田中青紗(たなか あさ)

エッセイと物語を書く人。ライター。まだ夜が明けてほしくないと思う人が、布団の中で読… もっとみる

田中青紗(たなか あさ)

エッセイと物語を書く人。ライター。まだ夜が明けてほしくないと思う人が、布団の中で読みたくなる文章を書いています。noteで作品公開中。お茶の時間と朝ごはんが好き。Instagram▶︎https://www.instagram.com/tanakaasa_life/

マガジン

  • かわいい栞(しおり)

    • 8本

    イラストレーター・あきこばさんとのコラボ作品。田中青紗が暮らしの中で見つけた「かわいい」を紹介するエッセイ連載です。全五回。

  • 今夜、ご自愛させていただきます。

    「ご自愛」がテーマの連載小説です。全12話予定。

  • 短編小説まとめ

    これまで書いた短編小説をまとめました。

  • ふみのわ

    • 44本

    文芸部「ふみのわ」の文芸集です。 顧問のわたし、文(ふみ)先生が定期的に課題 "ぶんげぇむ" を出しますので、部員の皆さんはしっかりと課題に取り組んでくださいね! もちろん部員でない方も、ご自由にお読みいただけます。 ぜひフォローしてくださいね。

  • note毎日更新した記録

    2019年7月〜2020年12月末まで毎日更新したnoteの記録です。

最近の記事

  • 固定された記事

【第1話】今夜、ご自愛させていただきます。

「もしかして、お客様も“ゴジアイ”ですか?」 喫茶店のテーブル席。深い赤色のソファに座り、ノートに文字を書き込んでいた私に声が降ってきた。 「えっ?」 3ヶ月前の冬、私は「ご自愛」に出会った。 *** 「ははん。さてはデートですな」 遅番スタッフの杏子ちゃんはニヤニヤしながら私を上から下まで見ている。いつもと少し違う雰囲気の私服に着替えたからといって、すぐにデートと結びつけるのはいかがなものか。何度も「違う」と言っているのに、恋愛大好き・杏子ちゃんは「良子さんデー

    • 宇都宮で餃子を食べてきた休日

      秋の三連休、餃子を食べに宇都宮に行ってきました。 前から宇都宮で餃子巡りがしたいなと思いつつ、なかなか実行に移せずにいた私。しかし、ふと「そういえば私宇都宮に餃子を食べに行きたいんだった!」と強い思いが芽生え、休日の前々日くらいに餃子巡りを決定。サクッと行ってきました。 どんな様子だったのか、ご紹介します! *** 「餃子の街」として知られる栃木県・宇都宮。市内には多くの餃子専門店があります。私は東北新幹線で通過したことはあったのですが、街に降りるのは今回が初めてでし

      • 腰が重くなるのは、まだ先がいい

        ある日の23時45分。 私は途方に暮れていた。 あと15分で明日になり、明日には私はこの家から引っ越しをするのに、全く荷造りや掃除が終わっていないからだ。 部屋全体を見てみると、商品撮影のために使ったお皿が出しっぱなしになっているし、シンクにはまだ洗っていないコップが置いてある。細々とした雑貨や服がベッドに散らばっているし、掃除は手付かずのままだ。まだお風呂にも入っていないし、なんなら仕事もちょっと終わっていない。止めを刺すかのように、本が入った重い段ボールを動かしてい

        • スマホ画像プレゼント【かわいい栞(しおり)】

          イラストレーター・あきこばさんとのコラボエッセイ作品「かわいい栞(しおり)」の連載を記念して、スマホ用画像を2種類プレゼントいたします。 以下、画像保存をしてご利用ください! あきこばさんに2種類も作っていただきました。どれもとてもかわいいですよね。一枚目の空の色、素敵だなあ。二枚目には推しのアヒルもいる〜〜! 私は早速待ち受けにしました。ぜひお揃いにしましょう。 ***

        • 固定された記事

        【第1話】今夜、ご自愛させていただきます。

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          田中青紗(たなか あさ) 他
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        • 短編小説まとめ
          田中青紗(たなか あさ)
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          文芸部『ふみのわ』 文先生 他
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          田中青紗(たなか あさ)

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          エッセイ連載、ありがとうございました【かわいい栞(しおり)あとがき】

