みおこんぼ

相貌失認症の主人公による〈私の実話シリーズ〉 完全オリジナルの百物語をゆるりと語ってい…

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相貌失認症の主人公による〈私の実話シリーズ〉 完全オリジナルの百物語をゆるりと語っていきます。無断転載はお断り。 大体週一更新です。

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【実話怪談】その人をその人足らしめるもの

〈第一話〉 私は相貌失認症です。生まれつきそうだったもので、それが普通で当たり前の世界だと疑いもせずに育ちました。 ただ、人の顔を覚えるのが苦手、表情を読み取るのが苦手、それだけのことです。 同じ相貌失認症でも、きっと感覚には個人差があると思います。私の場合は、人の顔が覚えられないぶん、相手の声や仕草、立ち振る舞い、服の感じ、全体的な雰囲気を感じ取るのが上手でした。 私が今、保育教諭の仕事をしているのは、その能力を最大限に活かすことができるからです。 お子さまは生ま

    • いつの間にか 花が落ちた 誰かがわたしに嘘をついた 土砂降りでも構わず飛んでいく その力が欲しかった 米津玄師「さよーならまたいつか」 今週は色々なことが重なり、週1ペースで怪談を書き始めて9ヶ月目にして、初めてお休みをいただくことにしました。また来週、お会いしましょう!

      • 【人怖】アキオくんから聞いた2つの怖い話【実話怪談】

        【人怖】異食アキオくんから聞いた、人が怖い話。 アキオくんと私は大学3回生の時からの長い付き合いです。正確には大学1回生の時にはもう出会っていたのですが、友人になったのはプレゼミが始まってからでした。 陽キャでチャラくてコミュ力の塊なアキオくんと、陰キャでインドア派で人見知りな私が、なんだかんだ腐れ縁で友人なのは、ただ1つ共通点があったからだと思います。 それは、漫画が大好きということです。 たまたま読んでいる漫画の系統が全て一緒で、マイナーな漫画でも「それ私も読んだ!」

        • 【AIイラスト】GW特別公開

          ゴールデンウィークも半ばになりました。おはようございます。 普段はnoteで怪談を書いている、みおこんぼです。 今回は、毎日生成しているAIイラストの一部を公開していく回になります。 Days AIという弱小AIイラスト生成アプリしか使わずに、どこまで自分の頭の中にあるイメージをイラストとして描き出すことができるのか、日々挑戦中です♪ 文章を書き出すとついつい長くなってしまうので、以下しばらくただイラストを並べていきます。

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        【実話怪談】その人をその人足らしめるもの

        • いつの間にか 花が落ちた 誰かがわたしに嘘をついた 土砂降りでも構わず飛んでいく その力が欲しかった 米津玄師「さよーならまたいつか」 今週は色々なことが重なり、週1ペースで怪談を書き始めて9ヶ月目にして、初めてお休みをいただくことにしました。また来週、お会いしましょう!

        • 【人怖】アキオくんから聞いた2つの怖い話【実話怪談】

        • 【AIイラスト】GW特別公開

          【実話怪談】2階に行ってはいけない家

          私が小学校中学年くらいの時に、数カ月だけ住んだ家の話をします。 正確にいつ、どのくらい住んだかは思い出せませんが、二階建ての一軒家で酷く古い家でした。 転勤の多い父に付き合っての引っ越しは、毎度のことながら大変です。 経済的な事情からなのか、住む家はどれもひと癖ありました。その中でも一際奇妙だったのが、今回お話する家です。 その家は条件付きの借家で、隣には大家さんが住んでいました。一見した限りでは、ただの古い家でしたが、今思うと独特な雰囲気があったと思います。まるで誰かが

          【実話怪談】2階に行ってはいけない家

          【実話怪談】物理的にあり得ない

          社会人吹奏楽団で出会った、コバさんの話をします。 コバさんは某有名パン会社の営業さんで、全国転勤のある方でした。 私が趣味で社会人吹奏楽団に入り、3年ほど経った時に、コバさんは入団してきたと思います。 コバさんは30代半ばくらいの男性でとても人あたりがよく、行動力もある方で、「転勤で長くはいられないけど……。」と言いながら、自前のチューバをとても良い音で吹き鳴らしていました。 コバさんの凄いところは、入団してすぐに団員と打解けて、団長になったところです。 社会人吹奏楽団とい

          【実話怪談】物理的にあり得ない

          【実話怪談】桜の樹の下には

          マホ園長の話をします。 マホ園長は、とある小さな院内保育所の園長で、40代前半くらいの女性です。 院内保育所とは、基本的には病院スタッフのお子さまを預かる施設で、0歳〜2歳までのお子さまを一緒に保育します。 病院スタッフと同様に夜勤があったりと、お子さまの数は少人数ながら、独特な家庭的雰囲気のある職場でした。 私がマホ園長と働いていたのは、8年前までです。 マホ園長はとにかく判断力と行動力のある方で、憧れの存在でした。 自分が悪いと思ったことをすぐに反省して正すことがで

          【実話怪談】桜の樹の下には

          【実話怪談】消しゴムのお告げ/下駄チェーン男

          「消しゴムのお告げ」私が初めてお付き合いした男の子、レン君のお話です。 大学2回生の夏、突然告白してきた男の子がレン君でした。オーケストラ部トロンボーンパートの後輩。身長がとても高くて独特な雰囲気の男の子だったので、相貌失認症を持つ私の人生初異性から告られイベントは幸いにも「この人誰だっけ?」とならずに済みました。 小学校、中学校、高校、大学と同性から告白されることはありましたが、異性からはこの時が初めてだったので、よく覚えています。 「俺のアパート、大学からめちゃくち

