KIGO

田舎生まれの人生の忘備録。 季語をテーマに短い物語などを投稿しています。 みなさまにと…

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田舎生まれの人生の忘備録。 季語をテーマに短い物語などを投稿しています。 みなさまにとって何か新しいことを知るきっかけや、日々の季節を彩る短い物語となりますように。 参考書籍はこちら。「365日で味わう美しい日本の季語」金子兜太監修 誠文堂新光社

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    季語をテーマにした投稿まとめ。 365日が目標。

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    自己紹介。自分について書いたことをまとめました。

記事一覧

夕花野

平和の祭典が幕を閉じた。 秋風の涼しさは、 一抹の惜別のようで。 それでも沢山の花が咲いたね。 広がる花野は多様性そのもので、 調和のとれた不協和音。 轍を抜ける風に…

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2年前
32

不知火

不知火(しらぬい)って知ってる? てっきり山の名前なんだと思ってた。彼女はそう言って笑った。どうしてと訊ねると、果物の不知火には火山みたいな出っ張りがあるでしょ…

KIGO
2年前
25

初嵐

山羊と狼は結婚できると思う? ベッドの上、僕の肩口に顔を埋める相手に小さく尋ねる。 暗闇に睫毛の動く気配がする。 先刻あまりに間近で見つめるものだから、瞳の中に自…

KIGO
2年前
26

稲妻

雨を聞く。 今日も今日とて、 死んだように生きている。 いっそ稲妻を嫁にして、 AEDで起こしてもらおうか。 長い夜に、豆電球と稲光。 稲妻(いなづま)

KIGO
2年前
28

万緑

この一週間は、四、五年ぶりに、変化の波に巻き込まれている。蔦が這うように縁が繋がって、制御のできない紋様を描いていた。これが吉凶のどちらを意味するのかは分からな…

KIGO
3年前
46

虞美人草

友達と三時間も電話してしまった。 懐かしい、贅沢な時間の使い方。 久しぶりの会話に花が咲く。 おかげでもう日付が変わりそうである。 虞美人草は、ひなげしのことらし…

KIGO
3年前
40

ただいま、世界。

ははは、お久しぶりです。みなさん元気にしてました? 突然、投稿止めるもんだから、もう忘れられたかな。なんて、どっちかというと、私の方が書き方を忘れたよね、笑 久し…

KIGO
3年前
33

麦の秋

「秋」という言葉には、実りのときという意味がある。新緑の中、麦たちは、たわわに実った黄金の穂を揺らす。そう、麦の秋は、夏の季語なのだ。 金色の野に風が駆ける。 …

KIGO
3年前
29

卯波

真っ白い小花をたくさんつける卯木(うつぎ)の花。卯月と言えば陰暦の四月の異名だが、卯木、別名卯の花が咲くのは、陽暦では五月頃となる。 春から夏の変わり目は、天候…

KIGO
3年前
35

https://news.yahoo.co.jp/articles/c481388dd3f491a645b11e31c9d62fdf1b70fa10
『小・中学生の女子はなぜ「うち」という一人称を使うのか?』

なーんて、この記事とか、まあ、あと別のきっかけもあるんですが、じっとそんなことを考えてみた。

KIGO
3年前
11

袋角

奈良へは、中学の修学旅行で初めて行った。鹿をじっくりと間近で見たのもこの時が初めてだったように思う。先の丸い鹿の角は、一年かけて伸びたものが春に落ち、生え変わっ…

KIGO
3年前
31

新緑

植物が這っている建物が好きだ。 最近は人口緑化を取り入れた施設やビル群も見かけるが、自然な生命活動には、より心惹かれる。東京でも、少し住宅地へ入り込めば、怪しい…

KIGO
3年前
31

薫風

風薫る朝。 自転車脇のブロック塀には、小さな虹が映っていた。薄いシャカシャカのパーカーを羽織って漕ぎ出す。風を受けて、帆がばたばたと膨らんだ。 雑草の生い茂る路…

