いさお

マンガ(たまにアニメ)の感想、考察、レビューを書いてます。ぜひよしなに!

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マガジン

  • あのマンガ、世界史でいうとどのへん?

    様々な歴史ものマンガの魅力を、「世界史上の時代背景」という観点から紹介する記事シリーズ。筆者も高校世界史レベルの知識で書いていますのでノリはゆるいです。

  • アニメレビューなどなど集

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  • 『進撃の巨人』論 ―本作が継いだもの、生んだもの、残すもの―

    『進撃の巨人』。コンテンツ史の特異点とも言える本作のテーマ性について、ゼロ年代の物語から継いだもの、10年代の物語にもたらしたもの、そして20年代の物語へ残していくものを検討する記事シリーズ。

    • あのマンガ、世界史でいうとどのへん?

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    • 『進撃の巨人』論 ―本作が継いだもの、生んだもの、残すもの―

最近の記事

【近世・前③】『海帝』~中国による大航海時代というイフ~

※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『海帝』1巻表紙より  ヨーロッパの歴史において「中世」と「近世」の境界線の一つとされるだけでなく、前記事で論じたとおり「現代」の始まりとして位置づけることもできる「大航海時代」の幕開け。特にその初期におけるヨーロッパからの長期航海とこれによる新航路・新大陸の発見はしばしば華々しく語られるところであり、当事者の中にはコロンブスのような超有名人もいます。  しかし、例えばヨーロッパから

    • 【近世・前②】『ダンピアのおいしい冒険』~「現代」の始まりとしての大航海時代~

      ※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『ダンピアのおいしい冒険』1巻表紙より  『アルテ』をとりあげた前記事は、「中世」と「近世」の境界線の一つとして挙げられる「ルネサンス」をテーマとしました。続く本記事でとりあげたいのは、その境界線として主に挙げられるもう一つの出来事、すなわち「大航海時代」の幕開けです。  『狼の口 ヴォルフスムント』の記事で見たように、十字軍による東方との交流の拡大以来、遠隔地との商業を発展させてき

      • 【近世・前①】『アルテ』~「近世」の始まりとしてのルネサンス~

        ※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『アルテ』1巻表紙より。  「近世」というのは具体的にどのような時代を指すのでしょうか。この言葉は「古代」、「中世」、「現代」といった他の時代を指す言葉よりも日常生活で目にする機会は多くはなく、この言葉にあまり馴染みのない方も多いかもしれません。  それは古くより続く「歴史学」の世界でも同じであり、この「近世」という時代区分が歴史学上で導入されたのは、20世紀中盤になってからであるよ

        • 【中世⑧】『チ。-地球の運動について-』~人間は「宗教から科学へと進歩している」のか?~

          ※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『チ。-地球の運動について-』1巻表紙より。  今回で中世の章は最後となります。  本記事シリーズはある特定のマンガをとりあげ、そのマンガが舞台とする時代を紹介する構成をとっています。ですのである特定の時代の出来事を紹介しやすい形式にはなっているのですが、一方で、特定の時代でなく、どの時代にも共通して起こっていた現象や文化について説明するには少し向かない内容になっています。  しかし

        【近世・前③】『海帝』~中国による大航海時代というイフ~

        • 【近世・前②】『ダンピアのおいしい冒険』~「現代」の始まりとしての大航海時代~

        • 【近世・前①】『アルテ』~「近世」の始まりとしてのルネサンス~

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          【中世⑦】『狼の口 ヴォルフスムント』~十字軍と西ヨーロッパ世界の分岐点~

          ※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『狼の口 ヴォルフスムント』新装版1巻表紙より。  中世後期ヨーロッパにおける大事件とは何か?    そのように問われた場合、主に二つの事件が答えとして挙げられると思います。一つは前記事で既に紹介した英仏百年戦争。そしてもう一つは、世界史上でも最長かつ最大といっていい軍事作戦である、十字軍の派遣です。  十字軍の派遣自体は、本記事シリーズの中ですと既に『アンナ・コムネナ』の記事で少し言

