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『「40歳を超えて、大学院に通う」ということ』②大きい本屋へ行く。

 いつも、このnoteを読んでくださっている方は、ありがとうございます。おかげで、こうして記事を、書き続けることができています。

 初めて読んでくださっている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
 私は、臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。

大学院で学ぼうと思った理由

 元々、私は家族介護者でした。
 1999年に介護を始めてから、介護離職をせざるを得なくなり、介護に専念する年月の中で、家族介護者にこそ、特に心理的なサポートが必要だと思うようになりました。

 そうしたことに関して、効果的な支援をしている専門家が、自分の無知のせいもあり、いるかどうか分からなかったので、自分で少しでも支援をしようと思うようになりました。

 そして、臨床心理士の資格を取得するために、指定大学院の修了が必須条件だったので、入学しようと考えました。

 私自身は、今、振り返っても、40歳を超えてから大学院に入学し、そして学んで修了したことは、とても意味があることでしたし、辛さや大変さもあったのですが、学ぶこと自体が初めて楽しく感じ、充実した時間でした。

「40歳を超えて、大学院に通うということ」を書こうと思った理由

 それはとても恵まれていたことだとは思うのですが、その経験について、伝えることで、もしも、30代や40代になってから、大学院に進学する気持ちがある方に、少しでも肯定的な思いになってもらえるかもしれない、と不遜かもしれませんが、思いました。(もちろん、資格試験のために大学院へ入学するのは、やや一般的ではないかもしれませんが)。

 同時に、家族介護者へ個別な心理的支援を仕事として続けてきたのですが、少なくとも臨床心理士で、この分野を専門としようと思っている方が、かなり少ないことは、この10年間感じてきました。

 もしも、このnoteを読んでいらっしゃる方の中で、心理職に興味があり、臨床心理士や公認心理師を目指したい。さらには、家族介護者の心理的支援をしたいと思ってくださる方がいらっしゃるとしたら、できたら、さらに学ぶ機会を作っていただきたい、という思いもあり、改めて、こうして伝えることにしました。

 このnoteの中では、もしかしたら、かなり毛色が違うのかもしれませんし、不定期ですが、何回かに分けて、お伝えしようと思います。

 よろしくお願いいたします。

介護の区切り

 高校を卒業し、1年間予備校に通い、大学に入学したのですが、その時は法学部でした。だから、大学を卒業したとはいっても、それから20年以上の時間が経っていましたし、さらには、これから目指す大学院は、臨床心理学専攻でしたから、全く違う分野でした。

 自分が介護に専念する時間の中で、介護者にこそ心理的支援が必要だと思い、そのうちに、自分でもその支援に関われないかと考え、その中で臨床心理士という仕事を知って、その資格を取得するためには、指定大学院に入学し、そこを修了するのが条件と知りました。

 だから、ぼんやりと心理学の本を読み始めてはいたのですが、その頃は、母のいる病院に通っていて、帰ってきてからは、義母の介護を妻と二人で行っていて、それ以上に具体的な行動をすることもできませんでした。

 介護を始めてから8年がたち、母親が病院で亡くなりました。

 自分の頭の上に、細い黒い針金がからまったような雲みたいなものがあったことに、なくなって初めて気がつきました。それは、母親への心配や不安がイメージとして形になり、いつも視界を暗くしていたもののようでしたが、だから、その後も、義母の介護を妻と一緒に続けていたとはいえ、明らかに負担は減っていたように思えました。

 そして、母親の遺してくれた預貯金などもあり、それを使えば、大学院へ入学することが、初めて現実的に思えるようになりました。
 
 介護は続いていましたが、そこは恵まれていたと思います。

本屋

 自分が大学生の頃は、そこから大学院へ進む人間はいましたが、理系だとごく自然なルートにも思えていた一方で、文系で大学院に行く人間は、大学の教員になり、研究者として生きることを選ぶとても特別な人に見えていました。

 だから、成績が悪く、法律のことは全く向いていなくて、勉強も嫌いだった自分には、まったく縁のない世界に見えていただけに、それから年月が経っても、大学院入学のために何をしたらいいのか全くわかりませんでした。

 行きたい場所は決まっていました。
 臨床心理学の大学院。それも、臨床心理士になるために、指定された大学院で学ぶこと。

 あまりにもぼんやりとした目標でしたが、このままだと、何を勉強したらいいのか分からないままなので、まずは大きい本屋に行こうと思いました。

 これまで病院の行き帰りをしていただけの路線の途中に大きいショッピングモールがある駅があり、そこで降りると、そのモールの中に大きい本屋があるのは知っていました。

 母親が亡くなった後も、いろいろな手続きもありましたし、さらには、月に1度は、その病院に入院する患者さんに渡す誕生日カードを制作するボランティアをしていました。母が亡くなった後も続けることになったので、そのたびに、その帰りに大きい本屋に行くことができました。

