたけど、正直なことが良いわけではないらしい。ついていい嘘というのもあるらしい。嘘をついて、笑って見せた。正直に泣いた。朝から、元気に挨拶した。やりたくないことを断った。みんなの話題に話を合わせた。知らないところで起きた悲惨なニュースを消して、ゲームの続きをした。もう会う気のな
2024年3月19日 06:57
罪悪感を感じたというのが、はじめて恋を知った日の感想だった。 その日、はじめて床屋に入った。中学に入学するからと父に連れられて入った床屋にあなたがいた。 決して手が届かないと思った。けれど、それと同時にふれてみたいとも思った。手を伸ばしたいというより手を引かれていく、そういった感覚だったのを覚えている。 まだ髭の生えていない頬をカミソリで剃る前に、あなたがゆっくりと撫でていった。冷たい手
2024年1月7日 08:22
背伸びの上手い人たちに囲まれた幸せな時間だった。ちょっと高いところにあるものを無邪気に取る人たちだから、そこには憧れも混じった驚きがあって自分の心まで両手で掬い上げられたような感覚がしていたんだ。そんな人たちの中で、格別に背伸びの上手かったキミに惹かれていた。
2024年1月4日 05:49
シッポを切り離したトカゲは、自分のシッポのことをいつまで覚えているのだろうか。命の危険から逃れるために仕方なく切り離すのだから、逃げる事に全力を注いでいて、それどこではないだろう。でも、ボクなら後で気になって、一度見に戻りたくなると思う。すぐに戻るのは危険だとしても、ほとぼりが冷めた、そう、何年かたった後なら大丈夫だろうと見に行ってしまうと思う。ボクにとってその人は、そんな思い出だった。勝