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黒猫魔術店 魔女 蜜猫
2023年2月11日 00:45
どうしてまだ、生きているんだろう。イソギンチャクは思った。ネオン色の触手を伸ばしても届かぬ水面を見つめながら。もう一回、もう一回外側へ行かせて外で息ができなくなってもいいのここにいるのは、いないのと一緒居場所はわたしが決めたいのここにいるのは、死んでるのと一緒そうしてイソギンチャクは砂になった。どうしてまだ、生きているんだろう。珊瑚は呟いた。生きていても
2023年2月2日 20:08
わたしは、今日も青の中にいた。午前3時。くらやみの中の、透き通るクリア・ブルー乱反射したスペクトルを超えたプリズムが重なって、うるさい。ディストーション。ディストーション。ディストーション。クリスタルを打ち鳴らして反発する、不協は真空の中で無になった音がないのに、わたしに聞こえるそれは何?空気がないのに、ひかりが見えるそれは何?チラチラと、広がる鬱陶しいホ
2022年11月29日 21:49
先生曰く、「それは血溜まりだった。ワインレッドでもなく、紅葉でもなく、紅に燃える炎でもなく、内臓から飛び出して、初めての空気に触れたまるで生まれたてのもののようでいて徐々に浅黒く変色していき剥き出しのあばら骨から行き場を失った、それは醜くくも尚熊が貪り、奪っていくが血は、お構いなしさ。血の色は正義を惑わし、白く気高きものを染め黒をさらに黒く塗る平気で騙し
2022年5月30日 08:11
楕円形に整えられた試験場は、どこか異常だった。ある席には番号が順序よく振られているし、またある席の番号はでたらめな数字だった。ある席には石膏でできたヴィーナス像が座っていたし、テーブルの上に薔薇が咲く席もあった。およそ試験どころではないこの室内で、学生は30名ほど考えを巡らせていた。なぜなら、自分に配布された席番は見当たらないからである。代わりにこの暗号めいたメッセージを解くこと
2022年2月25日 04:16
くらやみの中で発光する猫は、蛍といった。もとは野良で、感染症によって一度死んだらしい。なにかの魔法で言葉と知恵をもった。およそ猫というより、獣のようでわたしにいつもついて歩き、前世を知っている風だが、口にすることはない。彼は言った、「孤独こそが自由なのです」と。真冬の木々はざわめきたて、不安を煽るものだから惑わされてはいけないよ、と。それは野良の獣が言うに説得力
2021年11月19日 19:26
治療のために少しだけ麻酔を打ってもらったのだが、それから具合が悪い。すぐに手は震えるし、眠くなる。時間が経てば少し治ったが、頭が痛かったり、目眩らしきものを感じたりする。どう考えても月蝕のせいではなくて人為的な影響だ。わたしは前にも局部麻酔なのに眠くなって落ちかけたことがあるし(前科アリ)、ハーブティーでもききすぎてしまう(あの体を巡る感覚)。先日一回目のコロナワクチンを打ったが、そ
2021年8月28日 11:59
朝5時起床。だんだん日の出時刻が遅くなっているのでまだ薄暗い。東の空では朝日が雲に反射して、ピンク色に見えた。夕焼け空もきれいだけれど、朝日の可視光線は神秘的だ。まるで地球にわたししかいないように静かで、どこまでも感覚をひろげて察知することができる。音がよく聞こえるし、遠くまで見えそうなのだ。朝のにおいは特にいい。季節と天気によって異なるにおい。春は新緑の香りだし、秋などは濃い花
2021年8月26日 13:53
空はどんより雨降り。それでも早朝の祈りは、やはり透き通るような感覚がする。どんなに身体が重苦しくても(ちょうど月のもので重い)、湿度が高くて暑さが鬱陶しくても。この祭壇の前では清らかになれる。こうした祭壇は、知らぬ人からみれば怪し気な信仰対象のように思われがちだが、わたしはそうではないと言いたい。これは、単純にわたしの祈りの場だ。たしかに目に見えないものの存在を感じて感謝をすることは
2021年7月9日 03:43
音楽の才能があれば、これを音にできたのに絵描きの才能があれば、キャンバスに色を殴りつけるのにそれができないとき、ひとはなにに頼るだろうかふかいふかい心の底をふかいふかい深夜の月明かりで照らしくらいくらいところに押し込めた痛い痛い もうひとりの自分と対峙して思いがあるときにしかできない思考する瞑想で、とことん奥まで入ったらもう明け方。ラベンダーティンクチャーを数滴入れ