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結婚してないのに死別した

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彼の事業を手伝いながら一緒にすごした普通の日々。そんな日常がかけがえのない日々だとしみじみ思うのは、彼が亡くなったから。 日常の中には共に当たり前に老後を過ごす平凡な夢に溢れてい…
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遺族年金

遺族年金

年金払えません 先日Twitterで、年金払えませんって相談してくるとつぶやくと
「遺族年金貰えないですかね…」とレスをいただいた。

そのレスに私は後ろ向きな返信をした
内縁で遺族年金を申請するには生計を一にしていた証明が必要になる。※1戸籍謄本やら死亡診断書の写しも彼のご家族に頼る必要がある。※2

※1 よそ者のヒッキー生活者ゆえ…、隣近所は海と原っぱ
※2 AC(アダルトチルドレン)思考ゆ

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浄土真宗と禅宗

浄土真宗と禅宗

 私は敬虔さの欠片もない浄土真宗の家庭に育ち、浄土真宗の幼稚園に通っていた。お願い事はのの様にして、もらったお土産/お年玉は仏壇にあげてから下げて自分のものになった。
 浄土真宗について知っていることは、亡くなったらいきなり仏様なので死装束はなし。他力本願はただの四文字熟語ではなく教義。亡くなった人は極楽浄土に行く。
 しかしながら、彼は禅宗。ネットで検索するとやたらと涅槃が出てくる。
生きていて

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去年の今頃...

去年の今頃...

 去年の今頃は何をしていたんだろう?
飲食店に卸す仕事がコロナで無くなり、年明け早々のロットを作り終えてからは私はほとんど仕事をしていない。
「俺ひとりでやるから」
日がな一日、私は楽しく遊んで暮らしていた。「なんで一緒に仕事しないでいいんだろう?」という質問をする勇気もなく、心の底に不安と疑問を抱えたまま遊んでいた。この時期は100均で買った刺繍セットでひたすらチクチク遊んでいた。

明日は月命

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就職祝い

就職祝い

 フルタイム勤務のパート。小さな個人事業主の元での再就職が決まった。
ただ、コロナもあるので一ヶ月待機。フルタイムだけど時短営業。週休1日のところが週休2日といった具合なので、バリバリに頑張るモードに自信がない私には少しありがたい。
とはいいつつも、雇ってくださったのだから「良かった」と思っていただけるように頑張らねば。
 近所のコンビニでオヤツを買って来て内祝いならずの自己祝いをした。
おやつを

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ワンコの誕生日と100日目

ワンコの誕生日と100日目

 愛犬君は16歳になった。もう目はほぼ見えていないけれど、お散歩に出るとクンクンと匂いを嗅ぎ、現地調査を終えると「帰るぞ!」とばかりにUターンをする。もうちょっと歩く距離を作ったほうがいいのかしら?と思いながらも寒いから言われるままに帰宅する。

 彼は私と犬がベッタリなのを心配して数年前から「もうコイツも歳なんだから覚悟しといたほうがいいよ」と何回か言っていた。亡くなる話なんて縁起でもない。なん

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私は海辺で暮らしていた

私は海辺で暮らしていた

 彼が逝ってひと月後から、自分の中をココに書き出してきた。2ヶ月かかってわかったのは、私達は共に相手の子どもを愛おしみつつ、いつか一緒になるだろうと今後の20年、30年を楽しく笑って語り合っていたこと。
一緒になってないからスタートラインに立てたのか、その手前だったのか。ポジティブに捉えればスタートして15年経っていたのか定かではないけれど、私は心から信頼して尊敬する人と海辺で暮らしていた。

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献血

献血

 彼と過ごした田舎町では献血できる場所も無かったので、実に12年ぶりに献血センターに行ってきた。引っ越すときに献血カードを廃棄してしまったので「初めてというか十数年ぶりなんですけれど」と受付をするとデータが残っていたので驚いた。

 以前書いたように、彼が亡くなってから日赤に少しだけトラウマを感じてしまっていて、56歳の私の再就職できそうな場所が看護助手・介護ばかりというジレンマもあって献血センタ

