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街の肖像

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昼の夜市に行ってみた(台北・臨江街觀光夜市②)

昼の夜市に行ってみた(台北・臨江街觀光夜市②)

昼朝の夜市を離れ、しばらく散歩をした。
定点カメラのように朝、昼、晩の夜市を見るつもりだったが、緩急も大事である。

その間、偶然見つけた近代中国の父、孫文を祀る「中山記念堂」を見てまわったり、庭園を眺めたりした。
だがその辺りの話はまたいつかにしよう。
言えるのは、そうこうするうちに、腹が減ってきたということだ。

勇み足で「夜市」に向かう。
その途中、餃子スタンドがあった。
「Green mu

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朝の夜市に行ってきた(台北・臨江街觀光夜市①)

朝の夜市に行ってきた(台北・臨江街觀光夜市①)

朝数年前、私は台北にいた。
一週間という長いのか短いのかよくわからない期間のあいだ、ただひたすら台北にいた。

台湾の首府はもちろん台北である。
だが旅行者にとっては、台南や台中、そして九份なども魅力的だ。

それらに行くこともなく、私はなぜ台北に張り付いていたのか。

やむを得なかったからだ。

私が台湾に上陸してすぐ、後を追うように二匹の台風が台湾を直撃したため、行動の自由が効かなかったのだ。

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夜型人間が集まってくる(イスタンブル、イスティクラール通り)

夜型人間が集まってくる(イスタンブル、イスティクラール通り)

トルコの古都イスタンブルは、大まかに、旧市街と新市街にわけることができる。

などと気取った言い方をしてみたが、至極あたりまえのことである。
古い街には、古い街区と新しい街区があるに決まっている。

だからなんだっていうのか。

問題は、新市街がどのくらい新しいのかだ。

新しい街?

イスタンブルの「新」市街は、古くは14世紀、日本で言えば鎌倉時代から室町時代にかけての頃に遡る。

まるで京都人

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朝食は教えてくれる(ローマ、コロッセオ周辺)

朝食は教えてくれる(ローマ、コロッセオ周辺)

行きつけ恐怖症?

確か『旅のつばくろ』だったと思うが、沢木耕太郎の本に「旅先で同じ店に通い詰める」ということの重要さが書かれていた。
同じ店に行き続けることで、一種の旅先での生活のリズムができてゆき、その街との関係を結ぶことができる。

だが、飽き性なのか、私はほとんど旅先で同じ店に通い詰めたことはない。

いや、旅先に限ったことではない。
日常生活の中でも、行きつけになって、店の人に顔を覚えら

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血の記憶、地の記憶(高松、高松築港エリア)

血の記憶、地の記憶(高松、高松築港エリア)

私の先祖は高松の武士だったらしい。
筆頭家老だったと鼻高々に語る親戚もいるが、よくわからないので、その辺りはぼかしておくが、とにかく高松で武士をやっていたのは間違いないらしい。

だから、高松には行ったことがなかったが、私にとって一度は行ってみたい、というか、一度は行くべき場所だった。

発端

高松に行く機会が訪れたのは、7月の頭、日差しの強い日のことだ。
その時、私は淡路島にいた。旅行である。

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混沌の華(パリ10区北駅周辺)

混沌の華(パリ10区北駅周辺)

パリといえば、言わずと知れた「花の都」である。
シャンゼリゼ、ルーヴル、ノートルダム、エッフェル塔、セーヌ川…。人によって思い浮かべる所はさまざまだが、私にとって印象深いのは別の場所だ。
そこは、パリの10区にあるフォブール・サン・ドゥニ通りという。

パリ北駅

初めてパリに訪れた時、私は大学一年生だった。
自力で海外を旅するのは初めてで、「若者のヨーロッパ旅と言えば、ユーレイルパス(青春18き

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