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短編小説まとめ

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これまで書いた短編小説をまとめました。
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【小説】 半分こ

バーコードをかざしたとき、先ほどまでリズミカルに続いていた「ピッ」という音が途切れてしま…

【短編小説】 いないと困ります

辞令を言い渡されたとき、ふと片倉さんのことを思い出した。 昨年の3月に退職した先輩。いつ…

【短編小説】 夜の敵

時計の針が1秒ずつ進むたび、私の寂しさも募る。 「チッチッチッチッ」という、昼間なら何も…

【短編小説】 染まる

私の視線に気がつき、イナモトさんは手を止めた。でもすぐに理由が分かったのか「ああ」と声に…

【短編小説】 悲しい、がない世界

今日祈りに来た少年は泣いていた。 最初はぶつぶつと何を言っているのか聞き取れなかった。し…

【短編未満】 夜の街

飲み屋を出た後、近くにあるブックオフに寄った。特に何か買うわけではなかったけど、ぶらぶら…

【短編小説】 喜怒哀楽

今日祈りに来た少年は泣いていた。 最初はぶつぶつと何を言っているのか聞き取れなかった。しばらく耳をすましていると、どうやら学校で飼っているうさぎが死んでしまったらしい。 はあ、なるほど。初めて「死」と向き合ったというわけか。 昨日まで元気ですぐ近くにいた存在が急にいなくなる。人生経験が少ないと、そりゃ悲しい。どうしたらいいのか分からないよなあ。学校の先生も、親もそっと寄り添ってくれるけれど、「悲しみの乗り越え方」をちゃんとレクチャーしてくれる人はいないもんね。 少年の