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組織のミッションと自分の思いが一致しない。それは、あなたが一人前である証であり、組織が確固たる理念を持っている証でもある。

組織のミッションと、自分の思いとが、一致しない。

すごくつらい状態ですよね。組織に対して不満を感じてくるし、上司や同僚にも腫物扱いされたり、自分も心苦しくなったり。これって、どうしたらいいのでしょうか?

その解決の糸口は、組織ミッションと個人の思いは一致しないのが「自然な状態」だということを認めてしまうことです。

あなたは、全人格的な存在だ。独立した個人なのだ。そうであるならば、その個人のありようはごくユニークになる。それがぴったり収まる器など、あるはずがない。組織のミッションとズレがあるのは、あなたが確固たる信念をもった、一人前の個人であることの証左だ。

一方、個人のあり方に応じて形を変えられる組織、というものを考えてみましょう。これはこれで、非常に不思議な状態です。千差万別の個人が誰でも収まってしまうとすれば、組織として譲れない思いだとか、変えてはいけない核のようなものが、ほとんど無いことになる。…だとすれば、組織のほうが個人のありように拠らず変われないというのは、組織のほうにも、確固たる理念があるからだと考えられる。

そうした、健全な一人前の個人と、譲れない理念のある組織が邂逅するとき、組織ミッションと個人の思いとのズレが生まれるのです。

昭和の時代は、個人と組織が未分化であった、と言われます。組織の成功を、個人の成功として喜べる。組織のために個人が犠牲になることをいとわない。それが良いとか悪いとかいう話ではなくて、そういう時代だったのです。

時代は変わり、何よりもまず私たちは自由意思ある個人であるということが第一とされる令和の時代となりました。

そんな時代に、組織が目指す方向と、あなた自身が目指したい未来がズレるのは当たり前のことなのです。

無理に組織に適合しなくていい。そんなことをしても、自分の心を騙すだけ。長くはもたない。

かといって、組織のミッションとあなたの思いがズレ続けていては、働いていて辛くなる。自分のいる意味を見出せないままになる。

ズレることが自然だと受け入れたうえで、一致を探し、そこに全力でコミットするのが、あなたに求められることだ。完全一致なんて放棄していい、ズレていることからスタートして、すき間を埋める。

ズレの原因が一人前の独立した個、あなたの志や存在理由に起因であることであるならば。―それを埋めてくれるのを、組織や上司に甘えるのは、何かちょっと、違いますよね。そこのところ甘えちゃうと、都合のよい所ばかり自己の自由意思を主張し、そうでないところを組織に甘えることになります。

独立した個人であるなら、組織とズレがあるなかで、一致できるところを自分で見つけて、そのために最大限の努力を行うことが、あなたの責務です。

そしてまた、一人一人がそのズレを抱えながら働いているのがダイバーシティな空間なわけですから、メンバーはみな組織ミッションに部分一致しながら働いていると考えるべきです。だとすれば、メンバーと意識のズレが出ることも、自然なこと。それを、受け入れてそれぞれが最大限のパフォーマンスが出せるよう、チームを動かすことも、組織人であるまえに個人である、あなたの責務となる。

それが、現代人に求められるセルフマネジメントの原点です。

組織の思いと、自分の思い。それぞれを確認して、共通部分をしっかり握る。この、心の部分での組織とのお約束を、学術用語で「心理的契約」と言います。組織と個人は、書面でどう働くと契約している以上に、心の部分で、組織の側としてこう働いてほしいという思いと、個人としてこう生きたいという思いとをすり合わせて、生きている。

(この「組織と個人の思いをすり合わせるための心理的契約」のワークシートを用意してみましたので、よければ使ってみてください!)

組織から求められることと、自分としてどう働きたいかの方向性のズレを認識し、一致できる部分を整える。これが、現代で働くということの第一歩なのではないかと思います。

かつてB'zの曲にもこんな歌詞がありました。

「そこんとこ埋めるべきなのは 恋人じゃない 親でもない ねえそうでしょう?」

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