田中一平(日本史講師)

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田中一平(日本史講師)

首都圏の予備校・高校・youtube・Zoomで日本史を教えています。 オフィシャルホームページ→https://www.ippeihistory.com/ facebook→https://www.facebook.com/tanaka.ippei.7

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記事一覧

2024年東大日本史第1問答案例

A 答案例 A当初、太上天皇は天皇と同等に国政に関与して政治的実権を保持したが、9世紀前半、政務の場を離れ、国政への関与を控えた。(59字)  B 答案例① B奈良時代ま…

2024年東大日本史第2問答案例

A 答案例 A日宋間を禅僧・商人らが民間商船で往来し、大陸文化がもたらされる中、渡来僧の人脈を活かし、南宋渡来の技術が用いられた。(59字) B 答案例①…奥州藤原氏を…

2024年東大日本史第3問答案例

A 答案例 A島原の乱以前、日本人の海外渡航や帰国を全面的に禁止して長崎のポルトガル人を隔離したうえで、生糸の確保を目的に貿易を行っていた。乱後、禁教の徹底を目的に…

2024年東大日本史第4問答案例

A 答案例 A地租改正による土地の商品化を背景に、松方デフレや資本主義の進展により自作農は農地を手放した。大戦景気の時期に、重工業の発展を背景に農村の小作農が都市へ…

2023年東大日本史第1問答案例

答案例…荘園整理有  律令制期、戸籍に基づく人民支配を前提に、律令の規定に基づき、造営に必要な費用・労働力を確保した。摂関期、一国支配と朝廷への税納入を請け負っ…

2023年東大日本史第2問答案例

答案例  従来、惣領が家督継承者を決めていたが、義教期には一族や家臣、特に将軍の意向が決定に重要な意味をもった。しかし、将軍の介入は家内部での対立を生んだうえ、…

2023年東大日本史第3問答案例

A 答案例①…下層民増加の背景には言及しない A寄席は歌舞伎と異なり、安価で夜も興行しており、江戸で急増するその日稼ぎの下層民が、気軽に立ち寄れたため、人気があっ…

2023年東大日本史第4問答案例

A吉田内閣期、冷戦が激化する中、単独講和により独立し、対米従属を余儀なくされた。鳩山内閣期、東西対立の緩和を背景にソ連との国交回復が実現し、岸内閣期に日米関係の…

2024年九州大日本史答案例

第1問 問1ア:環濠集落 イ:大海人皇子 ウ:元明 エ:条坊制 オ:藤原種継 問2:貝塚文化  問3:蓄銭叙位令 問4…30字  行基は用水施設や救済施設などをつくる…

2024年北大日本史論述答案例

大問1問3…50字以内  主題…軍団制が一部の地域を除いて廃止された後に代わった兵制について 答案例  郡司の子弟や有力農民の志願による少数精鋭の健児を採用して、…

2024年一橋大日本史第1問答案例

答案例①…問4は無回答のパターン。 1町人地には、商人・手工業者などが居住した。町内に町屋敷を持つ家持の他、宅地の一部や全体を借り自分で家屋を建てて住む地借、家…

2024年一橋大日本史第2問答案例

答案例①…史料Bが特定できた場合 1A保安条例。B治安警察法。C治安維持法。 21880年代後半、国会開設の時期が近づくと、井上馨外相の条約改正交渉の失敗を契機に、三大事…

2024年一橋大日本史第3問答案例

答案例① 1国共内戦で中国共産党が有利となるなど、東アジアにおいて冷戦が激化すると、アメリカ政府は対日占領政策を転換し、日本の経済復興を本格化させ、その一環とし…

2023年東京外大日本史400字論述答案例

1950年代以降、中東地域から安価な石油の輸入が可能となり、エネルギー革命によって石炭から石油へエネルギー移行が進んだ。これにより高度経済成長が実現する一方、石油化…

2023年東京外大日本史100字論述答案例

江戸時代、人々は旅行などの際、檀那寺の発行する往来手形の携帯が必要だった。宗門改帳に登録され、往来手形を持つ者は保護を受けられたが、宗門改帳の登録から外れた無宿…

2023東京都立大日本史答案例

大問1…国風文化 問1ア:枕草子 イ:往生要集 ウ:平等院鳳凰堂 エ:寄木造 問2  設問要求…多くの女流文学が生まれた理由となる表記方法の変化      …多く…

