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人生の岐路に立つ悩める就活生に、どんなアドバイスをするか?

「新卒採用のコンサルをしてほしい」

こんな私のことを、とても信頼してくれる企業があり、そんな依頼をされた。今から約4年前の冬である。

現役の大学生や、採用業界を知らない方には「ふーん」な話かもしれないが、企業というのは採用活動に非常に苦労している。非常に。涙ぐましく。

新卒採用というのは大手企業たちが資本力とブランドに物を言わせ、優秀な学生を取り合う、という少しいびつな構造をしている。北海道の中小企業は資本力もブランドもないので、当然太刀打ちが出来ない。


冒頭の相談をしてきたのは、北海道のとある中小企業の40代中盤の男性人事であった。

資本力もブランドも知名度もない中小企業である。いかにして就活生を集めればいいのか? どんなインターンシップを行えばいいのか? 彼らは悩んでいた。


…ふーむ。


何者でもない私をせっかく頼ってくださるのだから、あっと驚く提案をして喜んでもらいたい。私は徹底的に就活市場を分析し、打ち手を考え、商談の席に着いた。



「大手と同じことをやっていては勝ち目はありません。ですから少し視点を変えましょう」

「と、言いますと?」

「学生たちの悩みを聞くのです」

「?」

「ほとんどの就活生は就活のやり方も、自己分析のやり方も分かっていません。一部の"就活上手"な学生だけが多くの内定を得ています。ほとんどの学生は不安定な状態で就活戦線に立っているわけです。〇〇さんにもそういうご経験がおありでしょう?」

「えぇ、そうでした」

「で、よく分からないから、とりあえず名前を知っている企業にエントリーする、と」

「そうです そうです」

「そこを逆手に取ります」

「と、言いますと?」

「悩める就活生の"お悩み相談ワークショップ"を御社で開催するのです」

「ほう!」

「しかも、ただのワークショップでは学生はエントリーしません。ですからこう打ち出します」

「どうやって?」

「"現役人事が教える就活の裏側、採用担当は学生のココを見ている!"というお悩み相談を居酒屋で無料開催するのです。 そして相談した結果、御社に興味ありという学生にのみ選考に進んでもらえばwin-winになる、そう思われませんか?」

「なるほど!」

「〇〇さん1人でイベントを開催するのはご不安でしょうから、その居酒屋ワークショップには私も参加します。各回は6名限定で全部で5回やりましょう。私も大人として学生の悩みを聞きますから」

「それは心強い!」

「えぇ、各種ページ作成や集客はお任せください」



応募が殺到した。



細かなやり方は書かないが、最小経費で最大の効果を出した。ズバッと。人事担当は喜んでくださり、各回は北海道や北海道へUターンで戻りたい学生からの応募で満員御礼。ワークショップは追加開催が決まるほどだった。
(※今はこのワークショップやってないよ)



多くの学生の悩みを聞いた。

「ESの書き方が分からない」
「最後に質問は?と面接で言われたらどうすれば?」
「優良企業の見極め方は?」
「話は少し盛ってもいいの?」


その全てに私は謎のコンサルタントとして、学生とお酒を飲みながら意見交換し、アドバイスした。参加した学生も喜んでくれて、選考に進む子もいた。ワークショップは大成功。

