河内集平(Jam=Salami)

世界中の飲み物の話、街歩きの話、読んだ本の話など。 日常のささいな疑問専門の「気になっ…

河内集平(Jam=Salami)

世界中の飲み物の話、街歩きの話、読んだ本の話など。 日常のささいな疑問専門の「気になったこと探偵」もやっている。依頼募集中。 はてなブログ: https://leflaneur.hatenablog.com/

マガジン

最近の記事

とりあえず。(文章が書けないときのあれこれ)

ここ最近、noteを更新できていなかった。 それどころか、文章含めあらゆる創作活動から遠のいていた。 その理由ははっきりしている。 書いていないからであり、作っていないからだ。 何を当たり前のことを、と思うかもしれない。 だが、これは存外大事な視点なのだと、つい最近気づいた。 *** 気圧の乱高下がひどいせいか、このところ体の調子が良くない。 かといって、家にいて、6畳の部屋で転がっていると、よくない考えばかりに足を取られて、心の調子が悪くなる。 だからどこかに行こう

    • 食と歩きのリハビリ(香港澳門#3)

      どんな店でも、入る時は少し緊張する。 そもそも他人に話しかけるのに緊張するのだから仕方がない。 だがそれが異国ともなると、「この入り方で良いのか」「英語で行った方がいいのか、むしろ別の言葉がいいのか」「そもそも通じるのか」といった不安も増える。 旅を重ねて、なんとなく塩梅を得ていくわけだが、コロナ禍の三年間ですっかり飛んでしまった。 旅のリハビリは、飲食のリハビリから始まる…。 食事のリハビリ 香港は九龍半島、地下鉄オースティン(柯士甸)駅からほど近い食堂。 どうやら「茶

      • 地下鉄の出口の外は香港だった(香港澳門#2)

        体にまとわりつくような暑さと湿気。 目の前には今にも崩れ落ちそうな看板と室外機の羅列。 竹でできた工事用の囲いでは、上半身裸の男たちが何やら作業をしている。 暴力的とも言える車の排気ガス、食べ物と汗臭いような臭い。 ここは間違いなく、香港だ。 香港に来てしまったのだ。 飛んで香港 凡ミスによりバスに乗り遅れそうになった私だったが、どうにかこうにかバスに乗り込み、空港に辿り着き、飛行機に乗って、香港自治区に入境した。 空港で軽く昼を食べようと思ったが、よくわからず歩いていた

        • 飛んで香港…?(香港澳門#1)

          「安かったから買っちゃった」 と、母がハムなどを買ってくることがある。 買わなかったら出費は0円なのだから、安かったから買うというのは妙な話だと思っていた。 だが、ついこの前、私自身も「安かったから」と、ある買い物をしてしまった。 香港までの航空券である。 はるかな旅へ 2020年以降、コロナウイルスの拡大でほとんどの人は海外と縁遠くなってしまった。 もちろん私もその1人である。 それが、状況が変わったのか、各国が痺れを切らしたのか、2023年になって、ある程度自由な

        とりあえず。(文章が書けないときのあれこれ)

        マガジン

        • リハビリは3度ある(香港澳門遊記)
          3本
        • 店名のないグルメ紀行
          4本
        • 街の肖像
          6本
        • 朝ご飯から覗いた世界
          3本
        • 飲み物という名の冒険
          10本
        • 気になったこと探偵の事件簿
          4本

        記事

          冒険は続くのだ(インディ・ジョーンズ 運命のダイヤル)

          長年のファンならば、ワンカット目から違和感を感じるはずだ。 1981年の第一作目以降、インディ・ジョーンズシリーズには、ある「お約束」がある。 それは、提供のパラマウント社の山のロゴが出たあと、ワンカット目で、その山に被せるように、実際の山か山のようなものを映し出すというものだ。 第一作目は南米の山、第二作目は銅鑼に描かれた山、第三作目はアメリカの赤茶けた山、第四作目は趣向を変えてプレーリードッグの巣。 それが今回は、なかったのだ。 シリーズがシリーズである所以 今回

          冒険は続くのだ(インディ・ジョーンズ 運命のダイヤル)

          君は何を恐れているのか?

