KENTA KASUYA

考えたことや感じたことを言葉にしています。読んで感じたことを感想で書いてもらえるととて…

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考えたことや感じたことを言葉にしています。読んで感じたことを感想で書いてもらえるととても嬉しいです!

記事一覧

わたしのすきな短歌 その2──普遍的な感情

 この記事では、わたしが好きな短歌に簡潔な感想を添えて紹介したいと思います。なんと!前回の記事が4年前の出来事になってしまいました。ですが、たとえオリンピックと…

KENTA KASUYA
2か月前
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詩とは何か──令和ロマンとリルケ

 「詩とは何か」──詩を詠んだり、読んだりする人たちにとって、この問題を避けることはできない。何がその文字列を「詩」たらしめるのか。とりわけ日本語の詩の多くは自…

KENTA KASUYA
3か月前
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ふたつの魅力

  「魅力とは何か」──たわいもない私と友人の話題は、次第に人間関係の話に移っていた。彼とは知り合って以来、私にとってずっと魅力的でありつ続けているし、彼もまた…

KENTA KASUYA
4か月前
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甘い錠剤

 最近もらった薬は甘い。キャンディのような味がする。  薬は錠剤で、水と一緒にのむタイプの薬。舌にのってから水で流し込むまでのコンマ数秒、安いキャンディのように…

KENTA KASUYA
2年前
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道具について

 最近、キーボードを買った。文章を書くのに気持ちよくタイピングできたほうが捗ると思ったから。カチカチと小気味よくなるキーボードを買った。とても満足した。執筆の欲…

KENTA KASUYA
2年前
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「見えない」ということ。「聞こえない」ということ。

2021/09/07  ── 愛するじいじに捧げる ※この文章には「連想」を用いた私のイメージが語られています。一部偏見を含んだ部分も見受けられるかもしれません。その際は、…

KENTA KASUYA
2年前
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ヴェーバーと恋愛

先日、M.ヴェーバーの『社会学の根本概念』(岩波文庫版、以下の引用頁数もそれによる)の読書会である一節が話題になった。それも、恋愛に関してである。 ところが、恋愛…

KENTA KASUYA
2年前
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「生」と「個性」

 最近、色々な場所で書いたものを発表させてもらう機会があり、こうして雑文を書くのが疎かになってしまいました。ただ、こうして、取り留めもなく書いておくことも、準備…

KENTA KASUYA
2年前
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わたしのすきな短歌 その1

 この記事では、わたしが好きな短歌に簡潔な感想を添えて紹介したいと思います。自分の性質上、喋りすぎてしまうので、もし書きすぎていたら焼いてください。では、Let's …

KENTA KASUYA
3年前
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恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の死 リフレイン考

 タイトルに惹かれてこの記事を見てくださっている読者のみなさま、もし(万が一にも)わたしの恋人に関する話を期待していたら、ごめんなさい。短歌の話です。あぁ、帰ら…

KENTA KASUYA
3年前
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詩ってなんだろう

 火星が泣いていたから遅刻しました 先日、『私たちは常に「一貫性」を求められる』という話になりました。就活で「なぜ弊社を志望したのか」という質問に対して、「私の…

KENTA KASUYA
3年前
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7冊目の『ライ麦畑で捕まえて』

7冊目の『ライ麦畑で捕まえて』  J・D ・サリンジャーの『ライ麦畑で捕まえて』、僕は昨日7冊目の「ライ麦」を購入しました。同じ本を7冊も購入してしまうのは、自分で…

KENTA KASUYA
4年前
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わたしのすきな短歌 その2──普遍的な感情

わたしのすきな短歌 その2──普遍的な感情

 この記事では、わたしが好きな短歌に簡潔な感想を添えて紹介したいと思います。なんと!前回の記事が4年前の出来事になってしまいました。ですが、たとえオリンピックと同じ更新頻度になろうとも、この記事はシリーズ化させる決意でナンバリングしているので、どうぞお付き合いください。

普遍的な感情 今回は、現代短歌と古典短歌(和歌)を一首ずつ紹介したいと思います。これから紹介する短歌は、木下龍也の『オールアラ

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詩とは何か──令和ロマンとリルケ

詩とは何か──令和ロマンとリルケ

 「詩とは何か」──詩を詠んだり、読んだりする人たちにとって、この問題を避けることはできない。何がその文字列を「詩」たらしめるのか。とりわけ日本語の詩の多くは自由詩といって、定型に当てはまらないものが多いから、言ってしまえば「これは詩だ」と言い張れることが詩の条件である。

 令和ロマンという漫才師のYouTubeの動画に「【師弟対決】このポエム、くるまか吉高由里子先生かクイズ【令和ロマン】」とい

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ふたつの魅力

ふたつの魅力

  「魅力とは何か」──たわいもない私と友人の話題は、次第に人間関係の話に移っていた。彼とは知り合って以来、私にとってずっと魅力的でありつ続けているし、彼もまた私の魅力を見初めてくれている。「見初めて」というのは、彼には本当に人を見る目を宿していて、ひと目見て、人のことが判断できる。私はといえば、事実としても、理念としても、一瞥したところではその人が何者かを知ることができない。彼は、人の好き嫌いが