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年の暮れ

年の暮れ

 ココ数日、心が揺れ動く。彼を感じられない。
もちろん霊的な意味ではなく、私なかの問題である。

死別後 バツ1で子持ち同士がであって、心配事を片付けてから結婚するために私達は結婚する事を棚上げし、私は彼の家族や友人からも隠れて存在していた。私を知るのは地元の人と彼の親友だけ。
 気持ち的に不倫してるんじゃないんだから!とイラッとする気持ちになる日もあったけれど、お互いに旦那みたいなもんだし嫁みた

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2本のメガネ

2本のメガネ

 今日、メガネを作りに行ってきた。

家業手伝い 結婚してなくても個人事業主と一緒に仕事をしていると家業手伝いと言ってもいいのだろうか?お財布が1つになって久しく暮らしていると、給与を貰っているのか貸したお金が帰ってきたのかもわからなくなって、そこでまた貸したり帰ってきたりで見当もつかない。要するに財布は1つだった。
 そんな中で私の老眼が進んで、しかも日によって見え方が違うので100均の老眼鏡を

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ゴミと初雪

ゴミと初雪

昨日、ゴミを出すのを忘れた。この2ヶ月半は片付けと引越しに追われていたのでゴミ出しをプランニングの中心に据えて(特に不燃/プラ/紙など)いたので、ぼけ~っとパッカー車を眺めながら自分がゴミを出していないことにやっと気が付き、フフフとちょっぴり笑った。

死別後の生活 正直、死別した後の自分がどうなるのかはイメージできなかった。
結婚していないけれど家業手伝いで金銭的に独立はしていないし、ラブラブの

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カラカラカラカラ~

カラカラカラカラ~

 大切な書類や小物を放り込んでいる小引き出しがある。このマンションを購入した時に買った組立家具なので、かれこれ25年分の雑多な宝物箱だ。
とりあえず「あれ何処だったかな?」と思ったときに先ず開けて見る場所なのだが、カラカラカラカラと煩い。心当たりがない。音から想像するに小学生だった息子の宝物だった拾ったBB弾?抜けた乳歯?どれもピンとこないので開けて見ると…、彼から貰った真珠。

 付き合い始めた

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ファンヒーターが修理不能

ファンヒーターが修理不能

もう5~6年前になるだろうか?長野のこの部屋の床を短期で格安に一気に彼が張り替えた。
その時、部屋の隅のファンヒーターの下になるカーペットを彼は切らずに折り返して作業を終えた。家主のクセにやって貰っている身なので私は不満を我慢していたが、内心はプンプンしていた。

そして今日、ガス屋さんが修理に見えて諦めた。今、壁に付けるFF式は10万からするそうだ。移動式だと約半値.…そこに取付費用と壁の穴埋め

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彼が出てくる時

彼が出てくる時

2ヶ月が過ぎて、ふと思い立って昔のUSBを開いてみた。出会った頃、遠距離だった私達は自撮りを交換していたので、そこには私が好きになった頃の若々しい笑顔があった。

なんでそう思ったのか、またはなんでそう思うのか不思議だけれど、私の当時の顔と今の顔を見比べると、やはり若い頃のほうがいいなと感じる。

昨日娘さんが送ってくれた数ヶ月前の彼の写真は、二人で過ごした時間の分だけ老けて、顔の彫りもぼやけ輪郭

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波乱万丈

波乱万丈

10年暮らした住まいを片付けて戻った部屋は、10年前の持ち物と引越しに荷物で溢れかえっていた。今日の午前中にお風呂に入って市役所と銀行だけは済ませたかったのに、お風呂は汚いしバスタオルは見当たらないし。見当つけて荷物を開くも余計に物が溢れる悪循環。そこに新たに私の送った荷物が6箱届いた。

成長?私は彼によって母親としても成長させて貰ったのだろうか?以前なら怒りを覚えるだろう状況に怒りはない。汚部

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