          ある天気のいい日のこと。 このまま家にいてもつまらない、どこかへ行ってしまいたい。 その時、ふと思い浮かんだのが、成田山新勝寺だった。 いきなり寺に思い至るのは珍しいかもしれない。 その時の私は、なんというか、行き詰まりを感じていたのだ。 コロナ禍で仕事にありつけたは良いが、本当は別のことがしたい。 だが辞める踏ん切りもつかない。後が怖い。 安易な考えではあるが、山奥の寺に行けば、何かわかるような気がした。 実をいえば、成田山には一度だけ行ったことがあった。 賑わう

          君は何を恐れているのか?

          曲がり角の魚料理屋②(店名のないグルメ紀行)

          「イワシの蒲焼きとご飯ください」 渋い店の雰囲気とは不釣り合いに洒落たマダムにオーダーする。 出てきたイワシの蒲焼きは、身が立派でジューシーだ。 味付けどちらかというと煮付けのような感じで、味も濃すぎない。 濃い味付けを見越してご飯を頼んだが、必要なかったようだ。 案の定、ご飯は出てこなかった。 おそらく、マダムはそれを見越していたのだろう。 いつでもウワテなのである。 じゃがいも焼酎と鰯の蒲焼 長崎は銅座。 大通りを一歩外れた場所に、その店はある。 おじいさんの板前

          曲がり角の魚料理屋②(店名のないグルメ紀行)

          曲がり角の魚料理屋①(店名のないグルメ紀行)

          長崎の街はやけに混んでいた。 一日中休みを取れば4連休、というタイミング。 そんなケシカランことをするのは私だけかと思っていたが、世の中結構不真面目な人が多いみたいだ。 長崎の名物といえば、ちゃんぽん。 ちゃんぽんはうまいが、ここ数日ほぼ毎食ちゃんぽんで、そろそろ別のものが食べたかった。 どうしたものか。 あてがないわけではない。 まず、茶碗蒸し発祥の店。有名店らしく至る所で広告を見かける。 次に、これも長崎名物の卓袱料理を食わせる店。1人で行ってもいいらしい。 そし

          曲がり角の魚料理屋①(店名のないグルメ紀行)

          準備しない

          この世界には2種類の人間がいる。 旅の準備を入念にする人と、全く準備しない人だ。 私はといえば、旅の準備は極力しないようにしている。 城を目指す 以前、松本に行った。 長野県の松本である。 事前に、松本といえば城だ、という言葉だけ聞かされていた。 どういう城なのかなどは全くわからないが、そんなに言われたら行くしかない。 私は駅に着いてからまっすぐ城まで歩いた。 私は歴史に関心がある方である。 だから、城があると聞けば、大抵の場合は行く。 何があるかわからなくても、大抵

          カレーを作る、ということ(#カレーにこれ入れる)

          カレーを作るのが好きだ。 特に、スパイスを自力で揃えて入れるタイプのやつが。 テキトーカレー作り スパイスからカレーを作る、というと、なにやら物凄い「こだわりの世界」の住人のように思われることが多い。 だが、スパイスは基本的なものを目分量で入れるくらいだ。 入れる具材もテキトーである。 初めのうちはこだわろうとして、ギーという牛乳由来のインドの油など揃えてみたりした。 だが、根が面倒くさがりなので長くは持たなかった。 今は、「玉ねぎをしっかり炒める」という作業すら億劫

          カレーを作る、ということ(#カレーにこれ入れる)

          夜の夜市に行ってくる(台北・臨江街觀光夜市③)

          夜台北の街に夜の帳が下りる。 何と言っても夜は台北の時間だ。 そして夜市の夜市たる所以がその時間にはある。 朝の夜市は街の人が買い出しに来る朝市だった。 昼の夜市は生活する人たちで溢れるエネルギッシュな場所だった。 夜の夜市を見るときがやってきた。 三度目のあの市へ しばらく別の場所を歩いていた私は、夜になり、三度目の臨江街観光夜市へと赴いた。 最寄りの信義愛和駅を降りると街はすっかり真っ暗で、美しい朧月が空には登っている。 朝や昼とは印象が違う。 私はまるで蛾のよ

