見出し画像

そこまで言うのなら… vol.5 ゲノム編集と人工中絶

NHK『2030 未来への分岐点』という番組の、ゲノム編集の特集を観た。

その中で、中国の学者がゲノム編集技術を駆使した受精卵から双子を誕生させた一件が紹介された。

世界中から批判が渦巻いたことで記憶に新しい。

番組でも、越えてはならない一線を越えたとする批判者が登場した。


そこで、ふと思ったのが人工妊娠中絶についてだ。

受精卵を排除するので、これも作為的な行いには違いない。

存在自体を無くしてしまうのだから、むしろ最大の作為とも言えよう。

ゲノム編集による「デザイナーベビー」に反対するのなら、人工中絶にも反対すべきではないか。


もちろん、反論は可能だ。

番組を観た限りでは、受精卵がまだ「生命」を持たない段階でゲノム編集を行い、その後破棄して出産させなければセーフらしい。

中絶の場合も同様に、受精卵が「生命」を持つ前に行えばセーフとなる。

いずれにせよ、どの時点で「生命」を持ったと見なすかによって「セーフ」の範囲は変わってくるし、「セーフ」など存在しないという意見もありうる。


しかしながら、反対意見も多かった人工中絶が徐々に認められるようになった歴史からすると、デザイナーベビーも許容されていくものと考えられる。

特に、出生前診断を経た中絶が一般的になれば、デザイナーベビーの実現まであと一歩だ。

「望まない」と「望ましい」は表裏一体なのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?