記事一覧
【現代④】『月と金のシャングリラ』~「中華」の復権とその影~
※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。
※ サムネは『月と金のシャングリラ』1巻表紙より
『満州アヘンスクワッド』のページで見たとおり、19世紀前半のアヘンの導入以降、帝国主義の被害者として蹂躙されてきた中国。第一次世界大戦以降はその侵略国は日本に絞られ、1932年には日中戦争が勃発します。
この頃一応中華民国の統治下にあった中国ですが、日本軍の侵略を
【現代③】『戦争は女の顔をしていない』~「世界史」が掬ってこなかったもの~
※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。
※ サムネは『戦争は女の顔をしていない』1巻表紙より
世界が「英・仏・露」側と「ドイツ・オーストリア」側に分かれて争った第一次世界大戦は、数千万人の犠牲の果てに、1918年に前者の勝利で終結します。この大戦の影響は凄まじく、これまで私たちが見てきた世界の在り様は、大戦前後で大きく変わることとなりました。
まず一つ
【現代②】『満州アヘンスクワッド』~「眠れる獅子」中国の受難~
※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。
※ サムネは『満州アヘンスクワッド』1巻表紙より
2つ前の記事『白い艦隊』で見ていた20世紀初頭の時代に視点を戻しましょう。
これまで各地域で別々に発生していた戦争は、ヨーロッパにおいて主権国家の形成やナショナリズムを通してその規模を拡大。そしてついには、文字どおり世界を巻き込んだ「世界大戦」が勃発するに至るのです
【5/26(日)】コミティア148で本を出します!
コミティア148で本を出します!
内容は私が昨年からnoteにて定期連載をしております記事シリーズ『あのマンガ、世界史でいうとどのへん?』を一冊の本にまとめたものです。 今でも新しい作品が創られ続けている「歴史ものマンガ」というジャンル。この中でも、主に日本以外の地域を舞台とした作品を時代順にとりあげ、その世界史上の背景と作品の関係性を明らかにしていくシリーズです。
歴史ものマンガはむろん
医療保険とアドバイザー/プレイヤー
先日、数年ぶりにとある知人と再会した。
子どももいないアラサー同士だと、久々の近況報告も残念ながら仕事のことが多くなってしまうもので、その知人との会話もそういう話題になったのだが、聞くところによると彼は最近転職をしたらしい。転職先はファイナンシャルプランナー。個人のライフプランに基づいて、今どれくらいお金を貯め、あるいはどういうところにどれだけのお金を使うべきなのか、その人にアドバイスする職
【近代・後⑤】『ふしぎの国のバード』~日本が「世界史」の舞台へ上がるとき~
※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。
※ サムネは『ふしぎの国のバード』1巻表紙より
前後編に渡った近世の章も今回で最後です。
長い中世を抜けて市民革命と産業革命を経たヨーロッパは大きく力を付け、19世紀の後半にもなると、そこには現代の生活にも似た「石油」と「電気」で支えられる華やかな消費活動が姿を現すほどになっていました。しかし、その生活はアジア・
『よふかしのうた』完結によせて ~異なる世界を見つめるそのまなざし~
※ サムネは『よふかしのうた』20巻(完)表紙より。
0. はじめに 『よふかしのうた』を全て読み終わりました。非常に見どころの多い、素晴らしい作品だったと思います。
個人的にいわゆる「日常系」(死語・・・?)にあたるような作品を読むことがほとんどなく、少なくとも序盤は主人公・コウとヒロイン・ナズナの何でもない夜の日常を描くこの作品に対し、当初はあまり入れ込んでいませんでした。
しかし、登
【近代・後②】『エマ』~産業革命がもたらした新たな英国社会と、「身分差」の意味~
※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。
※ サムネは『エマ』1巻表紙より
英仏における市民革命と、前記事の『片喰と黄金』で見た超大国アメリカ合衆国の誕生。
これまで見てきた歴史上の世界は、例えば「王様」がいたり、農業が主な産業だったりとまさに「昔の世界」であったわけですが、この2つの大事件をもって、世界は急激に私たちのよく知るすがたへと変貌を遂げていくこ