          夜の夜市に行ってくる(台北・臨江街觀光夜市③)

          昼の夜市に行ってみた(台北・臨江街觀光夜市②)

          昼朝の夜市を離れ、しばらく散歩をした。 定点カメラのように朝、昼、晩の夜市を見るつもりだったが、緩急も大事である。 その間、偶然見つけた近代中国の父、孫文を祀る「中山記念堂」を見てまわったり、庭園を眺めたりした。 だがその辺りの話はまたいつかにしよう。 言えるのは、そうこうするうちに、腹が減ってきたということだ。 勇み足で「夜市」に向かう。 その途中、餃子スタンドがあった。 「Green mustard − 酢漬けの」 などメニューもちょうど良く怪しい。 気にはなるが、昼

          昼の夜市に行ってみた(台北・臨江街觀光夜市②)

          朝の夜市に行ってきた(台北・臨江街觀光夜市①)

          朝数年前、私は台北にいた。 一週間という長いのか短いのかよくわからない期間のあいだ、ただひたすら台北にいた。 台湾の首府はもちろん台北である。 だが旅行者にとっては、台南や台中、そして九份なども魅力的だ。 それらに行くこともなく、私はなぜ台北に張り付いていたのか。 やむを得なかったからだ。 私が台湾に上陸してすぐ、後を追うように二匹の台風が台湾を直撃したため、行動の自由が効かなかったのだ。 それは残念だったね、と言われることもある。 ところが、一週間どこにも行かずに

          朝の夜市に行ってきた(台北・臨江街觀光夜市①)

          夜型人間が集まってくる(イスタンブル、イスティクラール通り)

          トルコの古都イスタンブルは、大まかに、旧市街と新市街にわけることができる。 などと気取った言い方をしてみたが、至極あたりまえのことである。 古い街には、古い街区と新しい街区があるに決まっている。 だからなんだっていうのか。 問題は、新市街がどのくらい新しいのかだ。 新しい街? イスタンブルの「新」市街は、古くは14世紀、日本で言えば鎌倉時代から室町時代にかけての頃に遡る。 まるで京都人の「先の戦争」が応仁の乱だ、という小咄のような世界観である。 それもそのはず、イ

          夜型人間が集まってくる(イスタンブル、イスティクラール通り)

          俺たちは兄弟なんだ(イスタンブル・チャイ紀行#3)

          昨年だったと思うが、トルコのチャイ文化が世界無形文化遺産入りした。 その少し前からトルコのチャイにまつわるエッセイを書いていた身としては、何の影響力もないくせに勝手に誇らしい気持ちになった。 そんなチャイのエッセイも3話目。 今のところあと一話で最後だ。 トルコのチャイはユネスコも言うように単なる飲み物ではなく、一種の社会的実践だと言える。 つまり、チャイを囲めばそれは一つのコミュニティーとなり、出会いの場となる。 ユスキュダルは今日も雨だった 3月、イスタンブルの対

          俺たちは兄弟なんだ(イスタンブル・チャイ紀行#3)

          絶対に目覚めさせようという決意に満ちた朝ごはん(タイ、バンコク)

          東南アジアの朝ご飯は外食が多いと聞く。 だから屋台も発展していて、麺類やらお粥類やらを早朝から出している。 気だるい街の気だるい朝 バンコク滞在2日目の朝のこと。 宿は「ヤワラート」と呼ばれる中華街とバンコクの中央駅にあたるフアランポーン駅の間にとっていた。 朝起きて、外に出ると、空気が生暖かい。 排気ガスとレモングラスと何かが混ざり合った気だるい朝を吸い込んで1日がスタートする。 これで寝起きの頭が回るわけはなく、バンコク全体を覆う気だるい空気に身を委ねるしかない。

          絶対に目覚めさせようという決意に満ちた朝ごはん(タイ、バンコク)