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連載小説・海のなか

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とある夏の日、少女は海の底にて美しい少年と出会う。愛と執着の境目を描く群像劇。
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#高校生

小説・「海のなか」まとめ 4

小説・「海のなか」まとめ 4

どうも。クロミミです。


今回は連載小説「海のなか」の(18)から(21)をざっくりとまとめていきます。お付き合いください。


いやはや。いつぞやこれからは更新頻度あげますとかのたまったアホはどこでしょう。ここです。


ほんまに有言実行のかけらもねえクソ野郎ですな。ほんま恥ずいわー。


というわけでいつも通り更新頻度ゴミなので、忘れた人も多いと思います。


実はひっそり最新話を

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小説・「海のなか」(20)

小説・「海のなか」(20)

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 図書館の入り口近くはすぐカウンターになっていて、その真ん中にひっそりと男性の司書さんが腰掛けていた。頭には白髪が入り混じり、頬も心なしか痩けている。神経質そうな生真面目そうな面持ちが印象に残った。部屋には常に司書さんのタイピング音が切れ間なく舞っていた。うるさいわけではない。それどころかいっそう静寂を際立たせている。
 彼は丸メガネの奥から来客を一瞥して微かに頭を動かすと、また何事も

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小説・「海のなか」まとめ(3)

小説・「海のなか」まとめ(3)

どうも。クロミミです。
さてこのまとめ記事もとうとう三回目。
先日19回目の更新をいたしました連載小説「海のなか」。

てか、更新のたびに文字数の違いエグくてごめんなさい。特に多くなってしまった時は、気がついたら6000字近かった。だって話の区切りがなかったんだもんよ。出来るだけ1500から2000をひとつの回として更新したいものよと思っておる次第。

キャラクター解説については前回のまとめ2で

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海のなか(19)

海のなか(19)

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 なぜ、あんなことを言ってしまったのだろう。
自分の言葉を反芻するたびに嫌気が差した。
 『夕凪、あたしが探してこようか?』
 自分でやったことのはずなのに。あんなことをしてしまった自分がわからない。あたしは夕凪を避けていたはずなのに。あの子に会いたくない、はずなのに。
 こういう時がある。勘ではまずいとわかっている。悪い予感に急かされながら、それでも選んでしまう。まるで愚かさに毒さ

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小説・『海のなか』(16)

小説・『海のなか』(16)

※※※


「だめ、サヤ。まだ目は伏せてて!マスカラ失敗する」
 愛花がピシャリと言った。我ながら私も往生際が悪い。ここに座ってからもう、15分は経っている。愛花はなおも腰をかがめてマスカラを塗り重ねていた。メガネをとったせいで、全てが霞かかって見える。
 ああ。らしくないことをしている。
 まだ、わたしの身体の内では不安に心臓が暴れていた。
「ねえ、もう良くない?ほら、この後シフト入ってるしさ

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