2024年東大日本史第1問答案例

A
答案例
A当初、太上天皇は天皇と同等に国政に関与して政治的実権を保持したが、9世紀前半、政務の場を離れ、国政への関与を控えた。(59字) 

B
答案例①
B奈良時代までは、ヤマト政権以来の伝統的価値観を背景に天皇と結びついた畿内の有力氏族が要職を占めた。9世紀前半、唐風化を背景に従来の価値観は否定され、官僚制原理のより一層の浸透や天皇の個人的な信任を背景に、台頭した文人貴族が要職に就いた。(

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2024年東大日本史第2問答案例

A
答案例
A日宋間を禅僧・商人らが民間商船で往来し、大陸文化がもたらされる中、渡来僧の人脈を活かし、南宋渡来の技術が用いられた。(59字)

B
答案例①…奥州藤原氏を記述する
B奥州藤原氏に対抗するため、頼朝は多額の寄付に応じた。藤原氏滅亡後、朝廷の下で軍事権門としての地位を確立したことに伴い、御家人に奉公の一環として材木運搬や仏像・伽藍造営を負担させた。(90字)

答案例②…奥州藤原氏を記

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2024年東大日本史第3問答案例

A
答案例
A島原の乱以前、日本人の海外渡航や帰国を全面的に禁止して長崎のポルトガル人を隔離したうえで、生糸の確保を目的に貿易を行っていた。乱後、禁教の徹底を目的にポルトガル船来航を禁じた。(89字)

B
答案例①
B従来は幕領の長崎での施策であったが、貿易停止に不満を持つポルトガルが大名領を含む沿岸部で報復行為に出る可能性があった。(60字)

答案例②
B貿易停止に不満のポルトガルが軍事報復

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2024年東大日本史第4問答案例

A
答案例
A地租改正による土地の商品化を背景に、松方デフレや資本主義の進展により自作農は農地を手放した。大戦景気の時期に、重工業の発展を背景に農村の小作農が都市へ流出し、小作地率は停滞した。(90字)

B
答案例
B日中戦争が長期化し、総力戦化する中、国民の戦争協力を促すため、政府は国民生活を維持する必要があった。その一環として食糧増産を促すため、生産者である小作農を保護・優遇しようとした。(

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2023年東大日本史第1問答案例

答案例…荘園整理有
 律令制期、戸籍に基づく人民支配を前提に、律令の規定に基づき、造営に必要な費用・労働力を確保した。摂関期、一国支配と朝廷への税納入を請け負った受領が私富を蓄えていることを前提に、受領に工事を割り当て、受領は成功のために請け負った。院政期、不輸・不入の権を持つ荘園の増加と公領の減少を背景に、荘園・公領に関係なく一律に負担させ、受領・国衙を通じて費用を確保した。(179字)

答案

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2023年東大日本史第2問答案例

答案例
 従来、惣領が家督継承者を決めていたが、義教期には一族や家臣、特に将軍の意向が決定に重要な意味をもった。しかし、将軍の介入は家内部での対立を生んだうえ、嘉吉の変以降、将軍権力の弱体化に伴い、実力を背景に継承を決めるようになり、内紛は激化した。この内紛が幕府有力者の対立と結びつき、応仁の乱に発展した。(149字)

2023年東大日本史第3問答案例

A
答案例①…下層民増加の背景には言及しない
A寄席は歌舞伎と異なり、安価で夜も興行しており、江戸で急増するその日稼ぎの下層民が、気軽に立ち寄れたため、人気があった。(60字)

答案例②…下層民急増の背景に焦点をあてるその①→関東農村の荒廃のみ言及
A関東の農村が荒廃したことで、江戸へその日稼ぎの人々の流入が急増したため、安価で夜も興行している寄席に通う人が急増した。(60字)

B
答案例①

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2023年東大日本史第4問答案例

A吉田内閣期、冷戦が激化する中、単独講和により独立し、対米従属を余儀なくされた。鳩山内閣期、東西対立の緩和を背景にソ連との国交回復が実現し、岸内閣期に日米関係の対等化が目指された。(90字)

