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『「介護時間」の光景』(189)「ゴミ箱」。1.17。

 いつも読んでくださっている方は、ありがとうございます
 おかげで書き続けることができています。

(この『「介護時間」の光景』を、いつも読んでくださってる方は、「2003年1月17日」から読んでいただければ、これまで読んで下さったこととの、繰り返しを避けられるかと思います)。

 初めて読んでくださっている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
 私は、臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。


「介護時間」の光景

 この『「介護時間」の光景』シリーズは、私自身が、介護をしていた時間に、どんなことを考えたのか?どんなものを見ていたのか?どんな気持ちでいたのか?を、お伝えしていこうと思っています。

 それは、とても個人的で、しかも断片的なことに過ぎませんが、それでも家族介護者の気持ちの理解の一助になるのではないかとも思っています。

 今回も、昔の話で申し訳ないのですが、前半は「2003年1月17日」のことです。終盤に、今日、「2024年1月17日」のことを書いています。


(※ この『「介護時間」の光景』シリーズでは、特に前半部分の過去の文章は、その時のメモと、その時の気持ちが書かれています。希望も出口も見えない状況で書いているので、実際に介護をされている方が読まれた場合には、気持ちが滅入ってしまう可能性もありますので、ご注意くだされば幸いです)

2003年の頃

 1999年から介護が始まり、2000年に、母は長期療養の病院に入院したのですが、私は、ただ病院に毎日のように通い、家に帰ってきてからは、妻と一緒に在宅で、義母の介護を続けていました。

 ただ、それ以前の病院といろいろあったせいで、うつむき加減で、なかなか、医療関係者を信じることができませんでした。それでも、3年がたつ頃には、この病院が、母を大事にしてくれているように感じ、少しずつ信頼が蓄積し、その上で、減額措置なども教えてもらい、かなり病院を信じるようになっていました。

 それでも、同じことの繰り返しの毎日のためか、周囲の違和感や小さな変化にかなり敏感だったような気がします。

 2003年の頃には、母親の症状も安定し、病院への信頼も増し、少し余裕が出てきた頃でした。これまで全く考えられなかった自分の未来のことも、ほんの少しだけ頭をよぎることがありました。

 それでも毎日のように、メモをとっていました。

2003年1月17日。

『今日はひどい日だった。

 マスクを煮沸していて、消し忘れて、マスクを燃やしてしまった。

 回数券をなくした。

 バスに乗り遅れそうになった。

 何か変だ。気をつけよう。

 午後4時30分頃、母の病院へ着く。

 母と一緒にテレビで相撲を見る。

 何かで株の話題になったら、家を買うまで持っていたなど、詳しく覚えていた。

 感心もする。

 夕食は、たっぷり50分もかかった。

 その遅さに、ちょっと不安になる。

 午後7時に病院を出る』。

ゴミ箱

 駅のホームのゴミ箱。

 上のところは、普段は広告があるところなのだろうけど、今は向こう側も見える四角い枠のようになっている。

 そのちょっと向こうで、ゴミの収集をしている人が低い姿勢をとって動いているせいで、紺色の帽子が、その枠の中に、ひょっこりあらわれたり、急に消えたりするように見える。その動きの繰り返しが、人形劇…それも意味のほとんどない劇のように見えた。

                                          (2003年1月17日)


 この生活は、まるで終わらないように続いたのだけど、その翌年、2004年に、母親の肝臓にガンが見つかった。
 手術をして、いったん落ち着いたものの、2005年には再発し、2007年には、母は病院で亡くなった。
 義母の在宅介護は続いていたが、臨床心理学の勉強を始め、2010年に大学院に入学し、2014年には臨床心理士の資格を取得し、その年に、介護者相談も始めることができた。

 2018年12月には、義母が103歳で亡くなり、19年間の介護生活も突然終わった。2019年には、公認心理師の資格も取得した。 
 昼夜逆転のリズムが少し修正できた頃、コロナ禍になった。

2024年1月17日

 天気はいい。
 空気の冷たさが続いている。
 冬だと思う。

 今日は、洗濯物が少ないので、明日、洗濯しようと思い、今日はやめた。

 空は青い。

更新

 2024年は、臨床心理士の更新をする年になった。

 5年に1回だから、これで2回目の更新。

 もうすぐ10年のキャリアをつむことになる。

 人と比べても仕方がないけれど、その年月の間に臨床の経験が少ないことが、なんとなく後ろめたい。とはいっても、臨床心理士になった頃は、50歳を超えていたこともあって、なかなか仕事も見つからなかったし、まだ介護を続けていて、5年間はその状態だったので、正直、それほど仕事を増やすのも難しかった。そして、2020年からはコロナ禍で外出もままならなくなった。

 それでも10年が経ったことで、経験はそれなりに積んできた。

 毎日の過ごし方が、仕事に関係してくるのも、より分かって来たので、臨床経験だけでなくて、そのことも気をつけたいとは思っている。

 臨床心理士は5年の間に所定の研修を受けないといけないのだけど、振り返ると、いろいろなことを思い出し、この研修の義務化のようなものは、プロの仕事の質のためには必要ではないかと思ったりする。

 ただ、更新の手続きの事務作業が、ちょっと辛い。


夕暮れ

 日が暮れるのが、少し遅くなった。

 外では何かの作業音が、今日1日聞こえ続けている。

 すごく近くに感じるけれど、少し距離がある場所に家を建てていることを妻に教えてもらった。




(他にも介護のことをいろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)



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