kosuzume48
パートナーと死別して996日目。毒親とは絶縁中。何処かで何かを封印しているような生き方を見直すために、ぐるぐる思考から抜け出すために、自分の闇と向かい合う時期が来たと感じたのが〈今〉 つれづれなるままに、日暮らし硯に向かひて心にうつりゆく由(よし)なしごとを、そこはかとなく書き付くれば、あやしうこそもの狂ほしけれ。「徒然草より」
死別後に気が付いた考え方の変化を書き留めます
死別して心がポッカリと抜け落ちた。大きな穴に大好きを詰め込んで彼と生きていくようになってからの日常。徒然なるままに。
彼の事業を手伝いながら一緒にすごした普通の日々。そんな日常がかけがえのない日々だとしみじみ思うのは、彼が亡くなったから。 日常の中には共に当たり前に老後を過ごす平凡な夢に溢れていた。 彼が亡くなり、私は当たり前の日常と当たり前だと思っていた未来を喪った。
16歳の老犬闘病記
知り合った時、彼は仕事を辞め海の近くに工場(こうば)を借り個人事業主としてスタートしたばかり。まさか彼女を作ろうとか結婚とか考える時ではなかった。 そんな中で一緒に暮らすことになり、お金がないのが平常運転で、それでも貧乏なりにふたりで笑っていられたのはずーっとずっと先に続く時間をも共有できる安心感だったのかも知れない。 そんな彼が急に亡くなり、一緒の時間は丸14年と少しだけで途絶えた。 不思議と未だに心にぽっかりと穴が開かない。彼がいなくなって1ヶ月が過ぎたけれど、い
松任谷由実 彼の実家に行く前日、何故かルージュの伝言を思い出した。 彼氏の浮気を叱ってもらいに行くのと、彼の仏壇に誕生日プレゼントを届けに行くのでは似ている要素など皆無だけれども、漠然とした不安を抱えて電車に乗る自分の気持ちがこの曲を思い起こしたのだろうか。 この不安、13年前にも味わっている。遠距離恋愛を終わらせて彼のもとに一人で運転して押しかけ女房のごとく出発した日の気持ち。「私は何をしてるんだろう。これでいいのかな?」という不安を乗り越えようとしていた時だ。あの
ときめき 空の木と書いてウツギと読む。〈そら〉と読むか読まないかでこんなにイメージが違うのかと自分の気持ちの変化に驚く。 通勤路の一角でこんもり茂り可憐な小花を一斉に咲きこぼれる見事な主役であった。目を奪われ、写真に収めてGoogle先生に名前を教えて貰う。 〈空〉この字をウツと読むのは空蝉くらいしか思いつかない。セミの抜け殻。虚ろ(うつろ)にも当てるようだが、どちらにせよ心がポッカリ抜け落ちていた頃を想い起こす。 しかし、見事なこんもり具合。。。去年も咲いていただろ
シロツメグサに見えない事も無いけれど、作りたかったのはヒメツルソバの花である。 ピンクの小さい球体に、ピンクのレジン液を付けたいりごまを並べる。 〈煎りごま〉というだけあって先端や側面に焦げがある。今まで何袋も食べているだろうに気が付かなかった。 プランターでヒメツルソバを育てればいいのだけれど、多年草といえども枯れる...。怖くて育てる勇気が出ない。 やっぱりあの頃好きだったものに囲まれたい。 私の生活も世界も変わってしまったけれど、私は変わっていない。それが
宗教観 宗教を批判するつもりは毛頭ない。 午前の仕事から帰り、午後の出勤時間まで全力で遊んで暮らすを目標として 結果しょぼく遊んでいるとピンポ~ンと気の抜けるチャイムが鳴った。 玄関を開けると高齢の男性がグイッと身を押し込んで来た。宗教の勧誘ではないと言い、皆様のために神の教えをお伝えしにいらしたそうだ。 スマホを操作し「ちょっとコレを読んでみてください」と示したのは聖書の一節なのであろう… もはや死はなくなり、悲しみも嘆きも苦痛もなくなります。以前のものは過ぎ去
残念なもの 朝、ゴミ出しに行って目についたソメイヨシノのさくらんぼ。 さくらんぼと言えばサクランボ!なので、ソメイヨシノのさくらんぼを見ると心は勝手に少し残念に思ってしまう。 ガクに絡まり飛べない綿毛も残念に感じる。飛べない豚はただの豚であって、飛べない綿毛もただの綿毛だ。しかし本質は種の部分であって、サクランボも綿毛も本質は〈種〉なのだから、私の気持ちを差し引けばどっちも立派な種である。 死別の気持ち この珍妙な理論は死別した時に味わった。 まず、彼を喪った事で
どちらも彼が残したもの。そして私が捨てられないもの。 コピルアク 「何かいい事あった時に飲む!」 食器棚の引き出しにあった試飲用のコピルアクのドリップパックを見つけた私が「これ飲まないの?」と尋ねた時に、彼はそう答えた。 この連休中に彼の愛娘の結婚式がある。彼の家族が揃う日に飲んでいただこうとコピルアクを贈った。さすがに賞味期限切れの〈本物〉という訳にはいかないのでアマゾンで選んだ。 本物の方は私が持って行く。彼と再会したときの乾杯用に。10年後?20年後?30
