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エッセイ

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自分のこと、考え、日常などをまとめています。
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わたしの世界

わたしの世界

小説の好きなところは、そこに自分だけの世界があるところだ。

知らない人でも、知っている人でも、家族でも友達でも恋人でも、どんな人だって立ち入ることができない世界。

とても孤独な世界だと思う。
だけど、わたしにはその孤独が必要なのだ。

仕事終わり。
くたくたになって乗る電車。
ああ一人になりたい、と思う。
誰もいないたった一人の空間で、思い切り息を吸って吐きたいと思う。

そんなとき、カバンの

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わたしの地獄

わたしの地獄

きっと、この人にも地獄があるのだろうなあと最近思う。電車で隣に座った人にも、コンビニのレジで前に並んでいる人にも、誰かにペコペコ頭を下げている人にも、楽しそうに笑っている人にも。
地獄と表現しないまでも、きっと苦しみや悲しみはあるだろう。その苦しみに直面したときの心の傷だって立派な地獄だ。

けれどわたしには、その人たちの地獄を完璧に覗き見ることはできないし、想像することもできない。

こんな辛い

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想像力

想像力

 読書が好きで、自慢ではないけれどそれなりにたくさん本を読んでいると、必然的に想像力が高まっていくと思う。私が好んで読むのは小説だから、余計に。

 想像力には、妄想や空想をするようなファンタジー要素があると同時に、現実を生きていく上で身を守るような要素があると思う。

 ふとした瞬間、例えば電車に揺られているときとか、お風呂に入っているときとか、街を歩いているときとか、私はよく起こりえない出来事

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言語化できないから

言語化できないから

 たまに、小説の中の主人公になりたいと思う。主人公たちは、何かしら悩みやトラブルを抱えている場合が多く、主人公ならではの苦しみがあるのだろうが、適切なときに適切な言葉を、神様であるところの著者から与えられるという点において、とても羨ましい。私も、自分では言語化できないモヤモヤとした感情にぶち当たったとき、それを誰かに言語化してもらいたい。

 アウトドア派の父に「ずっと本ばっか読んで」と呆れて言わ

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小さな美しいもの

小さな美しいもの

 どうして「やらなきゃいけないこと」は一気にやってくるのだろう。

 そんなことを考える前に目の前の課題を終わらせろ! ともう一人の自分は言っているが、そんなことを考えているうちにnoteに書きたい内容を思い付き、今こうして課題を後回しにしてnoteを書いている。

 私の大学は9月中旬から1月中旬が二期にあたる。そのため、11月中旬は必然的に「二期の真ん中」ということになり、要するに何が言いたい

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天下茶屋を訪れました

天下茶屋を訪れました

 先日、山梨県にある天下茶屋を訪れました。この茶屋は上に引用したように、太宰が滞在し『富嶽百景』の舞台になった場所です。死ぬまでに一度は訪れたい場所でした。
「行く」とか「寄る」という軽い表現はできないほどの急な峠道を進みました。私は車で訪れましたが、バスも出ているそうです(ただしバス停から徒歩で1時間かかります)
 大人になったらいつか訪れようと思っていたので、まさかこんなにも早く訪れることがで

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一生の

一生の

「一生の友情ね。大切にしなさい」

 先日高校の同窓会に友人たちと参加した。正直わたしたちは食事を目当てに参加しただけで、恩師と再開を果たすとか、懐かしいクラスメイトに会うとか、そういう同窓会の本来の目的のように思われることは二の次だった。とにかくおいしいものを食べまくって、参加費の元をとる。そんな卑しい感情しかなかった。

 部活の顧問に会った。こんなことを言っては失礼だけれど、顔を合わせたとき

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写真の奥には

写真の奥には

 先日妹と一緒にフードコートでお昼ご飯を食べた。どこにでもあるようなありふれたフードコートで、どこにでもあるようなラーメンを食べた。
 お箸を手に「いざラーメン!」と勝手に意気込んでいたら、妹がスマホを取り出してラーメンの写真を撮りはじめた。

「なんで写真?」
「撮りたかったから」
「記録してんの?」
「ストーリーに上げるの」

「ストーリー」がインスタグラムの「ストーリー」を指していることはさ

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文字と声

文字と声

私は文章を読むと、書いた人の声が聞こえてくる。

声を知っている知人や家族の場合は、その人たちの文章、言葉を読むと必ずその人たちの声で再生される。意識してそうしているわけではなく、文字を見る、読むという過程で絶対に声が聞こえるのだ。声のトーンやスピード感や大きさが、わざわざ書かれていなくても、なんとなくわかる。

声を聞いたことがない人の場合は、声以外の情報から勝手にイメージされた声で再生される。

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無駄なことに時間を使う

無駄なことに時間を使う

最近私は友人と手紙を送り合っている。青空みたいな透き通った便箋に、私にしか書けない字で言葉を綴る。ちょっと豪華にシールなんかも貼って、折れ目ひとつない封筒に入れたら完成。「ああ、返事が楽しみだな」と友人の顔を思い浮かべながらポストに投函する。

なんていう美談が書ければよかったのだけれど。

私が手紙を送っている相手は、高校時代の友人だ。頑張ればチャリで会いにいける距離に住んでいて、なんなら週一ペ

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私ってこんな人間です

私ってこんな人間です

いつも、いいねやフォローありがとうございます。
私は自己肯定感が低すぎるので、みなさんのいいねやフォローが「自分の存在を認める」ことにつながっています。こんな文章しか書けないけれど、それでも読んでくださる方がいると思うと、「こんな文章しか書けない自分」を肯定しようと思うことができます。

突然ですが、昨夜のことです。
私の記事を読んでくださる方がいて、フォローしてくださる方までいるなか、私ってまと

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94857文字の束

94857文字を紙の束にして手に取ってみると、その厚さと重さにびっくりした。
ばら撒かないようにそっと持って、四隅を整え封筒に入れる。

私の書いた94857文字は誰かの目に留まることはないし、当然お金になるなんてこともない。
でも私はこの94857文字が何よりも価値があるものだと思った。
私が諦めず、最後まで書き続けた世界に一つしかない物語だからだ。

私が初めて小説家になりたいと思ったのは小学

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