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小説

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ごく最近になって趣味で書き始めました。 『自由意志』恋愛短編小説/『過ちの代償』ホラー、伝奇、オカルト中編。グロ描写あり、【R15】推奨です。苦手な方はお避けください。 拙い文章…
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#呪詛

自由意志

自由意志

そこにカフェがあることに気付いたのはつい先週の事だ。これまでにも何度か来たことがある場所のはずなのに、今の今までその小ぢんまりとした家屋がカフェであることに気付かなかった。
小窓から店の中を覗くと、壁面を覆うように書棚が並んでおり、壁には古びたレコードや写真がセンス良く飾られている。いわゆる隠れ家的な店と言ったところだろうか。
趣のある木の扉を押し開け足を踏み入れると、常連客と思しき客がマスターと

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過ちの代償 其の弐

過ちの代償 其の弐


一日目



松本に向かう特急列車に揺られながら、怜は祖父の事を思い出していた。
祖父は怜が小学四年生の頃に他界した。
無口で気難しい人だったが、怜の能力に気付くと沢山の事を教えてくれた。
霊にもあまり害のない霊とそうでない霊が居ること、生前の未練が強いほどなかなか成仏できずに現世に縛り付けられてしまうこと。
そういった霊たちを仏尊の力を借りて祓う真言や、その言葉の持つ意味などだ。
その祖父が

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過ちの代償 其の参

過ちの代償 其の参


二日目



とはいえ、一度引き受けた仕事を途中で放り出すわけにもいかない。
昨夜の霊障は結局あれきりだったが、まんじりともせずに一夜を明かした。
ともすれば眠りに落ちそうな自分に喝を入れ、怜は再び霊視を試みることにした。
裕太の家に意識を集中させると、ベッドの横に佇む女の姿が視えた。
肩まで伸びた髪は、どことなくレトロなパーマがかかっている。服装は昭和初期を思わせるワンピースだ。

──あな

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過ちの代償 其の四

過ちの代償 其の四

※土佐弁に詳しい方にご監修いただけると助かります。「ここがおかしいよ」というのがあったらぜひコメント欄にお書き下さい。

節子



「橘 節子です。今日からどうぞよろしくお願いします。」

そう言って節子はぺこりと頭を下げた。
節子の両親は先の空襲で命を落とした。一人遺された節子は、田舎に住む親類の家に身を寄せる事になった。M村の太夫を務める小松和夫は節子の母方の伯父に当たる。その和夫の家に今

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過ちの代償 其の五

過ちの代償 其の五

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節子



節子と小松家の長男である勇との関係は、どことなくぎくしゃくしていた。
幸子の方はわりとすぐに打ち解けて、節子の事を実の姉のように慕っていたが、勇の方は余所者である節子に向ける苛立ちを隠そうとしなかった。節子が標準語を話すことや、呪術や祭文に興味を持つ事も勇のカンに

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過ちの代償 其の六

過ちの代償 其の六

三日目



タケシタサン。彼女はあの男性をそう呼んでいた。
昨夜の金縛りを思い出しながら、怜はひとまず情報整理を試みることにした。
昭和21年から31年までの間に、K県の水田新地であの女性と何らかの接触があったタケシタという人物が、裕太の縁者に居るはずだ。彼が何らかの恨みを買い、彼女に呪詛をかけられた……と考えるのが妥当な線だろうか。
しかし、仮に呪詛をかけられて死んだのだとすれば、その霊魂が

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過ちの代償 其の七

過ちの代償 其の七

四日目



怜は昨夜の金縛り中に見た夢の中でタケシタが持っていた壷の事を考えていた。
恐らくあの女や呪詛に関係するものだと思うけれど……。
また裕太に確認してみなくてはならない。
十時過ぎにホテルからそう遠くない場所にある神社の脇の広場で裕太と落ち合った。
側の売店でソフトクリームを買ってベンチに腰を下ろす。

「ゆうべちょっと気になる夢を見たのですが、裕太さんは、白くてこれくらいの大きさの…

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過ちの代償 其の八

過ちの代償 其の八


節子



二人は神社を出て近くの喫茶店を探すことにした。駅に戻る方向に暫く歩くと丁度いい具合の店が見つかった。そのまま店に入り腰を落ち着ける。
博は節子の話に興味深そうに聞き入った。相槌を打ってはメモにペンを走らせている。
話しながら節子は村での暮らしを思い出していた。
勇があんな事にならなければ、今でもあの村に居ただろうか。あのままあの村に暮らすのと、今の生活とどちらの方がマシだっただろう

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過ちの代償 其の九

過ちの代償 其の九

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節子



「随分と色っぽくなっちゅうねや。」

そう言いながら節子の身体を触る勇に沸き立つ嫌悪感を抑えきれず、全身の毛が総毛立だった。
なぜ今更になって、こんなところで再会してしまったのだろう。

「あの後上京したんだけんがよ、言葉も上手ないし、やっぱり地元がええ思って戻っ

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過ちの代償 其の拾

過ちの代償 其の拾


四日目



「ひとまず、壷については竹下さんに直接教えて貰うのが一番手っ取り早いみたいですね……。」
怜の隣に座る裕太の傍らに不安気な顔で佇みながら、裕太の方を指差す彼に。

「……あなたが持っているそうです。」
「へ?」
裕太は何がなんだか分からないという様子で怜を見つめた。それもやむを得ない話だ。

「すみません、ちょっと親に確認してみます。」
そう言うと裕太はスマートフォンを取り出して

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過ちの代償 其の拾壱

過ちの代償 其の拾壱


四日目



アパートに着くなり、裕太は部屋の隅に雑然と置かれた段ボールを漁り始めた。引っ越してこの方連日の霊障に悩まされ続けたため、荷解きもそこそこに放置したままになっていたのだ。
女は先日視た時と変わらずベッドの脇に俯いている。今のところ大きな動きを見せることもなさそうだ。女の放つ妖気に鳥肌を立てながら、怜も裕太とともに壷を探す。程なく

「あった、これじゃないですか?」

という裕太の声

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過ちの代償 其の拾弐

過ちの代償 其の拾弐


四日目



ひとまず裕太から壷を預かり受けると、怜はホテルに戻った。あのまま裕太が持っているよりは怜の手元にある方がまだ安全だろうという判断だ。
再び呪詛を封印するための新しい札を用意しなければならない。怜はバッグから和紙と筆を取り出し、高校生らしからぬ達筆な文字で呪文を綴った。
続いて「高橋 裕太」の名を記した人形を作り、裕太の髪を包む。竹下の人形で爪を包み、ともに壷に入れる。この呪符で壷

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過ちの代償 其の拾参【終】

過ちの代償 其の拾参【終】

エピローグ

風呂から上がり、スキンケアを終えてベッドサイドに腰を下ろすと、スマホの通知音が鳴った。Twitterを確認すると裕太からダイレクトメールが届いていた。

怜はTwitterを閉じるとベッドに潜り込んだ。

──ハッピーエンドとは言い難い結末ではあったけれど、彼女の望みは叶ったのかもしれないな……。彼女の犯した罪は決して許される事ではない。
けれど、世の中には白と黒では割り切れない事が

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