KIGO
3年前
51

桐の花

ずっと、山に緑に点在する紫の花は、藤なのだと思っていた。 しかしこれは、桐の花らしい。嫁入り道具で知られる桐箪笥の桐。なかなか間近で花を見たことがなくて、今回、…

KIGO
3年前
31

薄暑

KIGOです。 最近、Twitterでこの曲を見つけてこればっかり聞いてる。 あの夏は…。 なんでかな、やっぱこういう恋の歌にいいなって思うのは、私がそういう風にできている…

KIGO
3年前
28

薪能

薪能(たきぎのう)の起源は、奈良興福寺の神事能と言われ、夕暮れから夜間に、野外で篝火を焚いて催されることから来ている。 能は、歌舞を中心に発達した古典芸能「猿楽…

KIGO
3年前
33
夕花野

夕花野

平和の祭典が幕を閉じた。
秋風の涼しさは、
一抹の惜別のようで。
それでも沢山の花が咲いたね。
広がる花野は多様性そのもので、
調和のとれた不協和音。
轍を抜ける風に混じって、
鈴の音が聞こえる。

夕花野(ゆうはなの)

不知火

不知火

不知火(しらぬい)って知ってる?

てっきり山の名前なんだと思ってた。彼女はそう言って笑った。どうしてと訊ねると、果物の不知火には火山みたいな出っ張りがあるでしょう、と自身ありげに説明される。

九州の地名でもある不知火。正しくは、八代海や有明海に、夜半点々と見られる怪火を指すのだ。山どころか、寧ろ海である。かつて天皇が、船上でその火影の主を訪ねたが、誰も分からなかったから、知らぬ火、だとか。

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初嵐

初嵐

山羊と狼は結婚できると思う?
ベッドの上、僕の肩口に顔を埋める相手に小さく尋ねる。

暗闇に睫毛の動く気配がする。
先刻あまりに間近で見つめるものだから、瞳の中に自分が映る距離とはこんなに近いのだと驚いた。向こう側にも、僕が居たのだろうか。こういう時、漆黒の目を持つ僕らは都合がいいらしい。

返事は無い。
天井の換気扇が強風を受けて、がたがたと鳴っていた。
その日、僕らは初めて一夜を共にした。

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稲妻

稲妻

雨を聞く。
今日も今日とて、
死んだように生きている。
いっそ稲妻を嫁にして、
AEDで起こしてもらおうか。

長い夜に、豆電球と稲光。

稲妻(いなづま)

万緑

万緑

この一週間は、四、五年ぶりに、変化の波に巻き込まれている。蔦が這うように縁が繋がって、制御のできない紋様を描いていた。これが吉凶のどちらを意味するのかは分からない。

あるいは、意味などないのかもしれない。何十億人のこの世界で、偶然の引力で惹かれあった私たちは、深緑の世界のアダムとイブになり得るのだろうか。

万緑(ばんりょく)

虞美人草

虞美人草

友達と三時間も電話してしまった。
懐かしい、贅沢な時間の使い方。
久しぶりの会話に花が咲く。
おかげでもう日付が変わりそうである。

虞美人草は、ひなげしのことらしいよ。

いつも楽しく拝見させていただいている、かなつんさま。
ちょうど今日は虞美人草の日!素敵な記事と俳句でした。

虞美人草(ぐびじんそう)

ただいま、世界。

ただいま、世界。

ははは、お久しぶりです。みなさん元気にしてました?
突然、投稿止めるもんだから、もう忘れられたかな。なんて、どっちかというと、私の方が書き方を忘れたよね、笑
久しぶりに、ちゃんとタイムライン覗いたら、相変わらずみなさんの投稿が面白くて、めちゃくちゃ新鮮。みんな、すごい。

ざっくり何してたかというと、まあ漫画読んで、結構アニメ見てた。あとは人と会ったり、ふらふら遊んだり、何もしないをしてた。あ、で

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麦の秋

麦の秋

「秋」という言葉には、実りのときという意味がある。新緑の中、麦たちは、たわわに実った黄金の穂を揺らす。そう、麦の秋は、夏の季語なのだ。

金色の野に風が駆ける。

真っ青な空色のシャツを着て。
隣の小さな手を握る。

麦の秋(むぎのあき)

