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読書記録_本

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読書(漫画以外)の記録。 名前が覚えられないため、外国の本があまり読めない。まほろ市出身。 Instagramにも載せています。 https://www.instagram.co…
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『宝石の国』『市川春子作品集』市川春子

『宝石の国』『市川春子作品集』市川春子

私の2019年ベストマンガ暫定1位。『宝石の国』。というか、市川春子さんが素晴らしい。短編集もすばらしい。マンガサイト「アル」に『宝石の国』レビューを書いたので、お好きな方はぜひお読みください。(アルは許可済の作品に限っては、コマの引用ができて、好きなコマを引用させてもらってます…!)

彼女の作品から高野文子さんを思い浮かべる。インタビューに書いてあったのだが、市川さんも高野文子さんがお好きだそ

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『大奥 17巻』 よしながふみ

『大奥 17巻』 よしながふみ

キツく見えるけどいい人、あんまり良くない人、頑張った人・・・と色々な将軍や周りの人がいたと思う。記憶力が乏しいので話を隅々まで思い出すことができないが、大奥の過去巻は実家などに散逸しているため、読み返せない。でも17巻だけ読んだとしても、よしながふみさんのはすごさはわかるんじゃないか。

赤面疱瘡で男子が激減し、女が徳川将軍を担う世界。もちろん大奥に集うのは男たち。でも話のメインになっているのは大

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『いつかティファニーで朝食を』14巻 マキヒロチ

『いつかティファニーで朝食を』14巻 マキヒロチ

“涙袋”って言い得て妙だな、と14巻のそれぞれのストーリーごとに涙の水位が、頭蓋骨と顔の皮の間で上がっていくのがわかった。涙が溜まるのは、この“涙袋”ってところだ。というくらいに、それぞれの登場人物が自分の道を見つけていくのがわかって本当に嬉しかった。マンガサイト『アル』のレビューに書いているけれど、私はもう彼女たちが他人には思えない。

連載当初28歳だった主人公たちのお話は7年を経てついに連載

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『創太郎の出張ぼっちめし』1-3巻 マキヒロチ

『創太郎の出張ぼっちめし』1-3巻 マキヒロチ

「ほんっと創太郎腹立つわ~」と思いつつ「でも男子ってこんな感じだよな」と思い、「でも悪気はなくてわかりやすい人かもしれん」と思い、「あんたしょうがないね!」と受け入れだした自分の変化に驚く。

創太郎は、ドラマにもなった女子の朝食マンガ『いつかティファニーで朝食を』の主人公にフラれた元彼である。出版社の営業で、顔はまずまず、オシャレで年収800万円だが、別にモテない。彼は全国の書店巡りに行っても名

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『宝石の国』3-5巻 市川春子

『宝石の国』3-5巻 市川春子

絵の美しさと世界観に感服した1,2巻。みてこの表紙。宝石を人として描くとこんな風になるのね。光と透明感なんて描けなくないかい?5巻の表紙なんて蝶が舞って透けているのですよ…美しい。帯の幅やフォントも洗練されていてなんて綺麗なんでしょう。さらに謎と深みが増す3-5巻。

宝石の子供たち(長生きだけど見た目は中性的な子供)を指導するのは「先生」というイケメンのお坊さん。彼らの世界に仏教というか宗教が存

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『プリニウス』 1-8巻 ヤマザキマリ、とり・みき

『プリニウス』 1-8巻 ヤマザキマリ、とり・みき

私は人の名前が覚えられない。直接会った日本人の名前も難しいのに、昔の人や外国人は難易度が高すぎる。でも、歴史には面白い話がありそうだし、人生の役にたったりするらしいので読みたい。そこでマンガなら頭に入るかもしれないと、『プリニウス』を読んでみた。

プリニウスは西暦23年-79年に生きた古代ローマの博物学者で政治家、軍人。ローマ帝国の属州総督をしながら各地を巡り、百科全書『博物誌』を記した。古代ロ

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『西荻夫婦』 やまだないと

『西荻夫婦』 やまだないと

ああああああ『西荻夫婦』だー!約20年前読んでた!東京に住んでいたけれど当時西荻窪に行ったことのなかった私が、西荻窪の2つ先の駅のカフェで再会。今日はただの私の思い出話です。

西荻窪に住むマンガ家ナイトー先生と奥さんの生活を綴るマンガ。西荻窪に実在するお店が登場する。いつか「甘いっ子」でかき氷を食べようと思いつつ、今年も食べていない。でも喫茶店「それいゆ」でこの間オムライスは食べた。すっかりマン

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『よん&むー』 伊藤潤二

『よん&むー』 伊藤潤二

たまたま入ったカフェに諸星大二郎のマンガがたくさんあった。先日UPした『あもくん』を読み終えた後、見まわしたら伊藤潤二のこのマンガがあった。ここのオーナーさんの好みが伺える。伊藤潤二のホラーマンガを読むのは怖いけれど、猫の話なら読めるかもしれない。わー、なにこれーおもしろい!!!

