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【第9話】底辺クリエイターからディズニーのクリエイティブディレクターへの道

TVCM監督への再挑戦

オンライン編集室の立ち上げから半年も過ぎると、いじわるディレクターSさんのムチャ振りも落ち着き、他のレギュラーも増え、編集室はフル稼働状態になった。

そこで私は最初の約束通り「編集業務はアシスタントに任せて、自分はTVCM監督に挑戦する」というリクエストを会社に出した。

会社は初め「せっかく軌道に乗ったので、編集業務に軸を置いて欲しい」と説得してきたが、「エディターになるつもりは無いので、ならば会社を辞めます。TVCM集中を認めてくれるのであれば課長としてアシスタントのサポートはする」と言うと、渋々承諾した。

さあ、TVCM監督への再挑戦だ!

まず最初は「数々の競合コンペ」に参加する事から始まった。

ウチは大手出版社なので主な「CMクライアント(商材)」は
◾️自社発行書籍
◾️自社ライセンス作品(映画やアニメ)
◾️スポンサーの玩具会社やゲーム会社
がメインだ。

前回もそうだったが、
いずれも既にクライアントと大手広告代理店やCM制作会社間に強固な信頼関係が出来上がっていて、
私など完全に「得体の知れない新参者」である。

本気で「お前だれ?」状態だ。

そこで、まず私は「自分の武器」を整理した。

◾️アニメーター並の作画ができる
◾️2Dアニメーションが演出ができる
◾️ロゴやキャラクターのデザインができる
◾️3DCGやVFXを自分で制作できる
◾️オンライン編集ができる
◾️作詞作曲ができる(バンド経験)

以上の「できる6ヶ条」を踏まえ「競合コンペ」に挑む。

いくら絵が上手くても「アイデア」がつまらなければ意味がない。

アイデアが面白くても「商品価値」が伝わらないければ成立しない。

予算の範囲で「できる事」も限られる。

そもそもプレゼン下手ではクライアントの心は掴めない。

私は自分の武器を活かし、
プロアニメーター並の「絵コンテ」
数百万の費用が発生するレベルの「Vコンテ」
を駆使して、
商品価値を最大化する、様々な切り口のアイデアをプレゼンした。

加えて、デザインもCGもVFXも編集も作曲も、外注せずに自分ひとりで作れるのだ。

結果「500万円の予算」で「1,000万円相当のクリエイティブ」を実現する。

初めは私を「空気程度」にしか認識していなかった大手広告代理店やCM制作会社も、
私のプレゼンと提案を聞いて、明らかに動揺し始めた。
また明らかな「敵意」をぶつけてきた.

そりゃ、本当にそんな事をされたら「クリエイティブ・ビジネス崩壊」だろう。いい迷惑に違いない。

クライアントも「本当にこの予算でそのクオリティーが実現するの?」と半信半疑だったが、
プレゼンの「Vコンテ」の段階で「納品クオリティー」なのだ。

「絶対に今より高クオリティーなモノをお約束します!」

すると、チラホラと「ならば今回は任せてみようかな」と言ってくれるクライアントが出てきた。

こうして、私のTVCM監督としての「第1歩」を踏み出したのである。

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