【第2話】 今夜、ご自愛させていただきます。
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「健斗くんと別れたの?」
ワイングラスを持ち上げた手が止まった。さっきまでゲラゲラと笑っていた弥生の顔が一瞬にして驚きの表情に変わった。大学時代に弥生と出会ってから、これまでいろんな話をしてきたけれど、よくない報告をするときはいつも申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまう。
「うん」
「……そっかあ」弥生はグラスを置き、少し遠くを見ている。
今日は月一恒例のご飯会だ。毎月交代で行きたいお店を選んでいて、5月は私の番。今回は厚切りローストビーフ