奥様の石黒亜矢子さんが越してくる時に、連れてきた猫「よん」、そして一緒に飼うことになった「むー」と一緒の暮らしを描い

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『あもくん』 諸星大二郎

『あもくん』 諸星大二郎

たまたま入ったカフェは、諸星大二郎のマンガが充実していた。普通のオシャレなカフェなのに。以前、諸星さんの『暗黒神話』を読んだが、重くて怖いので「私には早いんだな」とその後作品を読まずにいた。だがしかし、この充実ぶりを見だら読まずにはいられない。比較的雰囲気が軽そうな『あもくん』を手にとった。

幼い従妹に「あもくん」と呼ばれる息子、守(まもる)。主人公はこの守のお父さん。家の中に謎の手形が現れたり

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『ミステリと言う勿れ』5巻 田村由美

『ミステリと言う勿れ』5巻 田村由美

さすが…さすがすぎる田村由美先生…。人に勧めると「面白い(マジ顔で)」という感想が返ってくるマンガ。名作『BASARA』は27巻、『7SEEDS』は35巻まで行っているけれど、まだ5巻なので全然追いつけます。

友達のいない大学生、久能整(くのうととのう)が細かいことに気づいたり、会話をしながら謎を解いていくミステリ。冤罪で警察に拘留されても、刑事たちの心を一人ずつ掴んでいき、疑惑を晴らす。情熱的

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『宝石の国 』1,2 巻 市川春子

『宝石の国 』1,2 巻 市川春子

こんな世界は初めて。こんな美しい絵を、世界をマンガは表すことができるんだ。すごいなあ。としみじみ思った。

主人公はフォスフォフィライト。実在する非常にまれな薄緑の鉱物の名前である。硬度は三半ととても低く、脆い。彼の住む世界には「ダイヤ」や「ルチル」といった鉱物の名を持つ人型の生き物たちが暮らしている。そして月から「月人(つきじん)」たちが、宝石である彼らを奪いに襲撃してくる。鉱物ベースのキャラク

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『マンガ家再入門』1-2巻 中川いさみ

『マンガ家再入門』1-2巻 中川いさみ

ゲストがすごい。大友克洋、松本大洋、ちばてつや、弘兼憲史、諸星大二郎、東村アキコという漫画家から、演劇の松尾スズキ、鴻上尚史、日本画家の山口晃などなど。借りた1巻で止めようと思ったら、続きが読みたくて電子書籍で2巻を購入。

私は『スピリッツ』で読んでいたギャグマンガ家の中川いさみさんがデビューから30年を経て、新たにストーリー漫画を描こうとする。さしあたっては先輩方に描き方を習おう、というインタ

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『細野不二彦短編集』2,3 細野不二彦

『細野不二彦短編集』2,3 細野不二彦

お盆に実家に帰ったら「読む?」と母から言われたのでありがたく読む。彼女は『ギャラリーフェイク』が好きなのだ。私も好きだけど。1巻がなかったらしいので、2巻と3巻。

『ギャラリーフェイク』の細野不二彦さんによる短編集。私は一時期、骨董屋に勤めていてその時に勉強を兼ねて読んだのが『へうげもの』と『ギャラリーフェイク』。(私は何か新しい知識を入れようとするときはまず漫画を探す。発酵、医療、日本/ローマ

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『町田くんの世界』 安藤ゆき

『町田くんの世界』 安藤ゆき

あぁ、恋に落ちるってこういうことだ。世界に私と彼しかいなくなって、その間に存在するものがない。だから無防備な自分になる。えっ、不安・・・でも、何だろう、戸惑いだけでなくて高揚感もあって・・・と最初のエピソードでがっつり町田くんに恋をしたのは、彼が私好みのメガネ男子だっただけではない。

町田くんがどういう人かを知らない人に説明しよう。大家族の長男の高校生だ。勉強もできないし運動もできない。料理もで

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