          【中世⑦】『狼の口 ヴォルフスムント』~十字軍と西ヨーロッパ世界の分岐点~

          『アリスとテレスのまぼろし工場』感想~「生の実感」はどこにあるか?~

          ※ 核心に触れるネタバレは避けていますが、本筋への言及はあります。  『アリスとテレスのまぼろし工場』を見ました。間違いなく面白かったのですが、同時に非常に複雑な作品でもあったと思います(この感想もどう順序立てて書いたらよいものかを思案しながら書き始めています)。  岡田磨里さんが監督・脚本を務めるのは2018年の『さよならの朝に約束の花をかざろう』以来。もともと『あの花』等の脚本で著名な方ですが、この『さよ朝』が人生唯一円盤まで買ってしまったアニメである程度には刺さって

          『アリスとテレスのまぼろし工場』感想~「生の実感」はどこにあるか?~

          【中世⑥】『レベレーション-啓示-』~中世英仏の破局と「人間」ジャンヌ=ダルクのすがた~

          ※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『レベレーション』1巻表紙より。  中世の折り返しにヨーロッパ、イスラーム圏、そして東アジアを貫いたモンゴル帝国の侵略。前記事でその紹介を終えた本記事シリーズはここから中世後半のお話へと入っていきたいと思います。ただ、うちイスラーム圏・中華圏では中世終盤までモンゴル勢力の支配が続きますので、しばらくはヨーロッパの歴史にお話を絞って進めさせてください。  まずは、少し前の記事でとりあげた

          【中世⑥】『レベレーション-啓示-』~中世英仏の破局と「人間」ジャンヌ=ダルクのすがた~

          【中世⑤】『シュトヘル』~モンゴル帝国の勃興と「文字」のもたらすもの~

          ※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『シュトヘル』1巻表紙より。  本記事シリーズの中世の章もこれで6記事目(番外編を含みます)です。  ここまでで私たちは、東アジア、ヨーロッパ、イスラーム圏という3大地域の中世中盤くらいまでの歴史を順に見てきたことになります。  この歴史の追い方について、せっかく「中世」という章立てでシリーズを構成しているのだから、ある地域について一旦中世の終わりまで歴史を追い、その上で次の地域に話

          【中世⑤】『シュトヘル』~モンゴル帝国の勃興と「文字」のもたらすもの~

          【番外編①】『図書館の大魔術師』~先進地域としてのイスラームと架空の「歴史もの」~

          ※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『図書館の大魔術師』1巻表紙より。 1.中世イスラーム世界の勃興 ここまではヨーロッパ、中国という二大地域について、それぞれの中世に至るまでの歴史を見てきました。ヨーロッパの西でフランク王国の分裂を通して現代の西欧各国の原型が成立し、東ではローマ帝国の直系国であるビザンツ帝国が君臨する。一方の中国では、秦、漢、唐と中華統一国が順に代を重ねていく。そうして各地域は各々の歴史を重ねてきまし

          【番外編①】『図書館の大魔術師』~先進地域としてのイスラームと架空の「歴史もの」~

          【中世④】『アンナ・コムネナ』~ゲームのルールを書き換えるということ、歴史を振り返るということ~

          ※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『アンナ・コムネナ』1巻表紙より。  ここ直近の2記事では、古代ローマ帝国が滅亡し中世を迎えた西ヨーロッパ世界の展開を見ていきました。異民族の侵入に端を欲した古代ローマ帝国の分裂、そして分裂後の西ローマ帝国の滅亡により西欧世界は戦乱の世に突入しますが、カール大帝(シャルルマーニュ)がこれを再統一します。カール大帝の大国はその後まもなく分裂しますが、その分裂した国それぞれがフランス、ドイ

          【中世④】『アンナ・コムネナ』~ゲームのルールを書き換えるということ、歴史を振り返るということ~

          【中世③】『ブルターニュ花嫁異聞』~中世ヨーロッパにおけるイギリスとフランスのビミョウな関係~

          ※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『ブルターニュ花嫁異聞』1巻表紙より。 『ヴィンランド・サガ』をとりあげた前記事からお話は中世ヨーロッパに入っています。  かたやカール大帝によるフランク王国の西欧統一とその解体によりフランス、ドイツ、イタリアの原型が生まれ、かたや『ヴィンランド・サガ』で描かれるヴァイキングたちの活躍を通してイギリスの原型ができていく。こうして今の「ヨーロッパ」の原型を形成した中世初期の西ヨーロッパは

