英語モードのつくり方。鍵は英語と日本語の伝え方の「順」の違いです。(英語の筋道 ver 1)
こんにちは、語学の裏設定のゆうです。今日は思考の順を変えるだけで、英語モードに入れてしまうというお話です。
・英語を話す時に、何が要点か分からないと言われたことはありませんか?
もしかしたらその原因は、単語力や文法力ではなく、伝え方の順にあるのかもしれません。
日本語講師歴6年、英語講師歴11年の経験と事例を基に、皆さんの英語を光らせる伝え方の技術と美術について解説していこうと思います。
1.英語と日本語の思考回路の違い
意外だと思われるかも知れませんが、日本人が話す英語はわかりにくいと言われることが多いのです。
これは、英語が「結論サンドイッチ論法」をとるのに対して、日本語は「結論デザート論法」をとるからなのです。
・英語は結論サンドイッチ論法
英語は結論を初手で言い、その後に理由と事例を出し、もう一度結論で閉じる「結論サンドイッチ思考」を好む言語です。箇条書きにするとこうなります。
・結論
・理由
・事例
・結論
理由が2つある場合はどうするかというと、
・結論
・理由1
・事例1
・理由2
・事例2
・結論
このように肉厚にしていきます。
具体例で結論サンドイッチを作ってみましょう。
[結論] 食物繊維はダイエット効果がある
[理由] 油分の吸収を抑えるから
[事例] 毎日●g摂取したら、●ヶ月で●kg痩せた
[結論] だから食物繊維はダイエット効果があると言える
頭にスッと入ってきませんか?
・日本語は「結論デザート論法」
結論が先行する英語に対して、日本語は最後まで待たないと結論が分からないという「起承転結」型をとります。
これを「結論の出し惜しみ」と呼べば、一番美味しいものをコース料理に最後にやっと食べられる感じに似ているので、「結論デザート論法」と勝手に名付けたいと思います。「事例」、「理由」という言葉を使って箇条書きで表せば、
・事例
・理由
・結論
もしくは、
・理由
・事例
・結論
となるでしょう。
先程の食物繊維の話を日本語の思考フォーマットに置き換えると、
[理由] 食物繊維には油分の吸収を抑える効果がある
[事例] 毎日●g摂取したら、●ヶ月で●kg痩せた
[結論] だから食物繊維はダイエット効果があると言える
となるでしょう。
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英語圏の人は結論を先に聞きたいのです。デザートのタイミングでは遅すぎるのです。和食と洋食の構成やら習慣が違うように、日本語と英語の伝え方の構成も習慣も違うのです。
だから、日本語の「結論デザート論法文化」を英会話に持ち込んでしまうと、奇妙なねじれが発生し「何が要点か分からない」と言われる現象が起きるのです。
英語を話すときは結論から話す、小さな心がけで大きな変化が生まれるはずです。これが英語モードに変身するアクションです。
日本語と英語の伝え方の違いが分かった所で、一度海外の日本語教育事情に目を移し、思考回路の違いについての理解を掘り下げていきましょう。
英語で例を出すより、みんな平等に分かる日本語の例を出そうと思いました。
2.結論から話す訓練をする、海外の日本語教育事情
日本の高校で英語が外国語科目として履修できるように、オーストラリアの高校では日本語を学ぶことができます。
日本の高校英語ではまだまだ読むこと・聞くことに主眼が置かれていますが、オーストラリアの日本語の授業では話すこと・書くことが重視されています。
事実、700語程度の作文で成績の30%が決まったり、スピーキングのテストで成績の25%が決まったりと、アウトプットへの本気度が数字からひしひし伝わってきます。
私はよく現地の学生に日本語を教えており、最近スピーキングテストの対策授業があったので、回答例を1つ例に出そうと思います。
Q:高校生のアルバイトは、いい事だと思いますか。どうしてですか。
という問について回答していくのですが、回答例を見る前に是非一度答えを考えてみてください。
。。。
。。。
用意はいいですか?
それでは回答はこちら。
日本語を学んでまだ3年程度なので文法的なミスがありましたが修正しておきました。
高校生のアルバイトは いい事だと思います。
それは、お金がたいせつだということを 知ることができるからです。
アルバイトをしない人は、親からお金をもらって、買いものをします。
そのお金は自分のものではないから、あまりたいせつにしないと思います。
しかしアルバイトをする人は、お金がどのくらいたいせつかを 知ることができます。
高校生の時からそれを分かることは いい大人になるじゅんびだと思いますから、高校生のアルバイトはいいことだと思います。
いかがですか?結論サンドイッチの型にピタリとハマっていませんか?
[結論] 高校生のアルバイトは いい事だ。
[理由] お金の大切さを知れる
[事例] 買い物、大切にする、大切にしない
[結論] だから高校生のアルバイトは いい事だ。
なんとなく感覚は掴めましたでしょうか?
3.日本語式、英語式、どちらも大事
このような話をすると、日本語的な伝え方は悪だから排斥しよう!という方に時々出会いますが、それはちょっともったいない考え方だと思います。
鍵は使い分けです。
フォークで食べたほうが食べやすい時もあれば、お箸を使ったほうが良い時があるように、英語の伝え方が良い時のほうがありますし、むしろ日本語の伝え方が良い時もあります。
一概に言うのは難しいですが、やや荒く言えば
・英語式は、要点を抑え簡潔に伝えたいときに向いています。
・日本語式は、話を盛り上げオチを付けたい時に向いています。
となるでしょう。相手がゆっくり話を聞く時間がない会議の時や、ビジネスメールでは英語式のほうが向いていることでしょう。
対してプレゼンなど、ワクワク性を持たせたい時は日本語式のほうが向いていることでしょう。
日本語と英語、どちらが優れているか、ではなく、どういう時にどう使い分けるかが肝心だと思うのです。
そういった点では、伝える技術とは美術です。
私が1週間に2回くらいは言うフレーズの中に「美はそれを見る人の目の中にある」というものがあり、見る人によって何が良いか悪いかが変わるという意味合いです。
伝え方の技術も、属する文化圏、または同じ文化圏でもシチュエーションによって良し悪しが変わります。
美術そのものに良い悪いが無いように、伝え方それ自体には良い悪いが無いのです。
なので、英語を学ぶ人は母国語である日本語を批判せず「日本語は英語とは違う美術品なのだ」くらいの割り切った気持ちで、英語も日本語も見ることができたら最上なのだと私は思います。
いかがでしたか?
英語モードに切り替えたいときはまず、結論を考えましょう。それを支えて上げる感じで理由と事例を上げていくと、語彙力や文法がなくても思ったより話せるな!と思えるはずです。
英語モード、日本語モード、その差は単語力と文法力以外にもあるんだな、となんとなくでも良いので納得してもらえたら嬉しいです。
そして、語学って面白いな、と思ってもらえたらなおのこと嬉しいです。
この世界は広いです。様々な国、言語に溢れています。何全色にも溢れている世界を、日本語という1つの色だけで生きるのはもったいないような気さえします。
探求を、続けよう。
PS
本記事では日本語モードを「結論デザート論法」、英語モードを「結論サンドウィッチ論法」と、食べ物を使って例えてきましたが、語学は実に料理と同じだと思うのです。
単に私に食品科学のバックグラウンドがあるからなのかもしれませんが、英語は料理のように学べると思っています。
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