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岸田奈美

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2019年9月の記事一覧

必要なのは、特別な存在にしないための「特別な支援」

必要なのは、特別な存在にしないための「特別な支援」

今年5月、ニューヨークへ行ってきた。そこで感じた「心地よい無関心」はとても嬉しく感じた。

そこには、障害者は多様性の中の1人であって、特別な存在でも弱者でもない。困っている人がいれば助けよう、そんなシンプルな考え方があったから。

ではなぜアメリカにあるその「心地よさ」を日本で感じることができないのか、その理由を探ってみると、アメリカの特別支援教育のあり方にたどり着いた。
 
アメリカでは障害の

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プラス思考になる方法

プラス思考になる方法

この写真は私の目線の高さ、110cmから見上げた大学病院入り口の景色です。

今でも数ヶ月に一度、大学病院で心臓の検診を受けています。

診察が終わったらいつもこの場所に来て、あの頃と同じ景色を見て、その時の私の気持ちを思い出しています。

今から11年前、私は突然歩けなくなりました。
病室にいた頃の私は自分に何ができるのかわかりませんでした。

何ができるのかわからない、だから何をしたらいいのか

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「お母さんが先月、病気で亡くなりました。一緒に死にたいです」と打ち明けてくれた

「お母さんが先月、病気で亡くなりました。一緒に死にたいです」と打ち明けてくれた

とある高校で、講演をした時のことです。

終わった後、一人の学生さんが話しかけてくれました。

「お母さんが先月、病気で亡くなりました。悲しくて、一緒に死にたいとまで思っています。でも、皆が心配するから、人前では泣けません。この悲しみはいつか亡くなるのでしょうか?」

今日、初めて会ったばかりの私に、打ち合けてくれました。

どれほどの勇気が必要だったことでしょうか。

夫を病気で亡くした私の話を

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頼りの娘から「死んでもいいよ」と言われた日

頼りの娘から「死んでもいいよ」と言われた日

岸田ひろ実と申します。

車いすに乗って暮らしています。

もしかしたら「あ、かわいそうだな」「大変そうだな」「何かしてあげないといけないかな」と、そんなふうに思われた人もいるかもしれません。

11年前まで、私は普通に歩いていました。

歩いていたときの私も、きっとそういうふうに思っていたと思います。
「かわいそうだな」とか、「不幸せそうだな」とか、マイナスのイメージがありました。

でも私は、

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弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった

弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった

高校から帰ったら、母が大騒ぎしていた。
なんだなんだ、一体どうした。

「良太が万引きしたかも」

良太とは、私の3歳下の弟だ。

生まれつき、ダウン症という病気で、知的障害がある。
大人になった今も、良太の知能レベルは2歳児と同じだ。

ヒトの細胞の染色体が一本多いと、ダウン症になるらしい。
一本得してるはずなのに、不思議ね。

「良太が万引き?あるわけないやろ」

ヒヤリハットを、そういう帽子

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白馬の王子様に、お茶を淹れてあげる才能がまるで無い

白馬の王子様に、お茶を淹れてあげる才能がまるで無い

仮免許の学科試験に受かりました。
いやあ。順調、順調。
もうね、知ってるようで、知らないことばっか。
道路交通法って。

大人になった今、学べて良かった。本当。
なにが一番良かったかって。

白馬の王子様は軽車両扱いになる……ってことかな。

王子様、車道の左側を時速30kmで走る義務があった。

そりゃ、私のもとに来ねえわけだわ。

私の実家から出発したとして、ぶっ通しで16時間かかるし。
軽車

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最愛の母に「死んでもいいよ」と言った日

最愛の母に「死んでもいいよ」と言った日

「ママ、死にたいなら死んでもいいよ」

大好きな母に、私が放った言葉です。
高校2年生の時でした。

ひどい娘だと思いますよね。
私もそう思います。
でも、母を救う唯一の言葉でした。
それしか見つからなかった。

話は少しさかのぼりまして。

私が中学2年生の時、父が突然死しました。
働きすぎによる、心筋梗塞でした。

父は建築系ベンチャー企業の経営者で、めちゃくちゃカッコいい存在でした。めちゃく

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