          7/2から始まったエッセイ連載「かわいい栞(しおり)」。全五回の内容で、先日最終回が公開されました。 読んでくださった皆様、本当にありがとうございました! 今回のnoteは、連載の「あとがき」として、これまでの振り返りやエッセイへの思いなどを綴っています。あきこばさんから読者の皆様へのメッセージもありますよ。また、最後にはプレゼントのお知らせがあります! *** 夏の間のチャレンジとして、イラストレーターのあきこばさんと一緒に駆け抜けてきた二ヶ月。準備期間を含めると約

          エッセイ連載、ありがとうございました【かわいい栞(しおり)あとがき】

          最終回:おばあちゃん 【かわいい栞(しおり)】

          「あーちゃんは、いつもかわいらしい服着てるなあ」 兵庫に帰省したとき、私はリビングのソファに座る祖母の元へ真っ先に向かう。そろりそろりと近づき、静かに祖母の前に立つ。 この頃の祖母は目が随分と悪くなっていたため、すぐに私が帰ってきたとは気づかない。いつも突然目の前に現れた人の気配を少し見つめた後に、ハッと気がついて声を上げる。 「あーちゃんか!おかえり!帰ってきてたんか」 実家に帰る度に喜んでくれる祖母の姿にはいつも癒される。毎回驚かせたい気持ちを込めて、事前に祖母に

          最終回:おばあちゃん 【かわいい栞(しおり)】

          第四回:ふわふわ・ふかふか・もふもふ 【かわいい栞(しおり)】

          私は時折「顔をうずめたい」衝動に駆られる。 例えば、ふわふわの毛布、ふかふかのクッション、動物のもふもふとした毛並み、柔らかそうな布、ちょうどいい誰かの胸の中……。 忙しい現代を生きていると、ふとしたときに猛烈に「ふわふわ・ふかふか・もふもふ」したものに癒されたくなる。私を全面に受け止めて優しく接してくれる場所はないかと考え出す。ぐるりと周りを見渡し“良さそう”なものを見つけた瞬間、そっと近づき静かに顔をうずめたくなるのだ。 うずめている時間は終始穏やかで誰かに急かされ

          第四回:ふわふわ・ふかふか・もふもふ 【かわいい栞(しおり)】

          第三回:水滴がついたクリームソーダ 【かわいい栞(しおり)】

          昨年、アイスクリームディッシャーを買った。 アイスクリームディッシャーはアイスを丸くくり抜くためのスプーン。クリームソーダ作りにハマったのがきっかけで購入した。今までは大きめのスプーンを二つ使ってなんとか丸くしていたけれど、次第に私の中で「綺麗な丸を作りたい」という願望が膨れ上がり購入に至った。 正直、アイスはすぐに溶けるので形なんてどうでもいいかもしれない。丸くくり抜いた先には自己満足しかないのだけれど、私はくり抜くことに美学を感じている。 丸くくり抜いたアイスをソー

          第三回:水滴がついたクリームソーダ 【かわいい栞(しおり)】

          第二回:もちろん、と言ってくれる人 【かわいい栞(しおり)】

          窓から柔らかな日差しが差し込んでいる。 運ばれてきたアイスカフェオレは、コーヒーとミルクの層が綺麗に分かれていて、かき混ぜるのに一瞬躊躇してしまった。最初にそのままストローで少し吸ってから、意を決してぐるりと混ぜてみる。グラデーションが広がっていく。 休日の昼下がり、私はカフェで友人と向かい合って話をしていた。 店内には木の温もりが感じられるテーブルや椅子の他に、アンティーク雑貨がところどころに置いてある。料理は手が込んでありどれも美味しい。人気のお店だそうでその日は満

          第二回:もちろん、と言ってくれる人 【かわいい栞(しおり)】

          【第8話】 今夜、ご自愛させていただきます。

          <第1話はこちらから> <第2話はこちらから> <第3話はこちらから> <第4話はこちらから> <第5話はこちらから> <第6話はこちらから> <第7話はこちらから> 月明かりが病室を照らした。カーテンを開けたままの窓辺に近づき空を見上げてみると、まんまるな月が浮かんでいて思わず「わあ」と声が出る。「クリームソーダのアイスみたい」と言うと、「大きいなあ」と楽しそうな声が返ってきた。 急に、今までぼやけていた“現実”が、輪郭を濃く太いものにした。不安が私をじわじ

