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『「介護時間」の光景』(170)「声」。8.22.

 いつも読んでいただいている方は、ありがとうございます。
 そのおかげで、こうして書き続けることができています。

 初めて、読んでくださっている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
 私は、臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。

(いつも、この「介護時間の光景」シリーズを読んでくださっている方は、「2002年8月22日」から読んでいただければ、重複を避けられるかと思います)。


「介護時間」の光景

 この『「介護時間」の光景』シリーズは、介護をしていた時間に、どんなことを考えたのか?どんなものを見ていたのか?どんな気持ちでいたのか?を、お伝えしていこうと思っています。

 それは、とても個人的なことで、断片的なことに過ぎませんが、それでも家族介護者の気持ちの理解の一助になるのではないか、とも思っています。

 今回も、昔の話で申し訳ないのですが、前半は「2002年8月22日」のことです。終盤に、今日、「2023年8月22日」のことを書いています。

(※ この『「介護時間」の光景』シリーズでは、特に前半部分の過去の文章は、その時のメモと、その時の気持ちが書かれています。希望も出口も見えない状況で書いているので、実際に介護をされている方が読まれた場合には、気持ちが滅入ってしまう可能性もありますので、ご注意くだされば幸いです)。

2002年の頃


 とても個人的なことですが、1999年から母親の介護を始めて、その途中で、私自身も心臓発作を起こしたこともあり、仕事をやめ、義母の介護も始まりつつあり2000年の夏には母親に入院してもらいました。

 私は、毎日のように2時間ほどかけて、母の病室へ通っていました。帰ってきてから義母の介護をする日々でした。ただ、それだけを続けていました。

 自分が、母のいる病院に通っても、医学的にプラスかどうかは分かりませんでした。でも、通わなくなって、二度とコミュニケーションが取れなくなったままになったら、と思うと、怖さもあって、通い続けていました。

 この病院に来る前、別の病院の医療関係者にかなりの負担をかけられていたこともあり、やや大げさに言えば、白衣に、怖さすら感じていました。

 そういう気持ちは、新しい病院に移り、2年が経つ頃、病院を信頼するように変わっていたのが、この2002年の8月頃だったように記憶しています。

 そのころの記録です。

2002年8月22日。

『病院に行く途中の駅で降りて、夏の終わりのバーゲンで、洋服を買った。最近、体重を落としてきたので、サイズはMにしたけれど、それが、自分で調子に乗っているようにも思ってしまった。

 午後5時10分に病院に着く。

 横になっている母。
 でも、わりと普通にしている。

 夕食35分。

 時間が経つのが早い。
 いつもよりも遅めに来たせいか。

 花もかえた。何か、話をしているときに、少し上の空で、母に悪かったと思う。

 今日も、「ボーリング」を3回投げたというし、テレビでサスペンスを見たりもして、一応は母も楽しそうで、良かったと思う。

 午後7時に病院を出る。

 何か、でも、少し疲れが出てきているようで、頭が少し痛い。

 また気持ち悪くて、カゼひいたりするのかな、と思い、自分が弱くて、嫌になる』。

「声」

 食堂の窓を少し開ける。

 そうすると、秋の虫の声が聞こえてくる。

 それを聞くだけで、涼しくなったな、と思う。

                   (2002年8月22日)


 この生活はそれからも続き、本当に永遠に終わらないのではないか、と感じたこともあったのだけど、2004年に母はガンになり、手術もし、一時期は落ち着いていたが、翌年に再発してしまった。そして、2007年に母が病院で亡くなり、「通い介護」が終わった。

 義母の在宅介護は続いていたが、臨床心理学の勉強を始め、2010年に大学院に入学し、2014年には臨床心理士の資格を取得し、その年に、介護者相談も始めることができた。

 2018年12月には、在宅で、妻と二人で介護をしていた義母が103歳で亡くなり、19年間の介護生活も突然終わった。昼夜逆転のリズムが少し修正できた頃、コロナ禍になった。


2023年8月22日

 起きたら、すでに妻が洗濯をしてくれていた。

   それは、前の夜に、少しでも早く今日出かけるために、洗濯をどうしようか?という相談をして、結局、私が、いつものように起きてからしようと思っていたのだけど、それがうまく伝わっていなかった。

 だから、そのことで、なんだか少しもめた。

 それでも、洗濯物を干した。雨が降るかもしれないから、室内に移動した。

 そして、出かけることができた。

電車

 以前から妻と約束をしていた美術館へ出発する。

 少し雨まで降ってきたけれど、明日はどうなるのか分からないから、予定通りに駅に向かう。

 そこから電車を乗り継いで、久しぶりに少し遠出の感覚で、その途中で久しぶりに山手線に乗った。もう当たり前のように、マスク着用率は下がっていて、だけど、妻はぜん息を持っているし、その上、冷房が強くて、さらに体も弱りそうだった。

 不安の持ち方に格差が出てきていると思う。

行動制限のない夏休みを迎えていますが、都内のクリニックにはお盆の間も連日、新型コロナに感染した患者が多く訪れています。
クリニックは盆明けのこの時期にさらに感染が拡大する懸念があるとして、「体の免疫力が低下していると感じたらマスクをしてほしい」と呼びかけています。

東京・北区にある「いとう王子神谷内科外科クリニック」では、お盆の間も発熱外来を設けて、連日、発熱やのどの痛みを訴える患者20人ほどの診療にあたってきました。
こうした患者のうち、検査をした6割以上が新型コロナに感染していたということで、今月上旬に比べて陽性率も高いといいます。
ことしの夏は行動制限がなく、花火大会などさまざまな催しが再開されていますが、患者のなかにはこうした催しに参加した際に感染したとみられる人や、帰省先で感染が発覚し、高齢の家族がいたため急いで帰省を切り上げた人などもいたということです。

伊藤院長は「院内に限った陽性率の高さを見ると、第7波や第8波のピークに相当する程度で、市中で感染が拡大していると感じる。暑さ疲れやエアコンによるのどの不調など体の免疫力が低下していると感じたときは、マスクをして自分や周りの人を守ってほしい」と話していました。

(「NHK」より)

 感染が広がるとしたら、これからで、持病などもあって注意を続ける人と、健康で若くて注意をしなくなる人との行動格差も、(それは結果として経済格差にもつながりそうだけど)広がっていきそうな気がする。

植物

 久しぶりに練馬区立美術館に着いた。

 一見、地味そうだけど、様々なことを考えさせてくるいい展覧会だったと思う。妻は、植物好きなので、私よりも、もっと多くのものを得たようだった。

 行ってよかった。





(他にも、介護に関することを、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。


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