君のマフラー【習作百物語#005】

君のマフラー【習作百物語#005】

彼女が出て行ったのは、その年の初雪の日だった。 なし崩し的に始まった同棲は3年目を迎えていて、 お互いに新鮮さがなくなってしまっていく関係に気づかないふりをしていた。 奇麗に彼女のものがなくなった部屋 すぐにかけた電話から聞こえた着信拒否の音声でやっと ”あぁ、そういうことなんだな”と実感した 数日たって、寒さが一段と強くなった日。 押し入れから、冬物の上着を出そうとした時に 彼女の赤いマフラーが残っていることに気が付いた 顔をうずめて深呼吸をする。 マフラーには、彼

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冬の風鈴【習作百物語#004】

冬の風鈴【習作百物語#004】

去年の冬のこと。 私は、数年ぶりに実家に帰省をした。到着した当日はやれご飯だ、やれお菓子だ、近所のあの子は結婚しただの、野菜を持って帰りなさいだの、区長の何某さんの親戚が亡くなっただの、マシンガントークで熱烈にもてなされた。 ただ、3日も家にいれば”いつ帰るの?”なんて聞かれるほど邪魔者扱いされ始めた私は、近所を散歩することにした。 目的地は、歩いて30分ほどの場所にある小学校。母の話によれば、3年ほど前に廃校になってしまったそうだ。私がいたころでも全校生徒100人満た

喫煙所【習作百物語#003】

喫煙所【習作百物語#003】

会社の喫煙所には様々な部署の人間が集まる。 禁煙ブームのあおりを受けて、喫煙所の数は減り、さらにはスペースは縮小された。今ではウサギ小屋のように狭い部屋に、タバコの火がくっつきそうなほど人間が詰め込まれている。 そうはいっても、そこに集うは度重なる増税を超えてきた猛者たちである。こんなことではへこたれない。多くの人は”自分は人より多く税金を抑えてやっている”といった間違った優越感を持ちながら今日もタバコをふかしている。 私の部署では喫煙者は自分だけだ。話す相手もいないの

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山ノ目 【習作百物語 #002】

山ノ目 【習作百物語 #002】

「角が生え 一つ目光る 夏の山」 小学校の頃に夏休みの宿題で短歌を作る課題があった。上の句はその時に私が作ったものだ。 「山の角ってなんだよ!それに山に目があるわけないじゃないか!!」提出するときに覗き見られて、クラスの人気者Y君にひどく笑われた。 言い返すこともできなくて、わざわざ短冊に書いたその句を隠すようにランドセルの奥に押し込んだ。結局、課題は出さずに、先生にひどく怒られたことを今でも覚えている。 家に帰った後、落ち込んでいる私とくしゃくしゃになった短冊を見て

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向かいのベランダ 【習作百物語 #001】

向かいのベランダ 【習作百物語 #001】

高校時代の先輩の話。 彼女は、母と父の3人家族。小高い丘の上にある団地に住んでいた。団地はそれぞれ5階建てで、3棟の建物がちょうど川の字に並んでいた。4階に住んでいる彼女の一家は、日当たりが良いベランダにいつも洗濯物を干していたそうだ。 ある日曜日、買い物から帰ってきた母から洗濯物を干すように言われ、ベランダに出た。その時、彼女は不思議なものを見た。 物干し台からは向かいの棟のきれいに整列したベランダが見える。その中の、ちょうど正面。 一人の中年の女が微笑みながら手を

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【鬼談百景】をみたよー👅👅👅

【鬼談百景】をみたよー👅👅👅

今回は【鬼談百景】をみたよー!!! お久しぶりのホラー映画!! 原作は残穢を書いた方!!! 感慨深いねぇーー\(^-^)/ 内容は短編ホラーを10本 再現してるって感じだねぇ🎊🎊🎊 特にやっぴーが好きな話は 「続きをしようよ」 子供がお墓で遊び回るお話 「赤い服の女」 赤い服の女がくる話 だねぇ!!! 最近のホラー映画はCG率が高くて 見てて冷めちゃう時もあるけど この作品は短編だから 冷めても次のでおぉ!ってなれて ありがとねぇ!!!だったね!! ストーリ

怪談百物語#5 見たい

怪談百物語#5 見たい

夜景を見に三人で車に乗った。 目的地までは結構遠い道のり。 崖の上から見る町並みはどれほど綺麗だろうか。 そんな話をしながら、車通りの少ない道を進んでいく。 「お、ラッキー。今日は空いてるじゃん。」 「俺たちで夜景独占できるね。」 「でも夜でしょ。怖くない?」 駐車場についてみんな車から降りる。 ここから見える夜景が最高なんだ。 俺たちが子どものころから、いや、親世代から人気のスポット。 此処から見下ろす光。 人生の光、なんて。 「夜景を見ると詩的になるね。」 「それが

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怪談百物語#4 何か寒い

怪談百物語#4 何か寒い

夏に参加した合コンで出会った男性から聞いた話。 「すごい奴がいるからあってみない?」 と友人に誘われた合コン。 ​何だか面白そう。 最近落ち込みがちの友人を誘って、一緒に行くことにした。 すごい奴とやらに会って少しでも元気になるといいな。 なんて思いながら。 「すごいってどんな感じ?」 「なんかさ、変な人らしいんだけど。  私も誘われただけだからわかんないんだよね。」 「変な人だったら私、帰るからね。」 会場の居酒屋までの道すがら。 気になる私と、ちょっとのり気じゃな

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【療法士だから伝えいたい百物語】閑話「なぜ百物語?リトライ!」[昼活ONE]第525回
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【療法士だから伝えいたい百物語】閑話「なぜ百物語?リトライ!」[昼活ONE]第525回

昼活にしたので、目的の確認をしておきます。 あとね…… サイトーが盛大にコケた痛〜い話を。 ということで 療法士が伝えたい百物語 閑話「 #百物語 」です。 ▶︎百物語の投稿はこちら https://forms.gle/V5ybEWfsa7GTrXgS8 ✏️チャット欄・コメント欄にて気軽にご質問くださいね^^  質問・相談をコメント欄に書き辛い方はこちらのフォームをご利用ください。  https://forms.gle/UeRhpiiqXun9vK8J9 ■リフレクションの動画はこちら https://youtu.be/9RC_90sIjbw ■療法士が伝えたい百物語を紡ごう! ということで、人材育成の金曜日です。 人は伝えたい生き物です。 遺伝情報以外に文化的情報を残す生き物です。 あなたの体験を後に続く療法士に伝えてみませんか? *参加リンクはこちら* https://www.facebook.com/groups/storylabo 🔴次はどんなネタ?と気になったらチャンネル登録がオススメです^^ https://www.youtube.com/c/MataichiAshigotoba

一人百物語

一人百物語

21 爆笑する話 派遣アルバイトの休憩室での話。派遣先でたまたま配属先が同じになった2つ上の先輩と昼休憩を取っていた時のこと。休憩室は机と椅子、派遣のアルバイターたちの荷物や制服、ロッカーが並べられている雑多な部屋で、交代制で休憩をしにいっていた。部屋のあちこちで仲の良いグループで昼飯をとっているため、ときたま話が盛り上がったのか笑い声が響き渡ることがあった。自分たちも自分たちでそんな時はあったので特に気にかけることもあったが、ことが起こったのは休憩終了直前、立ち上がったそ

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