初嵐
山羊と狼は結婚できると思う?
ベッドの上、僕の肩口に顔を埋める相手に小さく尋ねる。
暗闇に睫毛の動く気配がする。
先刻あまりに間近で見つめるものだから、瞳の中に自分が映る距離とはこんなに近いのだと驚いた。向こう側にも、僕が居たのだろうか。こういう時、漆黒の目を持つ僕らは都合がいいらしい。
返事は無い。
天井の換気扇が強風を受けて、がたがたと鳴っていた。
その日、僕らは初めて一夜を共にした。
初嵐(はつあらし)
山羊と狼は結婚できると思う?
ベッドの上、僕の肩口に顔を埋める相手に小さく尋ねる。
暗闇に睫毛の動く気配がする。
先刻あまりに間近で見つめるものだから、瞳の中に自分が映る距離とはこんなに近いのだと驚いた。向こう側にも、僕が居たのだろうか。こういう時、漆黒の目を持つ僕らは都合がいいらしい。
返事は無い。
天井の換気扇が強風を受けて、がたがたと鳴っていた。
その日、僕らは初めて一夜を共にした。
初嵐(はつあらし)