記事一覧
古ローマ聖歌覚書Ⅱ 研究史
前回の記事で、古ローマ聖歌の主要録音である Ens. Organum のアルバム5種類を紹介しました。今回は古ローマ聖歌をめぐる研究史をみていきます。
古ローマ聖歌の語義
古ローマ聖歌 Old Roman Chant について、Wikipedia では次のように紹介されています。
こうした説明は標準的で、たとえば本邦でも「〔古ローマ聖歌がグレゴリオ聖歌以上に〕古い典礼伝統を示す」と言われてき
古ローマ聖歌覚書Ⅰ 録音の紹介
これまで何度か Twitter で Ensemble Organum 〔以下、 Ens. Organum 〕の古ローマ聖歌にかんする呟きをしてきたのですが、少し纏めておきたい気持ちがあったので、しばらく記事を投稿していこうと思います。今回はその導入として、 Ens. Organum の古ローマ聖歌の録音紹介をしていきます。
導入 グレゴリオ聖歌前史
古ローマ聖歌 Old Roman Chan
中世ハンガリーにおける復活の典礼劇.――謎の写本「Futaki Graduale 1463」とハンガリー土着の典礼歌――
はじめに
TwitterのTLにおいて(2022年10月10日)、復活やイースターの話題を投稿している方がたくさんおりました。これは本日付で放送されたラジオ番組「古楽の楽しみ」の影響のようです。私は朝の番組を聴かないため全く門外漢なのですが、自前のイースターに関する面白い話題があって、前々から note や Twitter で呟こうと考えていたので、今日を機会に投稿してみることとしました。
前回
コンポステーラの音楽: Dum Pater Familis
はじめに
コンポステーラの音楽。今回は「Dum Pater Familias」です。
前回につづき2回目となります。1回目の記事では「Kyrie」を扱いました。
「Kyrie」が全き聖歌であったのに対し、今回の「Dum Pater Familias」は些か謎に満ちた作品です。というのも、その音楽性もさることながら、発見までの経緯も含めて興味深いためです。また、魅力的な演奏にも恵まれた一曲で、た
コンポステーラの音楽: Kyrie - Cunctipotens Genitor Deus
はじめに
コンポステーラの音楽と銘打って、コンポステーラにゆかりある音楽作品を紹介します。
本当はTwitterで呟く程度にするつもりだったのですが、改めていろいろと調べたり聞いたりしているうちに、note もはじめたことだし、ちょっと書いておきたいな、という気持ちに転じた次第です。
今回から数度、サンティアゴ・コンポステーラに関係する音楽作品と、その演奏・録音を紹介していくつもりです――専門
アンサンブル・オルガヌムとはなにか②: 結成秘話「支援者のネットワークづくり」和訳
前回、アンサンブル・オルガヌムの結成秘話と題して「Une utopie musicale: comment se forme un ensemble?」(原書P15~20)を和訳しました。アンサンブル・オルガヌム結成につながるセナンク修道院での出来事、ドミニク・ヴェラールとのエピソードのほか、マルセル・ペレスのキャリアが明らかにされました。
今回はそのつづきにあたる「Créer un résea
アンサンブル・オルガヌムとはなにか①: 「音楽的ユートピア: アンサンブルはどのようにして結成されたか」和訳
初投稿です。
Twitterの開始と兼ねて、note もはじめてみた次第です。
私は宗教音楽、古楽、クラシカル、現代音楽等々聴きますが、特に好きなアーティストというものが、やはり存在します。そのひとつがマルセル・ペレス / アンサンブル・オルガヌムです。
このアンサンブルは日本でもよく知られていて、2022.07.02.にはNHKのラジオでも特集が組まれました。
1982年に結成して以来、今年