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ラブソングを歌えるような

ラブソングを歌えるような

10代の頃はとにかくラブソングが嫌いだった。みんなは花畑に暮らしていて、自分は砂漠にテントを張っているんじゃないかというくらいには対極に感じていて、ラブソングを聴き始めたら終わりだななどと思っていた。捻くれがすぎて、恥ずかしいけれど当時は真面目にそう思っていた。

今も積極的に聴くかと言われたらそうでもないけれど、ラブの矢印が「対 個人」ではなくても美しい風景だとか愛でたい思い出だとか、もっと大き

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全部「ららら」で唄う

全部「ららら」で唄う

年末に些細なことで言い合いをしてしまった人との間に、いまだに気まずい空気が流れている。
1人でいるときには大抵その日のことを考えていて、言い過ぎたかもしれないと思う気持ちと、普段は表に出さない自分の本心を大事にしたい気持ちを行ったり来たりしている。

事の発端は、相手のみぞ知るところではあるものの、推測するに自分ののらりくらりとした態度が引っ掛かりを作ってしまったのだと思う。

覚悟がない、と言わ

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暗い海の中で光る

暗い海の中で光る

今年も一年ありがとうございました。
例えば明日急に何かが起こっても納得できるように、そう過ごしたいと考えた27歳だった。club27とか、そういう概念的なものが頭にあったのかもしれない。

納得に必要な自分の解像度をと思えば、物事が起こる現在と起因となる過去の言語化が必要で、目を背けたいことを捉える難しさが本当に多くあった。
一方で言語化は対象によってアウトプットが異なり、自分自身のための言語が必

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泳ぎ方を知っている

泳ぎ方を知っている

海にはあまり縁のない人生だと思う。
生まれ育った埼玉県には海がないし、今住む越後妻有は山間部だ。新潟県に海はあっても全ての街が面しているわけではない。子どもの頃から川に愛着があるのは、培われた県民性だろうか。だからか川にはときめいても、海にはそこまで惹かれない。特別に海に行きたい、と今まで感じてこなかった。なので物心ついた時から習っていて育成コースまでやり切った水泳を、活かせたことは殆どない。海は

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行けなかった旅行とサヨナラ打

行けなかった旅行とサヨナラ打

大谷が腕を振り、バッドを振り抜いて世間が賑わう中、covid-19陽性と診断され4年ぶりの旅行を棒に振った。

旅行中のスケジュールもおおかた決まり、「あとは当日まで無事に過ごそう!」と連絡をもらった数日後に発熱。何度も抗原検査の結果を疑い自分の運の無さに嘆きながら「陽性になりました」と送信した瞬間、心の中でありったけの涙を流した。

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きっと何年先かに

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音楽変歴

音楽変歴

時計は間もなく2時を差し、丑三つ時もいいところ。
学生時代から眠れない夜が多く、体質なのかもしれない。眠らなきゃ、と念じるほど悲しきかな眠気はやってこないことを知っているので、ある時ならは「そういう日」として認めることにした。

なので、明朝の後悔が予想される深夜を使って
、ゆっくり回答したかった数ヶ月ほど前のマシュマロについて書いていこうかと思う。

ボ・ガンボスを知ったのは18〜19歳で、きっ

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あんまり変わらない

あんまり変わらない

甲状腺に腫瘍ができて、良性か悪性かの結果を待っている。0か100とはよく言うものだけれど、こういうことか。

良性だったら何でもないし悪性だったらそういうことで、その時はその時だ!という不思議な割り切りや、ストンと腑に落ちたような清々しい気持ちは、対して勉強していないテスト前の根拠のない自信に似ている気がしている。
なるようにしか、ならないのだ。

もしかしたら癌かもしれない、という心境で過ごす日

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希望が咲くと書いて、

希望が咲くと書いて、

7年くらい前だった気がする。
mitskiが初めて来日公演を行なった。
渋谷の小さなライブハウス、キャパシティは200くらいだったと記憶している。
公演終わりのドリンクカウンターにmitskiがふらっと現れて、サインをもらえるか尋ねると、心よくOKをしてくれた。
名前はなんていうの?漢字は?ごめんなさい、私漢字は書けないけれど素敵な名前だね、ありがとう。とシャイそうな笑みを浮かべながら、チケットの

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切り貼りと手先

切り貼りと手先

ガサツという3文字だけで許してはいけない、大胆かつ雑な指捌きによって、数えきれないほどの紙を無駄にしてきた。

切り貼りにおける自分の9割の出来は他人の4割程度であり、それによって促された注意もまた数知れず。しかしながら、なりたくてこうなったわけではなく、むしろ自分でも不思議なくらいハサミやカッターは苦手で、狙いを定めて粘着剤を付着させるのだって一苦労。意気揚々と貼り付けた矢先、空気が入って剥がそ

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何らかの波と勢い

何らかの波と勢い

4歳くらいだった気がする。
旅先のグアムで部屋から一人飛び出して海に向かった私は、しばらくの時間アメリカ人男性と砂遊びをしていたそう。
(おそらく)形相を変えて探しに来た両親に「友だちだよ」と紹介したのが、Rob Clockerさん。
当時、偶然にもRobさんは日本在住だったようでIinter FMで番組を持つDJだったそう。
帰国後も、交流を深めてくれたらしく家に遊びに行かせてもらったり、父が入

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舞台「凍える」を観て※ネタバレあり

舞台「凍える」を観て※ネタバレあり

https://stage.parco.jp/program/kogoeru/

十字架に見立てたような、十字の舞台で語る3人の人物。精神疾患を抱え連続児童殺人事件を起こしたラルフ、彼によって娘を殺された母ナンシー、疾患による犯罪を研究する精神科医のアニータ。
それぞれの語りによって殆どが構成される舞台の中で、彼女らがシーンを共にする時間は僅かだ。大きな舞台で、広い観客席の前で、膨大な台詞を語り演

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ないものねだり

ないものねだり

続けることと続けないことの間にある「辞められない」という才能と業を持つ人の覚悟とか魂とか生き様とか…そういうものに触れる瞬間に震える心があって、だからアーティスト(=0から1を創る人)が好きなんだと思う。

その人たちに抱く"好き"という感情は、自分が持つことができない業への憧れだ。

でも、それを持たない自分は、「自ら船は創れないが乗りこんだ船を漕ぐこと」ができ、そうして生活をしている。

それ

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持っているとか、星に生まれているとか。

持っているとか、星に生まれているとか。

持っている

我ながら、自分は本当に"持っている"なと思うし、職場の親しい先輩にも「そういう星に生まれているよね」と言われるので、これはきっと"自他共に認める"ってやつなのだろう。

先日、残業を終えて職場の事務所を最後に出ようとしたところ。

鍵が折れていた。根本から。
欠けるとかサビとか、そういうのは見たことがあるし、そうそうあることではないかもしれないが、あっても不思議ではないだろう。劣化で

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桜の(森にはとうてい満たない)満開の下

桜の(森にはとうてい満たない)満開の下

私の生まれ育った家は、長閑な用水路沿いにあって、そこは地元ではちょっとした桜の名所だった。桜の木を大切にすることを口酸っぱく教えられた私は、パトロールをするような気持ちで桜を見つめながら登下校をしていた。
パトロールに励んだ小中の9年間で、四季には匂いがあることや、葉の色の変化は移りゆく季節の瞬間を捉えているのだと知った。雨の日も風の日も、暑い日も寒い日もどんな時だって桜の木の下を歩いた。時には走

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