キットで買ったクロスステッチ。四角い目をバツ×印で埋めると丸いミモザが咲いていく。不思議だ。 同じ色で挿せる場所を最短距離でワープしながら刺し進める。〈糸が足りるだろうか〉という心配しながら遊ぶ。 差し迫った小さな不安はいいものだ。少し先の大きな不安を考える余裕をマスキングしてくれる。 〈糸が足りるだろうか〉は〈今日の夕飯どうしようか〉を覆い隠し、今日の夕飯は〈義母宅への訪問〉を隠し、義母からの招待は〈絶縁宣言した実母との関係〉を隠し、実母の存在は〈圧倒的に足りない老後
道路脇の用水路にいるカルガモを見て「いいなぁ...」としみじみ感じながら、私だってラブラブなんだもん!と意地を張る私はアホなのだろう。 センシティブ 一応、センシティブをググって見た。死という文字を使うのでセンシティブという事に当てはまるのだろう。そうして日常から死をあまりに遠ざけてしまったからグリーフがかくも大きくなってしまったのだろうに。 日常的に私達が生きているように、対を成して死もそこにあるのだろう。 前向き、ポジティブばかりが正義であるように遠ざけ、目をそ
会社からの帰りにふと見上げた空にたぶん満月が輝いていた。 彼と見上げた夜空はいったい何度あったのだろう。理系と文系、学問と無知の狭間を言ったり来たりしながらお喋りに夢中になっていた。 なんの血がそうさせるのか、私達はお互いに相手を 笑顔にする 笑わせる、もっとしっくりくる言葉にすると〈笑かす〉ために喋っていたのだと思う。 くそデカイ満月と小さい満月が同じ大きさなんて到底信じられないし、大きくて綺麗なお月さまの写真を撮ったのに、画面の真ん中にポツンと小さく映るのに納得
何とも力強そうで、困難に耐えて咲きそうな花の名なのに、撮影日は5月半ばを過ぎていた。タンポポより遅いじゃん...。しかし遠目には〈何か咲いてる?〉程度の存在感の小さな花は妖精のような繊細な美しさだったのを覚えている。 Aさん 部署にAさんが配属され数ヶ月経った。入院からリハビリ、長期休養を経てからの部署を変えての復帰。 大病を患うと鬱っぽくなる方もいるのだろう。数ヶ月経っても配属して数日経験したのと変わらない知識しか身についていない。私と勤務時間が被る早朝の3時間
氏神様 近くに全国的に有名な寺院があるのだが、。人混みも嫌だし、新年を祝賀する気分でもないので…元旦のお昼ごろに氏神様に詣って来た。子供の頃からの遊び場で、秋の大祭も盛大に行われるので通いなれた場所なのに本殿の中の記憶は無かった。まぁ〈彼と行った〉という条件付けがあったので初詣に行こうと思っただけで、神仏をどう捉えて行くべきか答えが出ない。 氏神様におかれましては...、ガキンチョの頃には境内で兄弟喧嘩はするし、回廊の下に潜り込んでは穴を掘るし(蟻地獄を捕まえるため)で
海の中へと続く階段が好きだった。元の写真はこんな感じの場所 年に数回、防波堤から覗き込むと無数の小魚の群れが次々に現れては泳ぎ去り、途切れることのない巨大な保育園の様相を呈する日々が数日間続く。 犬の散歩の途中だというのに目を奪われて立ち止まる私達に呆れて、時折申し訳無さそうにリードを引っ張って散歩の続きを促す犬を宥めて、それでも自然の圧倒的な豊かさ見とれていた。 「海の中は季節が反対だからこれから春なんだよ」 「こんなにいても大人になれるのは一握りの厳しい世界なんだよ
納骨 知らせはLINEで届いた。 3回忌を終えた彼が納骨されたのは、私の誕生日だった。 因果なのだろうか 御縁なのだろうか まあ、土日休みの前の祝日。3連休の初日で皆んなの都合がつきやすかっただけだろうけれど、私の頭は自分を落ち着かせる理由を探して迷走を止めなくなってしまっている。 記念日反応 2年目の記念日反応は1年目とは違っていた。1年目は記念日が近づくと時限爆弾を抱えているかのように怯えて日付が変わるのが怖かった。 今年はGWあたりで「今年も彼の誕生日プ
誕生日 通勤途中道路脇に咲き誇るコスモスを見ていつも思う。 昔はワインレッドのようなバーガンディのような...、濃いピンク色でベルベッドを感じる色のコスモスが私には特別惹かれるものがあった。 デートらしいデートもしなかった私達だったが、唯一「連れて行って」とおねだりして「俺、興味ねぇし」と言う彼にワガママを通して連れて行ってもらったものコスモスが咲き乱れる植物園だった。 そんな事もあって、好きな花ではあるが〈この色が一番好き〉という熱い思いは無くなってしまっている。--
本当に好きだった? パンやお菓子を作ったり、ネットで新しいレシピを探したり何かを作るのが好きだった。 何かを始める前に〈まず音楽をかける〉彼に影響されて私の好きな音楽の幅もますます広がった。 今になってみると、それがどう好きだったのかわからなくなっている。 彼が美味しいと喜んでくれるから料理が好きだっただけかも。 幸せそうに音楽を聴いている彼を見るのが好きだったのかも。 種まきが大好きだった。きれいな花も美味しい実りも。でもそんな小さな命さえ、尽きる日までのお世話