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小さな図書館

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ほかの人の好きな「note」を集めている。言葉、絵や写真、映像や音楽。読み返したり、もう一度見たり、聴いたりすることはあまりないと思う。じゃあなぜ集めているのかと問われると、なん…
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記事一覧

自分の言葉①   小林康夫先生

自分の言葉① 小林康夫先生

二〇一八年暮れのことです。
フリーランス校正者として通っている出版社の大理石の床の上に、十五センチくらいの一本糞が落ちていました。目を疑いましたが、どう見ても人糞でした。一階の奥の図書室につづく廊下を歩いていくと、トイレの手前に落ちていたのです。
大理石のビルにはもう十五年余り通っていますが、人糞に遭遇したのは初めてのことでした。あまりにも思いがけない景色だったせいか、たちまち動悸がしてきました。

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子ども部屋に戻ってきたおじさん

子ども部屋に戻ってきたおじさん

 ああ姉さん久しぶり。電話かけてくるなんて珍しいね。ゴールデンウイークも夏休みもコロナでこっちに帰って来なかったから結構長く会ってないね。おかんはコウタたちに会えなくて寂しがってるけど、お義兄さんとかコウタ、かれんは元気?お義兄さん相変わらずタイガースに入れ込んでんの。あの恥ずかしい刺繍入りの特攻服みたいなハッピ着て、かれん連れて甲子園行ってるんや。お兄さん背え低いから、ぶかぶかの特攻服地面に擦っ

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おばけについて

おばけについて


私はなぜ おばけなのか気付いたときから私は、自分の存在というものに違和感を持っていた。
自分はこの社会という場所では価値の無い異物であり、ここに関わる事はできない。そんな風に感じていた。普通の人とは違い、決定的な何かが欠けている。自分に魂というものが無いような気がする。みんなと同じ場所に居るのに自分はそこには居ない、という感覚を、なんだかおばけみたいだなと思ったら、とても腑に落ちた。私はおばけだ

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作者という嘘

作者という嘘

 中学生の頃、学校にはほとんど行かなかったが夏休みの宿題として出された読書感想文だけを書き、それが東京都で優秀賞だか何かを受賞したことがあった。地元でちょっとしたニュースになり、学校で地域誌のインタビューを受けた際、私は、「感想文の域を超え、複雑化する社会と親子関係を鋭い洞察力と洗練された言葉で批判したもはや解説書であり、中学生ながら田部マリさんは社会と家族の関係性の変化について鋭い眼差しを有して

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私が「直感」を信じられるようになった夜

私が「直感」を信じられるようになった夜

「娘さんですか?」

五反田のとある居酒屋。赤提灯がぶら下がっている、いかにもサラリーマンが好きそうなお店で、私は出張に来ていた父とカウンター席で飲んでいた。

「あ、はい。そうです」

ほんのりと顔が赤くなった父が答える。

父の隣に座っていたサラリーマン風の男性が声をかけてきた。父よりだいぶ若く40代前半くらいに見えるその人は、一人飲みのようだ。

「そうですか。娘さんとこうやって一緒に飲める

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男社会で負けて男をやめた話

男社会で負けて男をやめた話

まず、私は男社会で完全敗北した男です。
もう2度と社会に戻ることはないでしょう。

『強い男』になりたかった男でした。

警察官。現場作業員。前科者だらけのブラック企業。
・・・これまで私が勤めてきた会社はどれも、過剰なほど『男らしさ』を求められる男の職場ばかりでした。

男は男らしさを求められるあまり、
苦しんだり、苦しめたりしてしまうことがある。

最近では「男は弱くても良い」という意見をたび

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愛をあるだけ、すべて

愛をあるだけ、すべて

2018年10月29日、子どもが産まれた。

振り返ると、とても充実した1年だった。何年後かに振り返った時に、いつの時代に戻りたいかと聞かれても、多分2018年は選ばない。軽くハイになっていたかもしれない。こんなに一年を長く感じたこともなかった。

僕は40歳くらいで死ぬと思っていた。希死念慮があるとかじゃなくて、漠然と、僕の人生がそこから先に存在していると想像できなかった。父親が四十代で突然死ん

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もう会えない人たちについて 「はじめに」

もう会えない人たちについて 「はじめに」

もう会えない人たちについて、書こう。
そう思いついたのは、つい最近のことだ。

ライターとしての仕事にいきづまり、私的な文章まで書けなくなってしまっている間、それでも私は「何かを書きたい」とずっと考えていた。何も書けないのに、何かが書きたい。でも、何が書きたいのかわからない。一体、何なら書けるのか。

そんなことを考えながら、半年が過ぎ、一年が過ぎ、私は仕事として書くことをやめた。そして、昔してい

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