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不易流行の経営学:ビジネスの今を知る

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#経営

「誰かのために」が人を消耗させるとき。経営学最新研究紹介!シン&島貫(2021)

「誰かのために」が人を消耗させるとき。経営学最新研究紹介!シン&島貫(2021)

先日発表された『組織科学』掲載のシン ハヨン・島貫 智行論文が興味深い内容でしたので紹介させてください!

「誰かのために」が、私達を苦しめてしまうとき。

シン ハヨン・島貫智行(2021)向社会的モチベーションの統制的側面―自己決定理論に基づく再検討―.組織科学,55,2:61-73.

仕事において、他人のために働こうとする動機を向社会的モチベーション(Prosocial Motivatio

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マーケティングの構成要素:Who, What, How そして「Why」

マーケティングの構成要素:Who, What, How そして「Why」

マーケティングとは、何なのか。「商品が売れる仕組みをつくること」だけでは、完全な答えではありません。

スピードラーニングは、マーケティングの成功か、否か!?

1日5分で聞いているだけで英語がわかるようになるCD教材、スピードラーニング。正直、「商品が売れる仕組み」という意味では、完成度の非常に高いものです。事実、スピードラーニングは会社に四半世紀にわたって莫大な利益をもたらしました。

中高年

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5年後の「食」ビジネスを考える。

5年後の「食」ビジネスを考える。

エクササイズとして、考えてみてほしい。

今後5年で「食」について、どんな新しい事業が発展していくだろうか?あなたは、どんなアイデアが出せるだろうか?

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こんな料理/食材が伸びる、という回答がまず思い浮かぶだろう。●●国の××という料理がスゴイ、みたいな話。でも、食のヒットは、たいていのものは一瞬のブームで終わる。

白いたい焼きも、タジン鍋も、食べるラー油も、タピオカミルクティも、マ

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サービス普及の鍵は「ペインを取り除けているか。」

サービス普及の鍵は「ペインを取り除けているか。」

大阪府さんで戦略的思考に関する研修でした。非常に志高く力もある皆さんが大阪府には集われておられることを目の当たりにし、大阪府の未来がさらに良い方向へと拓かれていくとの確信を持たずにはいられません。

さて、この研修では1日を使って、行政運営に生きる経営戦略の発想法をワークの中から経験的に学んでいただいたのですが、そんな中でも皆さんの心に刺さったのが「バリュー・プロポジション・キャンバス」でした。

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転売屋はなぜ悪なのか

転売屋はなぜ悪なのか

雑誌『ホビージャパン』を手掛けるホビージャパン社は、2021年7月26日、Twitterアカウントでプラモデルなどの買い占めや転売を容認する発言を行った編集者1人を退職処分にしました。その上司にあたる常務取締役など3人も降格となり、世の中に衝撃を与えています。

そのツイート内容はこんな感じでした。
「転売を憎んでいる人たちは、買えなかった欲しいキット(商品)が高く売られているのが面白くないだけだ

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組織のミッションと自分の思いが一致しない。それは、あなたが一人前である証であり、組織が確固たる理念を持っている証でもある。

組織のミッションと自分の思いが一致しない。それは、あなたが一人前である証であり、組織が確固たる理念を持っている証でもある。

組織のミッションと、自分の思いとが、一致しない。

すごくつらい状態ですよね。組織に対して不満を感じてくるし、上司や同僚にも腫物扱いされたり、自分も心苦しくなったり。これって、どうしたらいいのでしょうか?

その解決の糸口は、組織ミッションと個人の思いは一致しないのが「自然な状態」だということを認めてしまうことです。

あなたは、全人格的な存在だ。独立した個人なのだ。そうであるならば、その個人のあ

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ビジョン策定のためのMVP分析

ビジョン策定のためのMVP分析

企業のこれからの方向性に関する言葉が氾濫しています。

ミッション、ビジョン、バリュー、パーパス。

これだけあると混乱も止む無しなので、それぞれの概念の定義に基づき、整理するとともに、使い分け方を論じてみたいと思います。

これらの概念は、時間軸上のどの点を参照するのかという観点で整理できます。

遠い先の未来に向けての、自社の使命 ― ミッション
近い未来を、具体的に描いたもの ― ビジョン

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どうして志高いビジネスパーソンほど、怪しい扇動者になびいてしまうのか

どうして志高いビジネスパーソンほど、怪しい扇動者になびいてしまうのか

「怪しい扇動者が跋扈する中で、アカデミアの知の領域を広げることがAPSの使命」という内容に対して、真摯なご質問をいただきました。プライベートなことも含むので詳細は控えますが、以下が概略です。

「私の知り合いの、とても志高く事業に取り組まれていた人も、変な扇動者にはまって、人生の最後がとても悲しい形になった。どうして人は怪しい扇動者にはまってしまうのか」。

こちら、とても重大な問題だと思いました

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健全に疑ってみるダイバーシティ経営。

健全に疑ってみるダイバーシティ経営。

ダイバーシティは、これからの時代の企業倫理であり、イノベーションのための手段である…そんな言葉が、この言葉を前に人々を思考停止に陥らせます。

倫理であるにせよ、事業戦略であるにせよ、理屈で腹落ちしなければ、実施すべきではないし、したところで効果は上がらない。ビジネスなんだから、そこには明確な理由がなければ。

かくして、全力で疑ってかかったうえで、ダイバーシティというものの値踏みしてみましょう。

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シリコンバレー発祥の【バターコーヒー】なる胡散臭いドリンクに触れてみた。

シリコンバレー発祥の【バターコーヒー】なる胡散臭いドリンクに触れてみた。

シリコンバレーの企業家が始めた朝食代替、ダイエットにもなり午前の生産性も上がる完全食品…とかいう、あまりにも胡散臭い、信ぴょう性皆無の【バターコーヒー】にチャレンジしてみました。

というのも、こういう「シリコンバレー式の」とかっていう胡散臭さを、頭ごなしに否定してしまうのも、何か可能性をしぼめてしまっているなと思ったんです。

受け入れ難きを受け入れる、受容性こそがクリエイティビティの源泉。ある

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答えではなく、イシュー”問い”のほうに金が流れる時代。

答えではなく、イシュー”問い”のほうに金が流れる時代。

経営学界隈では、最近、アート思考という概念が流行しつつあります。いろいろな意味を含んだ言葉なのですが、ビジネスにおけるアート思考とは何か、と私が聞かれたならば、私は

※社会を見る目であり、問いを提案する思考法※

だと答えます。アートという仕事の中核をなすのは、対象をどう捉えるのかということを提案することにあるからです。

アートというのは、時代に対し、て新しい考え方・価値観を提案する仕事です。

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