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消雲堂綺談

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私は怪談奇談が好きで、身近な怪異を稚拙な文章にまとめております。
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記事一覧

夜の中学管理人

夜の中学管理人

かみさんが請け負った仕事は、近所の中学校に併設されているコミュニティセンターの鍵の開け閉め業務だ。通常は隔週の土日のみ午前午後明るいうちの管理だったが、いきなり新しい案件として平日水曜日と土日の19時から21時までの鍵の開け閉め業務が追加された。

夜の19時から21時というのは中学校だけじゃなく、とにかくすべての建物ってのは真っ暗なのだ。真っ暗だから昼間は見えないU0(幽霊のこと)なんてものが現

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空気が読めぬ男 その1「全裸で闊歩」

空気が読めぬ男 その1「全裸で闊歩」

私は空気が読めぬ男である。自分ではまったくそう思わぬが、周囲の人間たちは陰口ではなく、真っ正面から堂々と言うのである。それも失礼だが、私は全然気にしない。そもそも見えない空気が読める方が異常なのである。

空気が読めないというのは、真っ昼間に全裸で堂々と闊歩している全裸の大様のようなものである。全裸と言うからには当然アソコも見えてしまうのである、毛深かったら陰部を隠すことができるが、あたしは薄毛で

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甲殻夢譚

甲殻夢譚

早良夢子は、毎日のように夢を見る。それはいつも不気味なもので、夢の中には幽霊や化け物などが現れては夢子を恐怖させて、彼女の睡眠を阻むのである。

昨日見た夢は、気味の悪い甲殻類がたくさん現れる恐ろしい夢だった。夢子は甲殻類が嫌いだ。「食べれば美味しい」という一般的な意見には同調しない。あの甲殻に覆われた蜘蛛やゲジゲジのような姿の肉をほじくり出して「美味い美味い」と喜びの涙を流して貪り食らう姿は醜悪

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地獄横丁「如月AIの冒険」がしゃ髑髏

地獄横丁「如月AIの冒険」がしゃ髑髏

如月AIが彷徨う地獄横丁に巨大な骸骨の妖怪「がしゃ髑髏」が現れた。

がしゃ髑髏は如月AIを探しているのだった。

「如月AIはどこだ? 出てこないとこの街をぶっ潰すぞ」と言って笑った。

「私はここにいるわよ」如月AIが現れた。
「お前が如月AIか? やっと見つけたぞ。俺はお前を殺すという命令を受けているんだ」
「私は、この街でgrimoire(グリモワール)を探しているのよ、あなたに構っている

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夢日記「花より女性」2024/4/20

夢日記「花より女性」2024/4/20

道を歩いていると目の前の公園にきれいな花が咲いている。
ピンク色の大きな花で写真を撮りたい欲求にかられる。
見れば道の左に側に少しへこんだ空き地があり、そこで写真を撮ってる男がいる。ここは絶好の撮影場所かも? と考えて、空き地に降りる。
カバンから昔購入したCANONのコンパクトデジタルカメラを取り出して寝転んで花の写真を撮り始める。しかし、少し遠い。レンズを調整していると先に空き地で撮影していた

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地獄横丁「如月AIの冒険」2

地獄横丁「如月AIの冒険」2

「グリモワール?」聞いたことがない。
「悪魔を呼び出す“悪魔召喚書”のことをそう呼んでいるんだよ」」

悪魔召喚や魔術に関連する書籍は、歴史を通じてさまざまな文化や伝承で言及されてきた。これらの書物はしばしば「魔術の書」や「グリモワール」と呼ばれ、古代から中世、近代に至るまでの知識や信仰、儀式が記されている。いくつかの有名な悪魔召喚書には以下のようなものがある。

ソロモンの鍵(Clavicula

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地獄横丁「如月AIの冒険」1

地獄横丁「如月AIの冒険」1

迷路のように入り組んだ地獄横丁は、迷い込んだ人間の魂を奪って成長するという話を聞いたことがあります。

今回、地獄横丁に迷い込んだのは日本人女子高生の如月AIちゃんです。

AIちゃんは高校からの帰り道に何者かに拉致されて気を失ってしまいました。目覚めるとそこは見知らぬ街でした。そう、地獄横丁でした。

血管のように複雑に絡み合った路地を彷徨っていると・・・。古書店ばかりが並んだ路地に辿り着きまし

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福島綺談 1「郡長正の切腹」

福島綺談 1「郡長正の切腹」

会津白虎隊といえば、慶応4年(1868)の会津戦争で、会津藩の鶴ヶ城から離れた飯盛山で、鶴ヶ城からあがる白煙を落城と早とちりして集団自決したことで知られる。少年の自決は、武士道とか美化されるが、現代の感覚からはどうかと思う。生き恥を晒して罵倒に耐え抜いて図太く生きる方が個人的には立派だと思う。

今回は白虎隊の話ではない。

会津藩の家老に萱野長修(権兵衛:ごんべえではなく、ごんのひょうえと読むら

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東京万景 大手町「将門の首塚」

東京万景 大手町「将門の首塚」

今日は目黒で打ち合わせがあったので目黒まで出かけた。最近は電車賃を安くあげるために西船橋から東西線に乗って、大手町で乗り換えて三田線で目黒まで行く。総武線で秋葉原で山手線に乗り換えるのもありだが、こちらは乗り換え時に秋葉原での人混みが嫌いなのだ。

大手町で乗り換える際に、気になることがあった。昔、何度も拝みに行ったことがある「平将門の首塚」に行ってみたいと思ったのだ。しかし、打ち合わせを終えると

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「血」

「血」

仕事場に向って急いでいると小さな十字路があった。
見れば警官が数人道路にしゃがみ込んで何かを調べている。
そのなかのひとりの警官に「なにかあったんですか?」と聞いてみる。
「交通事故です。あ、あちこちに血だまりがあるので気をつけて歩いてください」
「あ、はい」
見れば十字路の中央周辺に大小の赤黒い血だまりができている。
血を踏まないように注意して歩いて仕事場に向った。
しばらく歩いていると足元から

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