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キング牧師も、チャップリンも…

「私には夢がある(I have a dream)」で有名な、キング牧師による演説(1963)。

その最後のほうで、黒人と白人、ユダヤ人と非ユダヤ人、プロテスタントとカトリックの融和が説かれている。

あれ?

何か足りなくないか?

そうだ!

アジア人が出てこない!!


アメリカにもアジア系住民はいただろうに。

演説の20年ほど前には、アメリカは日本と戦争をしていたというのに。

戦時中の合衆国には、日系人の強制収容所まであった。

キング牧師がアジア人嫌いだったとは思わないが、おそらく眼中になかったのだろう。

真珠湾攻撃や原爆投下といった出来事も、公民権運動には影響を及ぼさなかったようだ。


強いて言えば、「非ユダヤ人」「プロテスタント」「カトリック」の中にアジア人も含まれると解釈はできる。

また、アジア人でもユダヤ教を信仰していれば、それはユダヤ教徒=ユダヤ人である。

だが、いずれにせよ演説の中でアジア人一般はフィーチャーされていない。


似たような現象は、チャップリンの『独裁者』(1940)にも見られる。

クライマックスの演説で、ユダヤ人、黒人、白人の連帯を訴えているが、やはりアジア人は入っていない。

それゆえ、名シーンだと思いつつも、アジア人としては感動が少し薄くならざるをえない。 


最近ようやく、アメリカでのアジア人差別が問題化されているらしいので今後の動向に期待したい。


参考文献
『アメリカの黒人演説集』(岩波文庫)

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