#消雲堂綺談
骨を食らう女(再掲載)
その日、僕は仕事で荻窪に出かけた。仕事が済んだのは午後9時。荻窪駅のホームに上がる階段をゆっくりと歩いていると、ちょうど黄色い総武線の電車がゴトゴトと走ってきたので、僕は階段を踏み外しそうになりながらも電車に飛び乗った。
電車は津田沼行きだった。電車は荻窪駅から千葉方面に向かって走る。お茶の水で乗り換え不要の中央・総武緩行線だ。
20代に新宿区上落合に住んでいた僕は、東中野駅も最寄り駅のひとつ
百物語 18「人を喰らう話」
六国史のうち、平安期に編纂された、清和、陽成、光孝天皇の代である天安2年(858)から仁和3年(887)の国史「日本三代実録」には以下のような話が掲載されています。(中公文庫 日本の歴史「平安京」から)
①
8月のある晩、午後10時頃に、内裏(天皇の居住地域のこと)・武徳殿東縁の松原の西に美しい女が三人、東に向って歩いていると、ひとりの男が松の木の下に佇んでいた。これがなかなかの美男で、ひとり
芸能人連続自死事件 壱
*あくまでも作り話です。実在の人物事件とは無関係です。
「依頼」
その日、神田明神下にある探偵、伊能清春の事務所に女性の訪問客があった。異能の事務所は明神下側の階段「男坂」の中腹の踊り場にある。男坂の階段を昇降する参拝客は少なかった。旧型コロナ禍であり、非常事態宣言なるイベントのような出来事が数度続いていたから外出は自粛されていたからだ。
訪問客の女性は櫻田ちなみと名乗り、異能が勧めるソファ