B鳩山内閣の改憲を阻止する議席を獲得した左右社会党が再統一すると、分裂していた保守政党も合同し、保革二大政党の対立が鮮明となった。岸内閣が安保改定を強引に進めると、対立は激化した。(90字)

2024年九州大日本史答案例

第1問
問1ア:環濠集落 イ:大海人皇子 ウ:元明 エ:条坊制 オ:藤原種継 問2:貝塚文化  問3:蓄銭叙位令
問4…30字
 行基は用水施設や救済施設などをつくる社会事業に尽力した。(28字)

問5…90字
答案例①
 桓武天皇は逃亡などにより国家財政が悪化する中、地方政治を改革するため、令外官の勘解由使を設け、前任国司の発行する解由状の審査を通じて、国司の交替の際の事務引継ぎを厳しく監督

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2024年北大日本史論述答案例

大問1問3…50字以内
 主題…軍団制が一部の地域を除いて廃止された後に代わった兵制について

答案例
 郡司の子弟や有力農民の志願による少数精鋭の健児を採用して、国府の警備や国内の治安維持にあたらせた。(49字)

問4…50字以内
 主題…律令政府が関を通過する一般民衆を厳重に審査させていた理由
 
答案例
 律令制は民衆の負担が重く、逃亡が相次いでいたため、それを防ぎ、戸籍と実態にずれが生

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2024年一橋大日本史第1問答案例

答案例①…問4は無回答のパターン。
1町人地には、商人・手工業者などが居住した。町内に町屋敷を持つ家持の他、宅地の一部や全体を借り自分で家屋を建てて住む地借、家屋の全てや長屋の一部を借りて商工業を営む店借などが存在した。18世紀後半以降、村における階層分化を背景に、村から都市部に流入する人々が増加した。彼らは無宿と呼ばれ、零細な長屋に住み、棒手振・日用稼ぎをはじめとする雑業に従事した。2町人地は両

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2024年一橋大日本史第2問答案例

答案例①…史料Bが特定できた場合
1A保安条例。B治安警察法。C治安維持法。
21880年代後半、国会開設の時期が近づくと、井上馨外相の条約改正交渉の失敗を契機に、三大事件建白運動が起こり、自由民権運動が再高揚した。これに対し、第1次伊藤博文内閣は保安条例を発令した。
3集会条例。治安警察法が制定された当時、産業革命の進展に伴い、劣悪な労働環境に置かれた労働者が労働組合を結成し、資本家に抵抗する動

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2024年一橋大日本史第3問答案例

答案例①
1国共内戦で中国共産党が有利となるなど、東アジアにおいて冷戦が激化すると、アメリカ政府は対日占領政策を転換し、日本の経済復興を本格化させ、その一環としてドッジ=ラインを実行した。ドッジは日本政府に対し、超均衡予算の編成を指示し、補助金を抑制して財政支出を大幅に削減することで、インフレの解消を狙った。この影響で安定恐慌と呼ばれるデフレ不況に突入したため、食料価格が低下した。
2第1次オイル

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2023年東京外大日本史400字論述答案例

1950年代以降、中東地域から安価な石油の輸入が可能となり、エネルギー革命によって石炭から石油へエネルギー移行が進んだ。これにより高度経済成長が実現する一方、石油化学コンビナート周辺での公害が問題となった。1970年代、第4次中東戦争をきっかけに第1次石油危機が発生して石油価格が高騰する中、企業は省エネ型産業への移行など減量経営に努める一方、エネルギー利用における石油の割合は低下し、代わって原子力

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2023年東京外大日本史100字論述答案例

江戸時代、人々は旅行などの際、檀那寺の発行する往来手形の携帯が必要だった。宗門改帳に登録され、往来手形を持つ者は保護を受けられたが、宗門改帳の登録から外れた無宿人は保護を受けることができなかった。(98字)

太字は指定語句

2023東京都立大日本史答案例

大問1…国風文化
問1ア:枕草子 イ:往生要集 ウ:平等院鳳凰堂 エ:寄木造
問2
 設問要求…多くの女流文学が生まれた理由となる表記方法の変化
     …多くの女流文学が生まれた理由となる政治的背景
   条件…140字以内

答案例
唐の衰退・滅亡を背景に、漢字をつくりかえた平仮名・片仮名の字形・使用が定着し、繊細な感情表現が可能となった。天皇との外戚関係が重視された国風文化期は、教養

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