          【中世③】『ブルターニュ花嫁異聞』~中世ヨーロッパにおけるイギリスとフランスのビミョウな関係~

          【中世②】『ヴィンランド・サガ』~退廃と戦乱の下に剣なき強さは成るか~

          ※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『ヴィンランド・サガ』1巻表紙より。  直近2記事(『キングダム』、『レッドムーダン』)で中国の歴史の歩みを見てきましたが、このあたりで舞台を再びヨーロッパに戻してみましょう。  前にヨーロッパの歴史を取り上げたのは『アド・アストラ -スキピオとハンニバル-』の記事でした。アレクサンドロスの帝国の崩壊後、ヨーロッパ世界の盟主となったのは古代ローマ帝国。同作で描かれるような挫折もあった

          【中世②】『ヴィンランド・サガ』~退廃と戦乱の下に剣なき強さは成るか~

          【中世①】『レッドムーダン』~史上唯一の中国女帝の誕生と中世中国の転換点~

          ※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『レッドムーダン』1巻表紙より。  様々な歴史マンガを時代順に紹介する本記事シリーズ、『あのマンガ、世界史でいうとどのへん?』。古代の作品はここまで挙げた4作品で一区切りといたしまして、今回からいよいよ中世に入ります。   なお、日本史では、例えば鎌倉幕府が成立したタイミングから「鎌倉時代」が始まる、というふうに時代区分の基準が明確です。しかし世界史はあまりに広域の歴史を扱うせいか、必

          【中世①】『レッドムーダン』~史上唯一の中国女帝の誕生と中世中国の転換点~

          【古代④】『キングダム』~中華二千年の歴史、その始まりにあった願い~

          ※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『キングダム』1巻表紙より。  様々な歴史マンガをその世界史上の背景から紹介していく本記事シリーズ。ここまでは古代オリエント世界(西アジア)、そしてヨーロッパの始まりの歴史を数作のマンガをとりあげながら見てきましたが、もう一つ、古来より世界史という大きな物語の軸となってきた地域があります。そう、四大文明の一つである黄河文明が生まれた、東アジアです。  ヨーロッパは現代でもイギリス、フ

          【古代④】『キングダム』~中華二千年の歴史、その始まりにあった願い~

          【古代③】『アド・アストラ -スキピオとハンニバル-』~偉大なるローマの苦い記憶~

          ※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『アド・アストラ -スキピオとハンニバル-』1巻表紙より。  前記事でとりあげた『ヒストリエ』が描く天才アレクサンドロスの大帝国。  この大帝国は瞬く間に空前の支配領域を実現することになりますが、あまりにも急に広がった支配は瓦解するのも早いもので、アレクサンドロスが若くして亡くなると大帝国もすぐに3つの国に分裂してしまいます。その後は再び中規模の国家が群雄割拠する時代に戻るわけですが、

          【古代③】『アド・アストラ -スキピオとハンニバル-』~偉大なるローマの苦い記憶~

          【古代②】『ヒストリエ』~アレクサンドロスの大帝国と古代ギリシャ奴隷制の示すもの~

          ※ 本記事は記事シリーズ「あのマンガ、世界史でいうとどのへん?」の記事です。 ※ サムネは『ヒストリエ』1巻表紙より。  本記事シリーズ前記事でとりあげた『天は赤い河のほとり』で描かれたのは、様々な国家が勃興し、そして関わり合ったはるか古代のオリエント世界でした。  しかしこのような複数の国家が群雄割拠する状況がずっと続いたわけではなく、やがてこの古代オリエント広域を征服する統一国家が生まれます。具体的には、『天は赤い河のほとり』の時代から約700年経った頃に遊牧民族の国家

          【古代②】『ヒストリエ』~アレクサンドロスの大帝国と古代ギリシャ奴隷制の示すもの~