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【第10話】底辺クリエイターからディズニーのクリエイティブディレクターへの道

師匠「Cさん」との出会い

私のTVCM案件も、実績と共に「指名」が増え、平均「年20本」は監督し、ビジネスとして安定してきた。

ある日、会社から「TVCM担当プロデューサー」として「Cさん」を紹介された。

Cさんは私より一回り年上で、元「大手レコード会社の音楽プロデューサー」だった方で、今でも名曲とされるアニソンを数多く輩出した方だった。

経歴も性格も「ロック」な方で、口癖は「面白くねークリエイターなんてクソだ」で、実際に何人ものクリエイターと衝突してきた「異端児」だった。

以降、私とCさんは「コンビ」で活動するのだ。

どうも私は毎度「変わった上司・同僚」と出会う運命にあるらしい。
そして何故か「気に入られる」のだ。

今回も顔合わせを兼ねて「私」「Cさん」「制作進行」と飲みに行った。
そこで共通の趣味である「音楽」「サッカー」の話題で大いに盛り上がった。

私もCさんも「元サッカー部兼バンドマン(ギターボーカル)」で、私は小学生からビートルズやツェッペリンを愛し、CD所有枚数は洋楽邦楽合わせて3,000枚は超えていた。
Cさんの「音楽談義」にも同レベルで会話ができた。

最も気が合ったのが「現在のディレクターの音に対する意識の低さ」という共通認識だった。

当時、TV番組/TVCMに関わらず「画完(編集)ができたらほぼ終了」「音楽制作や音声収録、ミックス作業はミキサーや音響監督、最悪AP/ADに丸投げ」というディレクターが多かった。

そう言えば、編集で出会ったSさんも、自分では何ひとつ実作業ができない「指示だけディレクター」だった。

私にとって「画完」はあくまで「完パケの途中段階」でしかない。

映像に、適切な「音楽」「効果音」「音声」で命を吹き込んで初めて「生きた作品」になるのだ。

音のフェーズを蔑ろにして、何が「ディレクター(監督)」だ。

音楽の制作指示やディレクションができない、音声収録やミックスに立ち会いもしない。なんて、仕事を「作品」でなく「作業」として片付けているだけの「無責任ディレクター」である。

私は、音楽はメロディから使用楽器、エフェクターの種類まで指示する。
音声収録もミックスも自分で卓に座りディレクションする。

その点「音を蔑ろにするディレクターはクソだ」でCさんと意気投合したのだ。

Cさんは「音楽プロデューサーとしての知見やスキル」「アーティストとの太い人脈」を私に出し惜しみなく与えてくれた。

作品とは「映像」と「音」が高次元で融合して初めて完成する。

それを改めて教えてくれた「師匠」との出会いだった。

因みに師匠は「酒」と「釣り」も教えてくれた(笑

私のCMディレクターとしてのキャリアは「第二段階」に突入した。

…つづく。

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