わたしの好きな本:同潤会アパート編
このシリーズもなんと第6弾!今回は同潤会アパートについての本を集めてみました。
戦後の日本の早期復興と、より良い居住環境を目指して進められた同潤会の建設計画。
今その建築理念の素晴らしさを実感できる機会は、残念ながら失われつつあります。
共生社会を目指した共同住居、を考える上で重要なことが同潤会の理念にはたっぷり詰まっており、見習うべきことが沢山あると感じています。
今回は思いが爆発でかなり語っています。
▪️本の写真の下にAmazonへのリンクを貼っています。興味を持って貰えたらとっても嬉しいです!
同潤会アパートとわたし
わたしが高校生くらいの頃まで、表参道の大きな道路沿いに“同潤会アパート”があった。
4階建てくらいで、鉄筋コンクリートで出来た、シャープな形のアパートだ。
1階と2階が店舗になっていて、面白い雑貨屋さん、お洒落なこだわりのあるお店などが入っていて行くたびにワクワクした。
その上が立ち入り禁止の住居で、古い建物好きのわたしは少し足を踏み入れたことがある。不法侵入であるが、下のスッキリした風景とはまた違う、生活感のある雰囲気にドキドキした。
取り壊すと聞いた時は、胸が痛んだ。
あの素晴らしい建築物が、思い出が失われてしまう。あの美しさ、混沌さは実物がなければ、誰かに共有する事は難しい。
一部残る資料館だけでは無理なのだ。
※ 跡地には表参道ヒルズが建っており、一部残された同潤会アパートを使った資料館がある。
同潤会アパート・団地
同潤会アパート自体に興味を持ったのは、取り壊しが決まった同潤会の団地見学ツアーに誘われた時だった(市ヶ谷から少し歩く、大きな団地だったと記憶しているのだが、場所の情報がものすごくうろ覚えです)。
その建築の根幹の概念には“共同生活を豊かに”という気持ちが大きく優しく構えている。
何もかもが、孤独・孤立にならないよう、自然に交流出来る様に配慮されており、昭和の暖かい雰囲気に包まれていた。例えるなら3丁目の夕日そのものなのだ、あったかくて、心がぽかぽかだ。
見学ツアーで詳しく知った時、こんなに優しい共同生活が出来るなら人生ほかほかで楽しそうじゃないか!と思った。
しかし、耐震基準に見合わないとの名目で取り壊され、概念(理念)すらも失われ、核家族化に拍車がかかるかと思うと、切なくなった。
(核家族の“孤立しやすさに繋がっている”という側面について切なく思っています。)
同潤会の素敵な志を体現できる機会がまたあると良いなと思っている。
▪️もっと詳しく:
▪️同潤会アパート原景 日本建築史における役割/マルク・ブルディエ 著
同潤会アパートと出会ったフランス人留学生が、その歴史や生活様式、建築に関する事などなど調べ尽くした愛情たっぷりの本。
写真も図面も解説もたっぷりで、これを読めば同潤会アパートマスターになれるはず!
本当におすすめです!
▪️同潤会江戸川アパート生活史「江戸川アパート新聞」から/同潤会江戸川アパートメント研究会編
なんと、同潤会の江戸川アパートでは戦後の復興期、新聞が自主発行されていたんです!学級新聞みたいにみんなで持ち回り交流をしていました。生々しい生活感もありつつ、当時の生活の様子が窺い知れる貴重な本です。
▪️集合住宅の時間/大月敏雄 著
こちらは同潤会アパートのみならず、戦後の復興期の集合住宅をメインに、その時代性や役割などを紐解いている素敵すぎる本。
白黒ではあるが、写真や図面なども豊富に掲載されていてとっても楽しい。集合住宅好きにはたまらない素敵な本!
あとがき
同潤会の建築物は、核家族の生活様式しか知らないわたしにとって、他人とこんな関わり方が出来るんだ…という衝撃でもありました。人との関わり方が、もはや分からない世代なのです(わたしだけ?)。
そんな中、先人の知恵や共同生活の良い側面を知れたことは本当に良かった!と思っています。
生活様式を左右する建築概念(理念)などもとても勉強なりました。
建築はただの構造物ではなく“生きた世界”だという事を共有出来たら嬉しいです。
ながーい記事をここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます!
嬉しすぎます!
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