テキスト

 大きい本屋には、心理学の棚があり、そこには臨床心理学の大学院の入試対策、といった本が並んでいるコーナーもあるのが分かりました。

 当たり前ですが、関心がなければ、そんな棚があるのも、コーナーが存在することさえ知りませんでした。どんなジャンルでも、本によってアプローチできるのかもしれない、といった気持ちにもなり、また、介護を始めて以来、その本屋にいるときは、自分のことだけを考えていられるような気がして、とても新鮮でした。

 立ち読みも含めて、どんな本が並んでいるかは分かったのですが、臨床心理学の大学院の入試に必要な知識は、心理学一般の基礎や、心理英語や、心理統計といった分野に渡ることは、少し分かってきました。

 これまで臨床心理学のことといえば、フロイトしか思いつかず、これまで読んでいたのはフロイトの著作で、しかも理解できず、方向性として間違ってはいないのかもしれませんが、そのやり方では、大学院に合格できるまで10年以上がかかることは分かりました。

 そこで、臨床心理学専攻の大学院に入学するために、心理学のこと、心理英語のこと、心理統計のこと。どれも、全く分からなかったので、本屋の棚で「やさしげ」な背表紙に見えた「すぐわかる」「たった1ヶ月で理解できる」といった文字にひきつけられてしまい、そういったテキストを何冊も買いました。

 本屋で本を買うこと自体も、介護生活の中では、これまでほとんど経験できないようなことでした。本を読む習慣はついてきていましたが、お金を節約するためにも、図書館で借りることがほとんどでした。

独学

 病院に通わなくなったので、時間はできたはずでした。

 義母を妻と二人で介護をして、少しずつ介護負担が増えていく時期でもあったのですが、私が一人で担当するのは夜中で、主に排泄介助をして、午前3時頃に、「業務終了」となり就寝し、妻が午前7時に起床して、介護を引き継ぐ、という生活がしばらく続きました。

 だから、感覚的には、それほど時間的な余裕ができた気はしませんでした。

 それでも、介護は、介護行為の間の「待機」が多く、その時も、1階で寝ている義母の気配の変化に気を配りながら(もし起きそうだったら、排泄介助をしなくてはいけないので)、それでも勉強をしていました。

 その生活に慣れると、すき間、すき間に本を読めるので、介護と勉強は意外と相性がいいのでは、と思い始めましたが、同じ頃に、大きい本屋で買った「すぐわかる」といった見出しのテキストが、あまり役に立たないことに気づきました。

 最初に読み始めた時に、やけに全体が白く感じると思ったのですが、実際に読んでみても、その密度の薄い印象は変わらず、だんだん部屋に積まれるだけになっていきました。

 そのうちに、また何度も本屋へ行き、さらにテキスト選びに失敗を重ねながらも、法学部の時にも馴染みがあった「有斐閣」といった出版社が出しているような、そして他の出版社でも、大学の臨床心理学部でテキストとして使っているような本に、やっとたどり着きました。そこまでに何ヶ月も使ってしまいました。

 初代のiPhoneが発売された頃でもあったのですが、自分の能力の低さもあって、必要な情報を検索することができていなかったと思います。

 ただ、少しずつ心理学の知識は増えていったはずでした。

反省点(もし、今だったら)

 もし、現在ならば、テキスト選びについては、違うやり方から始めると思います。もちろん心理学の勉強も大事ですが、ある程度期間が限られているのであれば、やはり大学院でも「受験勉強」ですので、受験のプロの情報にアクセスした方がいいと思います。

 地域によって違いはあると思いますが、臨床心理学専攻・心理学系大学院の受験のための予備校はあると思います。

 もし、そうした予備校がないとしても、その予備校が出版しているテキストがあって、それを全部鵜呑みにするのも危険ですが、まずは、そこから始めた方が、はるかに早いのではないかと思っています。

 さらには、合格体験者による参考書紹介などもあります。こうしたブログも全部を信じるのは危険ですが、何も知らない場合には、かなり参考になるかと思います。

(【2022年版】合格者が紹介! 臨床心理系大学院の入試対策用おすすめ参考書)
 https://motose-shinrishi.com/blog-entry-112.html


 大学院受験前の自分に、こうした情報があれば、もしかしたら、もう少し早く大学院に合格したかもしれないと、思っています。

 第3回は「模擬試験」の予定です





(他にも、いろいろと介護のことを書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。



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