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WAKIMIZU

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#note俳句部

夕立を疾走して行く藍染と博多の帯の青い残像

南風歌運んでもレクイエム

クレマチスの着物今では切れ端

あの田圃はどうなったじゃろうかもう見えん

ラムネの瓶キラキラビー玉乾涸びた河原の底にコツンと沈む

さいはてに往った友達 赤蜻蛉

想い出は 提灯通りの 夜と笛

執拗に思い出させるかみなりぐも

揚羽蝶 車輪の下で 夢になる

灼熱の窓の外とテレビゲーム

夕立を疾走して行く藍染と博多の帯の青い残像

カウントダウン

3、

無いはずの 平成32年から 未来人だと云う人が来た

姿見に 外の草木が 映されて

永遠の美を望まれている

髪結えば 神が鳴るなり 窓の外

天は蛇口を ひねって怒る

夕立は 凌霄花の 色をして

スカートの裾は 人魚の尻尾

2、

初めて来たはずの町から、懐かしい匂いがして狼狽えること

幼い頃、スーパーの棚の見えないところには、何か特別なものが置いてあると思っていたこと

記憶

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夏始め手解き

青嵐草叢の足元どこまでも

遠くの青に 近付けなくて

睡蓮の葉の上を歩いてみたくて

子供になっても歩けなくって

入道雲遠く私は海の底

怖いものなど何もない今

浴衣姿「私が夏になる」と言う

何もない 夕凪だけを 纏って行く

そう言って電話は切れた

暮れかかる川辺の日青鷺飛んで入り

赤とんぼまだ飛ばない日暮に

伸びてくる影を夕立が攫って

途方も無い夏の夜の始まり

誘蛾灯の音

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