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【Netflix】「アレクサンドロス大王」世界征服したくなる

<概要>

アレクサンドロス大王: 神が生まれし時
2024 | 年齢制限:16+ | 1シーズン | ドキュメンタリー
専門家へのインタビューと緊迫感あふれる再現ドラマを織り交ぜて、燃えるような野望を抱き、世界征服に挑んだアレクサンドロス大王の類まれなる人生をたどる。
出演:バック・ブレイスウェイト、ミド・ハマダ、アグニ・スコット
(Netflix公式サイトより)


<評価>


男と生まれたからには、「大王」となって世界征服の旅に出たかった。

と思わせる、血沸き肉躍るドラマ+ドキュメンタリー。40分×6回。

わたしのような大王ファンだけでなく、歴史好きなら、まずは必見の番組だろう。


しかし、最大の不満は、尻切れトンボで終わること。

アレキサンダー大王の人生全体を描いているわけではない。その点では看板に偽りアリだ。

正しいタイトルに付け直すなら、「アレクサンドロスVSダレイオス」。

アレキサンダーが20歳でマケドニア王となった紀元前336年から、ダレイオス3世が支配するペルシャ帝国に挑んで勝利し、紀元前330年に逃走中のダレイオスが死亡するまで。

つまり、アレキサンダー大王がペルシャ王ダレイオスと対峙した、その7年間を描いている。


当時、世界人口の半分(約1億5000万人)を擁する巨大なペルシャ帝国に、ギリシャの小国の「少年王」が挑む。

もちろんそれだけで十分にドラマチックで、世界史の最大の見せ場の一つだ。


でも、わたしがいちばん見たかったのは、アレキサンダー大王が32歳で急死したミステリーをどう描いているかだった。

前に書いたとおり、わたしは、アレキサンダー大王は、師であった哲学者のアリストテレスと、竹馬の友だったプトレマイオスに暗殺された、という陰謀論を信じている。面白いから。

しかし、ドキュメンタリーは、死のかなり手前で終わるので、当然その話は出てこない(続編に期待?)。


このドキュメンタリーでも、アレキサンダーの考え方がどんどん東方的になり、ギリシャ思想から離れていくので、プトレマイオスが疑問に感じるところが描かれている。

アレキサンダー大王が死んだ翌年(紀元前322年)に、アリストテレスは死んだ。

アリストテレスが先に死んでいたら、わたしの説では、アレキサンダーは殺されていない。


アレキサンダー大王が死なずに、そのままどんどん東進し、中国や日本まで(つまり「小アジア」だけでなく「大アジア」まで)支配していたら、世界史はどうなっただろう。

7年でギリシャからアフガニスタンあたりまで征服したのだ。それで、まだ32歳。長生きしたら、ありえたのではないか。

彼は、ただの戦士や政治家ではなく、一人の思想的探究者であり、東方思想に惹きつけられていた。


当時、中国は秦の時代、日本は弥生時代だ。

こんだけトンデモ古代史があるのだから、アレキサンダー大王は死なずに日本に来て神武天皇になった、みたいな話があってもいいと思うが、聞いたことないな。わたしが唱えようかな。

あるいは、秦に捕らえられて始皇帝に仕え、「徐福」という名前で日本に渡った・・とか。


番組では、エジプトのアレクサンドリアで現在進んでいる、アレキサンダー時代の王宮の発掘の様子が紹介されている。

アレキサンダー大王の墓が残っている可能性があるという。もし本当にあったら、もちろん世紀の大発見だろう。

しかし、残念ながらその墓の中身はカラだ。本当の墓は日本に・・徳島の剣山とか、福岡の八女市とか、そのへんにあるからね。


なお、教養番組的な内容ながら、年齢制限がついているのは、古代ギリシャの同性愛や、戦場の残虐シーンがあるからだと思うが、ごくマイルドである。



番組中で、エジプトを征服したアレキサンダー大王が、砂漠をわたって「シワ」のアメン神殿におもむき、神託をうける有名な場面が描かれる。

「シワ」は、いまもエジプトの秘境的観光地として有名だ。前に、下の紹介動画を見て、興味を覚えていたが、いよいよ行きたくなった。わたしも神託をうけたい・・。でも、カイロからバスで10時間くらいーー年齢的に、もうキツイ。若い時に行っときゃよかった。


あと、現トルコのアナトリア地方の覇権をめぐっては、アレキサンダー大王より約1000年前のヒッタイト王国を描いたドキュメンタリーも面白い(YouTubeで何度も見てしまう)ので、あわせて紹介。



<参考>





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