学生たちは「大人の人にたくさん質問が出来て、本当にいい時間でした」と言ってくれた。全員が満足感をもってほろ酔いで帰っていく。



参加者の中に、法学部の男の子がいた。


親が弁護士で「あなたも弁護士になるのよ」と言われて育ち、法学部に入って弁護士を目指しているらしかった。彼は悩んでいた。

「今までは親の言いなりで大学まで来たんですけど…本当は自分のやりたいことがあるんです。弁護士にはなりたくなくて…」


「みんなで彼がどうするべきか考えてみよう」


私が居酒屋でそう言うと、初対面にもかかわらず、学生たちは「うーん」とうなりながら考えていた。しかし、答えは出ない。と、いうか、


答えなんて、ないのだ。


答えは人生を後で振り返って初めてわかる。

ああだこうだ、と大人が訳知り顔でアドバイスをするだけ無粋というものである。様々な意見が出たが、結局そこで答えは出なかった。


翌日、会社のメールを開くと、悩めるその学生からメールが来ていた。

〇〇さま

昨日はありがとうございました。
誰にも相談できなかった悩みを相談でき、自分の中でひとつ考えがまとまった気がしています。本当にありがとうございました。

〇〇大学法学部 〇〇
こんな感じ


(いやぁ、ずいぶん律儀だなあ)

と思いながらメールに返信した。

実は私の中には昨晩、彼にアドバイスをするとしたらこんな言葉だな、と思うことがあった。だからメールに書いた。


〇〇さん

昨日はありがとうございました。

人生の岐路ですね。昨晩は何も言いませんでしたが、人生をよりよく生きるためにこんな考え方はいかがでしょう。

もしも自分の人生が1本の映画だったとしたら。
その映画の主人公は〇〇さん、あなたです。
映画の観客はあなたの決断のひとつひとつに共感し、映画を見ます。


その観客たちが映画を見終わって「いやぁ、最高の主人公だったなあ」と喜ぶような決断を、現実世界でしてくれること切に願うばかりです。

幸運を。

株式会社〇〇 イトーダーキ



熱心に私の記事を今日までご覧いただいている読者様ならお分かりかと思うが、私は大学を学費未納で除籍である。就活なんてしたことない。

【関連】どんな大学時代?除籍って?


その私が、なんて偉そうなことを言ってるんだ、この子の方が立派だよ(トホホ)と思いながら、メールの送信ボタンを送ってから「少し滑稽だな、俺」とニヤッとした。



この記事を通して、私が何を言いたいか。

もしも人生において悩んでいることがあるのなら。悩みの岐路にいるとしたら。何か決断をしなければならないとしたら。いや、そのどれでもないとしても。

ぜひ、皆さんの人生を1本の映画だと思ってみてほしい。主人公は私たちだ。その映画にどれだけの観客が動員されているかは分からないが「がんばれー!」と観客に応援される決断をしてみてほしい。観客とはこれすなわち、私たちの身の回りの人だ。友だちであり家族だ。


「人生の主人公は自分」という使い古されたクサい台詞ではあるが、いつでも思い出してほしい。


「これが映画だとしたら…
 自分がその主人公だとしたら…
 この決断に観客は喜ぶだろうか?
 がんばれ、と応援してくれるだろうか?」



こんな言葉がある。

Life is a tragedy when seen in close-up,

but a comedy in long-shot.

-人生は短い目で見れば悲劇だが、

長い目で見れば喜劇だ。
-喜劇王 チャップリン


風の噂で聞いたが、法学部の悩める彼は弁護士にならず、全国区のIT企業に就職し、今は楽しく世の中のために働いているらしい。


私みたいな何者でもない人間が偉そうなことを書いたが、それぞれがより良い人生を過ごしていただくことをただただ祈っているだけ。

人生は映画…。

……

私たちの人生を映画に置きかえた時。

それはサスペンスだろうか?

それともラブストーリー?

それともホームコメディ?

あるいはアクション?

…きっと、全部だろう。

人生は全部だ。



より良い決断や、日々誰かを大切にするための判断材料として、この記事がその一助になればと願うばかりである。


長い目で見れば人生は喜劇。

あの学生同様、みなさんの幸せを願いながらこの記事を終わりたい。


幸運を(フフフッ)。


〈あとがき〉
いや、私なんて本当にカスです。人一倍誰かの目を気にしたり、生き方を模索した分、いろんな言葉に触れてきたからこんな偉そうなロマンチストになっているだけで、実際に私に会った時なんて絶対幻滅します。ん?幻滅?どうかな?なんてニヤニヤしながら終わります。今日もありがとうございました。


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