          【第8話】 今夜、ご自愛させていただきます。

          第一回:緑と透ける栞 【かわいい栞(しおり)】

          カラーバス効果は、不思議なものだと思う。 心理学用語の一つであるらしい「カラーバス効果」とは、ある特定の物事を意識し始めると、それに関連する情報が自然と目に留まってしまう現象のことを言うらしい。例えば、今日一日「赤色」を意識してみようと思うと、赤いものばかりが目についてしまう、といったように。 意識一つで見える世界がぐるりと変わってしまうなんて、なんだか不思議である。簡単に変わってしまうからこそ、私は日々の暮らしの中で何を意識して生きているのだろうと考えてしまう。 どう

          第一回:緑と透ける栞 【かわいい栞(しおり)】

          いつか会いたいと思っていた人には、きっといつか会える

          先日、東京・小金井市にあるお菓子屋「sofar」さんで開催中の、イラストレーター あきこばさんのミニ個展へ行ってきました。 あきこばさんは、以前公開した作品「私が私であるための、ご自愛ルーティン」でコラボし、挿絵を描いてくださった方です。 (こちらの作品、たくさんの方に読んでいただきとても嬉しいです。ありがとうございます!) 個展では、sofarさんで作られているお菓子に、物語を込めた作品を描き下ろしされています。 もともとあきこばさんのファンであることと、コラボのお

          いつか会いたいと思っていた人には、きっといつか会える

          \\ おしらせ // イラストレーター・あきこばさんとのコラボ作品第二弾。前作のお礼を兼ねてnoteでエッセイ連載を始めます! ・全5回予定 ・第1回:7/2(日)18:00〜公開 ※隔週日曜更新 私が暮らしの中で見つけた「かわいい」を紹介する連載です。どうぞお楽しみに!

          \\ おしらせ // イラストレーター・あきこばさんとのコラボ作品第二弾。前作のお礼を兼ねてnoteでエッセイ連載を始めます! ・全5回予定 ・第1回:7/2(日)18:00〜公開 ※隔週日曜更新 私が暮らしの中で見つけた「かわいい」を紹介する連載です。どうぞお楽しみに!

          \\ 100スキありがとうございます // イラストレーターのあきこばさんとコラボした作品「私が私であるための、ご自愛ルーティン」沢山の方に読んでいただきました。見てくださった皆さん、ありがとうございます! お礼企画として、現在新しいコラボ作品を計画中。またお知らせしますね。

          \\ 100スキありがとうございます // イラストレーターのあきこばさんとコラボした作品「私が私であるための、ご自愛ルーティン」沢山の方に読んでいただきました。見てくださった皆さん、ありがとうございます! お礼企画として、現在新しいコラボ作品を計画中。またお知らせしますね。

          連休中に爆買いした「パンと焼き菓子」の記録

          毎年GWは小麦探しの旅がしたくなる。 パンや焼き菓子を中心に、小麦を使った食べ物が猛烈に買いたくなります。一年中探して食べているはずなのに、気候が穏やかな新緑シーズンは、歩き回りやすく商品の持ち運びもしやすいため、購入に拍車がかかってしまう……! GWが近づくにつれて、もう一人の私が言うんですよね。 「そろそろじゃね?」って。 「爆買いの季節、きましたよね?」って。 私の金銭感覚を一番狂わしてくるのが小麦たちです。 これまでは「本だったかな〜?★」なんて思っていた

          連休中に爆買いした「パンと焼き菓子」の記録

          私が私であるための、ご自愛ルーティン

          ガチャリとドアを開けた瞬間、これまでピンと張り詰めていた何かが一気に緩み始めた。 早く早くと誰にも背中を押されていないのに、素早く鍵をかけて暗闇の中を進む。電気のスイッチを押す。部屋が明るくなる。カバンを床に置き、着ていた薄手のコートを脱いだら、どっと疲れが押し寄せてきた。 「はあ、疲れたあ」 毎年春は疲れやすい。“新生活シーズン”は期待が膨らむ一方、一年の中で最も心細くなってしまう。 フリーランスとして働いている私にとって、春は何かが大きく変わるわけではない。新しい

          私が私であるための、ご自愛ルーティン