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現役下北住民が、「街の上で」を見てきました。|映画レビュー

現役下北住民が、「街の上で」を見てきました。|映画レビュー

※このエッセイは今泉力哉監督「街の上で」のネタバレなし感想ですが、前情報は一切見たくないという方はあらかじめご注意ください。

下北沢に住み始めて一年がすぎた。初めてこの街に魅入られてから早五年。大学在学中に世間の波に乗って就活をしたわたしの「就活の軸」は「下北沢に住むこと」だった。もう少しだけ噛み砕いて表現すると、「下北沢で新卒一年目から一人暮らしができる給料が出て、転勤がない仕事」だった。わた

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映画『街の上で』今泉力哉監督が描く街と日常

映画『街の上で』今泉力哉監督が描く街と日常

2021年4月10日、出町座。「街の上で」の上映後、今泉力哉監督が登壇されました。

「街の上で」は2019年7月に東京・下北沢で撮影されましたが、社会情勢により公開が延期され、ようやく2021年4月に公開の運びとなった作品です。
「愛がなんだ」「mellow」「his」「あの頃。」の今泉力哉監督・脚本。

さりげない日常を描く作品が好きです。

この作品も、彼女に浮気されたうえにフラれてしまった

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映画 「街の上で」 下北沢という街と、あの頃の記憶

映画 「街の上で」 下北沢という街と、あの頃の記憶

かつて下北沢という街で、それほど多くの時間を過ごしてきたわけではない。

そんな私でも、大学生の頃には古着を探しに行ったり、ヴィレッジヴァンガードをあてもなくブラブラとしたり、友人の出演する芝居を観に小劇場に行ったり、無名のアーティストの小さなライブに行ったりした記憶がある。

気がつけば、その街は「自分よりもずっと若い人のための街」となり、「もう全て変わってしまった街」であり、もう足を踏み入れる

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映画「花束みたいな恋をした」創作物を愛する全ての人のための物語

映画「花束みたいな恋をした」創作物を愛する全ての人のための物語

久しぶりに映画のパンフレットを買った。表紙をめくったときに最初に目に飛び込んでくる文字に、思わず涙で目が潤んでしまう。これほどまでに自分の20代、あるいは、自分の過去の恋愛を思い出させる映画はもしかするとなかったかもしれない、などと考えながら、私は映画館を後にした。

「これは自分の話」

月夜のたまさんはnoteで、脚本家坂元裕二さんの言葉を借りてそう表現している。

本当にその通りだった。(そ

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