卯波

卯波

真っ白い小花をたくさんつける卯木(うつぎ)の花。卯月と言えば陰暦の四月の異名だが、卯木、別名卯の花が咲くのは、陽暦では五月頃となる。

春から夏の変わり目は、天候が不安定で強い雨風が吹く。そんな折、海や川が波立つその白さを、卯の花になぞらえた季語が「卯波」である。
もう一つ、卯の花と天候が結びついた季語、卯の花を散らして降る雨のことは「卯花腐し(うのはなくたし)」というそうだ。

長雨の続く今日こ

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https://news.yahoo.co.jp/articles/c481388dd3f491a645b11e31c9d62fdf1b70fa10
『小・中学生の女子はなぜ「うち」という一人称を使うのか?』

なーんて、この記事とか、まあ、あと別のきっかけもあるんですが、じっとそんなことを考えてみた。

袋角

袋角

奈良へは、中学の修学旅行で初めて行った。鹿をじっくりと間近で見たのもこの時が初めてだったように思う。先の丸い鹿の角は、一年かけて伸びたものが春に落ち、生え変わった後なのだと引率の先生が教えてくれた。持っていったインスタントカメラを後日現像すると、ほとんどは見事にピンぼけしており、その中でも鹿を映した写真が沢山残っていた。

旅館の慣れない枕と浅い夜、その日、私は夢を見た。
運動部に所属していた私は

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新緑

新緑

植物が這っている建物が好きだ。
最近は人口緑化を取り入れた施設やビル群も見かけるが、自然な生命活動には、より心惹かれる。東京でも、少し住宅地へ入り込めば、怪しいくらい緑を纏った民家と出逢えたりもする。そして、その写真を撮っている人物がいるとすれば、私はその一人である。

細い手足が、器用に凹凸を捕まえている。よくよく観察すれば植物とは、毛が生えていたり、湿度があったり、大変に有機的なのだ。度を越し

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薫風

薫風

風薫る朝。
自転車脇のブロック塀には、小さな虹が映っていた。薄いシャカシャカのパーカーを羽織って漕ぎ出す。風を受けて、帆がばたばたと膨らんだ。

雑草の生い茂る路地を通り抜けて、
さっき飲んだ珈琲交じりの吐く息さえも、
ぼくは、

風をあつめて
蒼空を翔けたいんです。

薫風(くんぷう)

桐の花

桐の花

ずっと、山に緑に点在する紫の花は、藤なのだと思っていた。
しかしこれは、桐の花らしい。嫁入り道具で知られる桐箪笥の桐。なかなか間近で花を見たことがなくて、今回、桐の花の写真を調べてもピンとこなかったのだけれど。いつも気になっていた、藤にしては直立する大振りな幹や、垂れ下がるのでなく立ち上がるような花の様子の違和感に、なるほど、桐もこのような見事な紫の花をつけるのだと、誰も教えてくれなかったことをま

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薄暑

薄暑

KIGOです。
最近、Twitterでこの曲を見つけてこればっかり聞いてる。

あの夏は…。

なんでかな、やっぱこういう恋の歌にいいなって思うのは、私がそういう風にできているだけなんだろうか。

実は昨日を取りこぼしていたり。
試行錯誤の毎日です。「思考索語」…なんて、徒歩通勤中に考えていたら、検索してみるといるもんですね、先駆者が。笑

アウトプットのエネルギーが溜まるまで、徒然と過ごしていこ

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薪能

薪能

薪能(たきぎのう)の起源は、奈良興福寺の神事能と言われ、夕暮れから夜間に、野外で篝火を焚いて催されることから来ている。

能は、歌舞を中心に発達した古典芸能「猿楽の能」の略で、面をつけ、謡や囃子に合わせて演じられる。室町時代、世阿弥によって大成された。

世阿弥「風姿花伝」による名言、
秘すれば花なり。秘せずは花なるべからず。

秘する花を知ること。
俳句で花と言えば桜と以前言ったが、さて、ここで

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