カブトムシ

「マル秘昆虫手帳」ができるまで①~本だからこそ、できたこと~

やってきました。夏です。
全国の虫取り少年たちの顔つきが、ガラリと変わる季節です。

ということで、今回は新企画編集部のもう片方である杉山が、新刊『丸山宗利・じゅえき太郎の㊙昆虫手帳』の制作の裏側についてお届けします!

ちょっとだけ自己紹介すると、私は、富士山のふもと茶畑の真ん中で生まれた、書籍編集歴5年目の編集者(♀)です。
一方の白戸は、中目黒生まれのシティーボーイ。
note更新2回目、お付き合いよろしくお願いします!

はじまりは一本の電話

すべてのはじまりは、ある日かかってきた、1本の電話。
「すぎやまさーん、キャラクター手帳を作りたいんですけど」
それは、本書の著者のひとり、じゅえき太郎さん(@juekitaro)からでした。

じゅえきさんは、SNSアカウント「ゆるふわ昆虫図鑑」で、4コマを発信している漫画家・イラストレーターさん。こーんな顔の昆虫たちの日常がつづられた、超ゆるい癒し系4コマを、毎日発信しています。


さらりと言いましたが、「毎日」って‼ すごいです。
仕事の〆切があっても、イベントがあっても、虫取りに行っても、風邪をひいても、毎日更新。それを3年以上続けている積み重ねは、ほんっとに尊い。

虫は苦手でしたが、この4コマにハマって好きになり、昨年「じゅえき太郎のゆるふわ昆虫大百科」という本を担当しました。

たしかに、このキャラたちの手帳があったら、私も欲しい!
やりましょう、じゅえきさん!

…と言いたいところだったのですが、うちの出版社で扱うのは「書籍」と「雑誌」。「手帳」だと、いつもの売り方は通用しません(流通や卸の条件など問題が複雑なので省略‼)。商品寿命も限定されるし…。
どうしたものか。でもやりたい。なにか道はないか。。

要は、「手帳」でなく、「書籍」であれば問題はないのです。
書籍にするには、どうすればいいのだろう…。

ミヒャエル・エンデに倣え!

たどり着いた答えは「昆虫少年が、ある日偶然、昆虫学者の手帳を拾ってしまう!!」というストーリー設定でした。

この時思いついたこと
・本そのものが、昆虫学者の12か月のスケジュール手帳の体裁
・春夏秋冬で4章構成
・昆虫少年が登場するマンガを巻頭巻末、各章に差し込む

これで読者は、少年と一緒に四季の昆虫を楽しめる、という構成になるわけです。思いつくまま最初に書いたラフはこんな感じ。


マンスリーカレンダーには昆虫学者のメモの書き込み。
その後に続くのが、一日単位の日記ページ。


ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」をご存知ですか?
あれみたい!と読者さんから言ってもらいましたが、あんな感じで、読みながら現実と本の世界を行き来する構成。
自分で書き込む「手帳」でなくて、「昆虫学者の手帳」を、こっそりのぞき見できる…
そんな夢のような本を作りたいと思いました。
手帳感を出すために、装丁にもこだわりましたが、その話はまた今後。

じゅえきさんはあの時すぐにOKしてくれましたが、当初想定していたキャラクター手帳からは、ものすごくかけ離れてしまいましたね。
いつか、ゆるふわ昆虫のキャラ手帳も作りたいです。

昆虫学者 まうやま先生

構成がきまったら、肝心の昆虫学者さん探し。
お願いしたいかたはすぐに決まりました。
じゅえきさんが何度かお仕事をご一緒されてる丸山宗利先生です。日本を代表する昆虫学者さん。


「情熱大陸」「夏休みこども科学電話相談」に出演され、子どもたちから(最近は大人からも)「まうやま先生」として親しまれています。


知識の広さ深さや研究実績のすばらしさは、言うのもおこがましいほど。
著書 「昆虫はすごい」は、10万部を突破するベストセラーです。
この本で丸山先生が語る昆虫の世界が、とにかくおもしろい!
生き生きとしていて、人間臭くて、生きものとしての大先輩である昆虫への、驚きと興奮に満ち満ちています。

先生の言葉は、昆虫に興味がなかった人にまで届いてしまう、不思議な強い力があると感じました。

そんなわけで、この企画の昆虫学者は、どうしても丸山先生がいい!
忙しい丸山先生に引き受けてもらえるか、内心ドキドキしながら、初めての打ち合わせをしました。
ラフと一緒に企画の説明をしたとき、「いい!おもしろい!やろう!」とすぐに言ってくださったことが、本当に嬉しかったです。

お二人ともたくさんの素敵なアイディアを出してくれました。一つ一つ実現していくにはどうしたらいいか、デザイナーさんも巻き込んで試行錯誤しながら進める日々のスタートです!


スタート段階だけでこんなに書いてしまった…
ということで、続きは次回!

noteではこんな風に、制作の裏側をたくさんお伝えできたらと思います。
次は本書をどう作っていったのか、実作業についてお伝えします!

実業之日本社・新企画編集部 杉山



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