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カレーを作る、ということ(#カレーにこれ入れる)

カレーを作るのが好きだ。
特に、スパイスを自力で揃えて入れるタイプのやつが。

テキトーカレー作り

スパイスからカレーを作る、というと、なにやら物凄い「こだわりの世界」の住人のように思われることが多い。

だが、スパイスは基本的なものを目分量で入れるくらいだ。
入れる具材もテキトーである。

初めのうちはこだわろうとして、ギーという牛乳由来のインドの油など揃えてみたりした。
だが、根が面倒くさがりなので長くは持たなかった。
今は、「玉ねぎをしっかり炒める」という作業すら億劫である。

そんな奴がなぜスパイスからカレーを作っているのか。
キューブを溶かすタイプの日本のカレーや、レトルトのインドカレーがあるじゃないか。
理由は非常に単純で、楽しいからである。

試行錯誤と実験の中にあるもの

私がカレーを作り始めたのは、まだ他の料理もろくに作ったことがない頃だった。
つまり、カレーの知識はおろか、料理の知識さえほぼ無の状態だ。
そこから、ネットでレシピや料理動画を漁り、手探りしながら進む。

時に失敗もする。いや、多くの場合は失敗だ。
だが「次はこうしよう」と頭のメモ帳に書き殴ってみれば、次のカレーが作りたくなる。
そしてそれを続けていくと、いくらかはできるようになる。

そんな実験と試行錯誤の連続が楽しい。
余裕ができてきたら、もっと実験出来なこともできるようになる。

例えば、新しいスパイスを使ってみる。
最近では「アジョワン」というスパイスを入れることにハマっている。
一気に店で食べるような香りになる。

具材をいつもとは違うものに変えてみたりする。
鳥だけでなく、羊や魚、オクラなど、カレーに合う食品を探すのも楽しい。

あるいは逆に、具材をあえて減らしてみる。
唐辛子やトマトやクミンなど、一見カレーにとって必須のような具材を抜いてみると、違った視点を手に入れることができる。

そんな実験をして見るのも面白い。

「カレーにこれ入れる」

そんな、実験と試行錯誤に満ちた「カレー人生」を送っているため、「カレーにこれ入れる」というテーマは非常に難しい。

あれも入れるしこれも入れる。
あるいは、入れなくてもいい。
突き詰めてみればそういうことになる。

だが、一つ、私がカレーに必ず入れるものがある。
それは食材ではなく、「南アジアの人のやり方」だ。

わからないの向こう側

便利なもので、YouTubeをひらけば、今ではいろいろな国の人のレシピ動画を見ることができる。
カレーはさまざまな地域にあるが、やはり「本場」という意味では、インド、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、スリランカあたりの、いわゆる「南アジア」地域だろう。
私はカレーを作る前に、そのあたりの地域の「作り方」動画を見るようにしている。

ただ、私はヒンディー語やタミル語など南アジア地域の言語はさっぱりである。
英語も、アクセントが強過ぎて、残念ながらほとんど聞き取れない。
その状態で動画を見て何をするのかと言えば、わからないなりに、類推しながら何となくやり方を頭に叩き込むのである。

だから、決して「レシピ」動画を見た、とか、「レシピ通りに」とはいえないだろう。
私がやっているのは、多分こうなんじゃないか、に過ぎない。

見様見真似

だがそれでも、学ぶことは多い。
最近のお気に入りは、パキスタンの恰幅のいい髭面のシェフの動画だ。

カレー作りというと、まずは油をひき、スパイスの香りを油に移し、玉ねぎを焦茶色になるまで炒め、トマトを入れ、肉を入れ、粉末のスパイスを入れ・・・といった手順を取ることが多い。
だが、このシェフは、鍋に直接、鶏肉とトマトをぶち込み、唐辛子やら何やらを入れて火にかけて放っておく。
玉ねぎ炒めが常々億劫だなと思っていた私には目から鱗だった。
これでなかなか美味いのだから、ぜひお試しあれ。

カレー作りの姿勢というようなものも、現地の動画からは伝わってくる。
具材を混ぜながら神に祈ったり、出来上がった料理を村の子供達に振る舞ったり、カレーを作るという行為が単なる料理の枠を超えて存在しているようにも見える。

学びは、本来「真似び」だと聞いたことがある。
その語源論が正しいのかは知らないし、いつでも成り立つものだとは思わないが。きっと一理あるのだろう。
現地の人の動画を見様見真似で再現して見ることで、翻訳されたレシピでは得られない何かを受け取ることができるような気がしている。

***

いつでもうまくできるとは限らないし、現地の料理動画は基本何を言っているかわからない。
だが、それでもカレー作りには、底知れぬ魅力がある。
その一部でも、言葉にできていればよいのだが。

パキスタンのシェフを真似して作ったカレー。
パクチーがフリーズドライのため見栄えがアレである。

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