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甘い錠剤

 最近もらった薬は甘い。キャンディのような味がする。

 薬は錠剤で、水と一緒にのむタイプの薬。舌にのってから水で流し込むまでのコンマ数秒、安いキャンディのように甘い。誰だって知っている、懐かしい甘さ。

 不思議だから、数秒、水を口に運ぼうとする手が止まる。いったいどんな甘さなのだろうか、もう少し味わってみようか、そんな考えが逡巡する。けれど、途端にダメだダメだ、これは薬なのだから、これは私を治

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道具について

 最近、キーボードを買った。文章を書くのに気持ちよくタイピングできたほうが捗ると思ったから。カチカチと小気味よくなるキーボードを買った。とても満足した。執筆の欲が高まった。

 最近、ノートとペンを買った。メモを取るのに自分が気に入った文房具を使った方がよく書けるからと思ったから。サラサラと滑るペンとノートを買った。とても満足した。また執筆の欲が高まった。

 高まった欲はどうなるのだろうか。確か

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「見えない」ということ。「聞こえない」ということ。

2021/09/07  ── 愛するじいじに捧げる

※この文章には「連想」を用いた私のイメージが語られています。一部偏見を含んだ部分も見受けられるかもしれません。その際は、コメントでお申し付けください。配慮した上で、適切な表現に変更いたします。

読めなくなった こんな文章を書いている場合ではない。これを書いているのが今日9月7日。明後日9月9日は試験の日。そう、入試。
 遡ると、ちょうど1ヶ月

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ヴェーバーと恋愛

先日、M.ヴェーバーの『社会学の根本概念』(岩波文庫版、以下の引用頁数もそれによる)の読書会である一節が話題になった。それも、恋愛に関してである。

ところが、恋愛その他の感情(例えば、信頼)に基づく関係に置いては、当然、考えられた意味内容の合理的表現の可能性は、業務上の契約関係などに比べて著しく少ないものである。(P.45)

詳細な理解は、別の機会に譲るとして、卑近に考えれば、雇用関係は契約書

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「生」と「個性」

 最近、色々な場所で書いたものを発表させてもらう機会があり、こうして雑文を書くのが疎かになってしまいました。ただ、こうして、取り留めもなく書いておくことも、準備をしっかりして発表に臨むことと同じくらい大切なことだと感じたので、ゆるく更新できたらなと思います。

 最近は専ら学的な専門書を読んでいて、趣味の詩歌は疎かになってしまっています。もう少しで最初の試験を迎えるので、それが終われば、もう少し、

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わたしのすきな短歌 その1

 この記事では、わたしが好きな短歌に簡潔な感想を添えて紹介したいと思います。自分の性質上、喋りすぎてしまうので、もし書きすぎていたら焼いてください。では、Let's go !

すてきな短歌たち 今回は、戦後の歌人の中で、前衛短歌で有名な三人、塚本邦雄、岡井隆、寺山修司の短歌を(期せずして)紹介します。どの短歌も今から半世紀ほど(以上?)前の短歌ですが、どれも、今でも煌々と輝きを放っています。

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恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の死 リフレイン考

恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の死 リフレイン考

 タイトルに惹かれてこの記事を見てくださっている読者のみなさま、もし(万が一にも)わたしの恋人に関する話を期待していたら、ごめんなさい。短歌の話です。あぁ、帰らないで!きっと、おもしろいから。

恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の死
 タイトルにもなっているこの文章は、穂村弘の歌集『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』に収録されている短歌です。

恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の死
   

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詩ってなんだろう

詩ってなんだろう

 火星が泣いていたから遅刻しました 先日、『私たちは常に「一貫性」を求められる』という話になりました。就活で「なぜ弊社を志望したのか」という質問に対して、「私の目の前に白い猫が通りがかったから」ではいけませんし、授業に遅刻した言い訳が「火星が泣いていたから」でもいけません(これらの質問に対する正解は私が書くまでもないでしょう)。
 こういった回答が望ましくないのは、理由の一つに、「一貫性」がないこ

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7冊目の『ライ麦畑で捕まえて』

7冊目の『ライ麦畑で捕まえて』  J・D ・サリンジャーの『ライ麦畑で捕まえて』、僕は昨日7冊目の「ライ麦」を購入しました。同じ本を7冊も購入してしまうのは、自分でも余程のことだと思って、「ライ麦」観を振り返ることにしました。もし、いつか興味が湧いて、手に取ってみようと思った方のためにも、内容にはあまり触れないようにしたいと思います。

 画像は、白水社から出版されたペーパーブック版で、一番新しい

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