          【実話怪談】消しゴムのお告げ/下駄チェーン男

          【人怖】たったひとつの冴えたやりかた

          これは私が子育て支援のボランティア活動をしていた時の話です。 当時まだ、子育て支援センター等が普及しておらず、子育てをする母親の孤立が問題になっていました。 良くも悪くも時代が変わり、核家族化が進み、地域社会との繋がりも希薄になり、子育て中の母親の孤立が浮き彫りになってきていた時分。 母親が気軽に息抜きできるようにと、公共施設を使って乳幼児の遊び場の提供と、傾聴による育児ストレス発散。子育て力の向上を目指したセミナー企画などをしていたのが、私の所属するボランティア団体(子

          【人怖】たったひとつの冴えたやりかた

          【実話怪談】曲げる

          大学生の時、アルバイトで家庭教師をしていた時のお話です。 家庭教師は短い時間で高収入のアルバイトなので、大学生には特に人気があります。 個人的には人の家の中が見られるというのが面白くて、短い期間の家庭教師でも積極的に受けるようにしていました。 人に教えることも性に合っていたようで、受け持った生徒さんは順調に成績を上げていき、評判も上々。家庭教師仲介本部に気に入られ、徐々に紹介される生徒も難しい子が多くなっていきます。 そんな難しい子の中に、リョウくんはいました。 「この

          【実話怪談】曲げる

          【実話怪談】保育園、こども園の不思議な話【短編2話】

          「ビッグフット」昔、子育て支援のボランティア活動をしていた時に仲良くなった、小学生のカホちゃんから聞いたお話です。 カホちゃんは小学4年生で、よく喋る女の子でした。 「私が昔行ってた保育園のこと、特別に教えてあげる!」 ある時、何をどう気に入られたのか私にだけ教えてくれたのが、保育園での奇妙なお話でした。 その保育園は私のマンションからも近く、白いフェンスに囲われた古い保育園です。歴史のある保育園で、私が生まれるよりずっと前からそこにあるのだといいます。 防犯上の理由なの

          【実話怪談】保育園、こども園の不思議な話【短編2話】

          【実話怪談】失せ物出る

          これは私が長野県に住んでいた頃のお話です。 当時小学4年生だった私は、比較的毎日平和に過ごしていました。小さな不思議に出会うことはありましたが、どれも些細なもので、語るほどではありません。 例えば、兄とスゴロク遊んでいる時、手にしたサイコロが、振った途端に消えたことがありました。兄も消えるところを見ていたものですから、一緒になって大騒ぎしたことを覚えています。 他にも、見た目が明らかに浅い水たまりに、お友だちが長靴でバシャッと入った時、膝くらいまで片足が一気に沈んだことがあ

          【実話怪談】失せ物出る

          【実話怪談】ウミウシ

          私が小学1年生の時のお話です。 当時北海道のある島に住んでいた私達家族は、7人家族でした。 私が小学1年生の頃は、姉が小学5年生、兄が小学3年生、弟が2歳、妹が生まれたばかり。母は下の兄弟2人のお世話で忙しく、必然的に上の兄弟3人が毎日一緒になって遊んでいました。 当時はまだおおらかな時代で、土地柄もあったのでしょうか。私達兄弟は山にも川にも海にも、子どもだけで行き、1日中自然と戯れて遊びました。 特に海には夏になると連日泳ぎに行き、素潜りでウニを拾ったり、つぶ貝を取ってお

          【実話怪談】ウミウシ

          【人怖】アキオくんから聞いた3つの短いお話【実話怪談】

          【人怖】マスクアキオくんから聞いた話。 アキオくんは秋田出身で、私とは大学で知り合いました。 田舎者と思われるのが嫌で、大学デビューを果たしたアキオくんは、とにかくチャラくて声が大きくて馴れ馴れしくて……私とは縁のないタイプの男性だと思っていました。 ところが、不思議なことに、このアキオくんは大人になった今も交流があります。 そんなアキオくんが、この間会ったときに「悪いけどマスク外してくれない?俺さ〜、マスクをしている女性、今めちゃくちゃ怖いんだよね。」と、言い出しました

          【人怖】アキオくんから聞いた3つの短いお話【実話怪談】

          【実話怪談】中古服

          ユキちゃんの話をします。 ユキちゃんは大学の1回生の時に仲良くなった友人で、大人になった今でも仲の良い関係です。 アルビノゆえに銀髪に紅い目を持ち、パッと見た感じは外国人にしか見えません。 更には普段からロリータ服を身に纏い、個性を殺す日本の社会ではとても目立つ存在でした。 相貌失認症を持つ私が、ひと目で存在を認識できる有り難い友人の1人です。 そんなユキちゃんとは当時住んでいたアパートも一緒でした。 アルビノ特有の弱視を持つユキちゃんでしたが、そのハンディキャップを物とも

          【実話怪談】中古服

          【実話怪談】大家さん

          大学生の時の、アパートの大家さんのお話です。そのアパートは三之町迷路のど真ん中にありました。 三之町迷路とは、学生から『異界に繋がる』と恐れられていた地区です。 ぐちゃぐちゃに入り組んだ道は、1つ間違えると目的地には辿り着けず、迷ってしまいます。 また、『三之町迷路で待ち合わせをしても会えない』など、怪奇談が後を絶たない区域でもありました。 そんなわけで、三之町迷路は学生から畏れられており、『三之町迷路に住む者は三之町迷路に選ばれた者』と噂され、多少なりとも好奇の目で見られ

          【実話怪談】大家さん